統計をどのように学んだか?
中原さんは統計をどのように学んだのですか?
最近、なぜか、よく聞かれることです。数字に苦手な人だったら、確かに気持ちはよくわかります、その藁にもすがりたい気持ち。僕なんかに聞くあたりがすでにヤヴァイと思うけど。
僕の場合、90%ほど自学自習ですので、「うーん、○○とかの本とか○○の機会に独学したよ」と答えることにしています。
ただ、この「問いかけ - 答え」は正確にいうと、誤りを含んでいます。なぜなら「どのように学んだのか」という問いに対して、答えるほど、僕はマスターしていないから(笑)。
「どのように学んでいるのか」という現在進行的問いかけなら、答えることができますけれども。というのは、査読を行ったり、論文を執筆するたびに自学自習です。統計だって発展していますし、手法には流行みたいなものがあります。最近は、共分散構造分析ですか・・・この論文が増えていますね(ちょっと危険に見えるけど)。だから、いまだに勉強中です。
最近、問われることが多いので、下記おすすめの書籍を利用法をふくめて紹介します。あくまで、僕のようにユーザとして統計を利用する場合に参考にしてください。
あと、専門的な立場の人が、「いやー、その本は統計学的には云々」というのは勘弁して下さいね。あくまで僕の経験でわかりやすかったなぁ、というものです。
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まず、今から考えて一番最初に統計マインドを知ったのが、この「創造の方法学」です。これは学部時代のときに、教育学部・苅谷先生の「社会調査実習」で読みました。新書ですので、非常に手軽に読めます。一番最初に、「調査とは何か」「統計検定とは何か」ということを知るのにはちょうどよいのではないでしょうか。
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次に大学院時代に先輩にお勧めされてよんだのがこれです。「ユーザーのための教育・心理統計と実験計画法」。
当時の僕は、まさに「できない受験生」でした。いろいろ統計の参考書をかってきては、なんだかわかったような、わからないような気になって、「次の参考書」を求めてしまう(笑)。「サルでもわかる」みたいな安易な本をずいぶんたくさん買いました。
でもね、やっぱり「安易な本」は何冊読んでもわからないね。これ、結論。基礎的な概念の説明が適当で、SPSSの操作とかを詳しく解説されててもさ、実際に使うときになったら、ほとんど自分では何ひとつできない、という。ということで、この本はとても参考になりました。
この本は、「ユーザーとしての視点」でわりきって書いてある本です。今でもよく見返します。数式が苦手な人は、とばしてもよいと思う。
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次に読んだのが、こちらです。同じく田中敏先生の「実践心理データ解析」ですね。
僕は、統計を学ぶ上で、ひとつだけ確かなことがあると思うんです。ズバリ、
実際、自分で分析してみなきゃ、わからない!
つまりね、いくら概念をわかったところで、実際に研究課題を前にして、シミュレーション的でもいいから、自分で実験計画を考えてトライしなければ、わからないと思うのです。これは、プログラミングについても言えるでしょう。プログラミングの場合は、
実際、自分でプログラミングしなきゃわからない!
ってことになるのでしょうね。
「実践心理データ解析」には、とてもよい例題がたくさんあって、その例題にしたがって解説するスタイルをとっています。
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こちらの「統計分析のここが知りたい」は、かゆいところに手が届く本だなぁと思いました。よく「それだったら、被験者何人いればいいんですか?」という問いをなげかけることが多いのですが、この本では、そういう「統計分析をしているとよくでてくる疑問」を丁寧に扱っているような気がします。
で、ここまでを十分わかったうえで、もしSPSSなどを使うのでしたら、下記のようなマニュアル本を使うとよいのかなぁと思います。下記は、あくまでわからないときにつかうような感じで。
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以上、いろいろ書きましたが、既述したとおり、これは僕の独断と偏見にみちたおすすめです。それをわかっていただいた上で、もし参考になれば参考してください。
それにしても、皆さんはどうやって統計を学んだのでしょうか/学んでいるのでしょうか?
たとえば、上記にはノンパラメトリック検定とか共分散構造分析などはほとんど触れられていないのですが、こういうのは、何を使って学ぶのがいいんだろうねぇ。
まぁ、きっと、人の数だけ方法はあるんでしょうけど。王道はないと思うので、そういう体験談というかな、「わたしの統計学習論」みたいなものを、皆さん、お持ちなのでしょうね。
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