交渉力をつけろ!

 生きていくためにやらざるを得ないことは、あまたあるけれど、その中でも、最もシビアで、それでいてスキルの獲得が難しいことのひとつに、交渉(negociation)がある。

 交渉の古典である「Getting to yes」によれば、交渉のポイントは下記のようにまとめられるのだという。

1.<立場>でなく<利害>に焦点を合せる
2.複数のオプションと可能性を与える
3.客観的基準を強調する
4.<人間>と<問題>を分離して、相手の立場にたつ

 以上4点、どれも重要だなぁと思いつつも、僕個人の感覚からいうと、最も重要なのは1であるような気がする。
 交渉の際、立場に焦点をあわせてしまうと、「立場が異なるのだから」、それ以上、話が進まない。「立場の衝突」とみなすと、すぐに短絡的な結論、自虐的な結論に至りやすいのである。それよりは、利害を調整するというスタンスにたって、話し合いを継続させる方が、お互いにとってメリットがある。

 しかし、これは自戒をこめていうけれど、世の中の交渉は、いかにこれとは全く逆の稚拙なものになってしまいがちなことか。

 問題と人間を分離出来ず、「あの人たちは~な問題を提起した人たちだ。だから○○な人たちに違いない・・・だから次も○○するに違いない」というイメージにからめとられる。オプションを1つしか提示せず、別のシナリオを考えない。立場の衝突をことさら招くような論法を使うなどの稚拙な交渉に、つい、僕らは絡め取られてしまう。そして、そういう場合に悲惨なのは、当の本人は、その誤りに全く気づいていないことである。

 交渉は面倒である。しかし、これができないと、オモシロイことができない場合もある。たかが交渉、されど交渉である。

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