僕らは貧乏くじ世代!

 そうか、オレは貧乏くじ世代だったんだ!

 ということを気づかせてくれたという意味で、オモシロかったです。先日、書店で「貧乏くじ世代」という本を軽い気持ちで手に取りました。

 要するに「1970年代生まれ」、特に現在20歳後半から30代前半の若者たち、1900万人もいるらしいのですが、その若者たちはいわゆる「貧乏くじ世代」と言えるのではないか、という話です。で、その貧乏くじ世代の若者たちには、いくつか共通するメンタリティがあることを、自身の臨床経験をもとに指摘していますね。

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 読後の感想ですが、はっきり言います。

 まず僕は世代論というものを信じていません。「ある世代に共通する文化経験や流行」とは思いますが、それが世代全体の行動を規定しているかというと、ちょっと違う気もする。

 そりゃ、メディアには、ある世代の際だった人たちが注目されますよね、例えばブルセラとか、とかさ。でも、それは都市に局所的に発生する社会現象であってユニバーサルじゃありません。田舎じゃ、別にこれまでと同じように暮らしてるよ。そこに時代の象徴的意味を見いだす言説もあってはいいと思いますけど、あまり僕自身は信じていません。
 月並みで本当に恐縮なのですが、「世代というより、人それぞれ」じゃないかと思うんです。だから、世代を十把一絡げにする議論は、ややナイーブに感じます。

 また、ここで紹介されている事例には、僕自身も30歳ですが、あまり共感できるところはありませんでした。

「頑張っているとき以外は不安で仕方がない」「あまり将来に希望をもっていない」「マニュアル本をよみたがる」など・・・そうかぁ・・・むしろそれは僕らの世代のことなのかなぁ・・・少なくとも僕や僕のまわりには、あんまりいないんだよなぁ・・・。

 ですが、こうした僕の意見や信条も、所詮は根拠レスです。データがないので、ここはあくまで、「僕はそう感じた」ということにしてください。

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 ただし、本書の世代論には共感できないものの、僕らの世代は前の世代に比べて明らかに時代に翻弄され、「比較的地味な生活」を強いられたことは間違いないなぁ・・・と思うんです。
 ホンマ、地味だよなぁとは思う。

 だって、僕が中学生のころだったと思うんですけど、バブル経済まっさかりでしたよ。日本の株価が3万円後半になったときのNHKニュースを、僕は覚えています。

「へー、このままいけば4万円いくんじゃないかな、僕が大人になるころには、5万円とかいっているかもしれない」

 と子どもながらに思いました。アホだったので、それが何を意味するかはわかっていなかったけれども。

 その頃のテレビといえば、土地成金だの、絵を購入だの、とにかくなんか浮かれていた。深夜系のテレビをつけると、「お立ち台でギャルがボデコンで扇子を使って踊って」いました。

 大人になったら、きっとオレもそういうところにいくんだろうな、と思っていました。ジュリアナ東京とかね、ベルファーレとか。田舎の高校生ながら、そういう名前だけは、いっちょまえに覚えていました。

 学校では、先生たちが「よい高校、よい大学、よい就職」を語っていました。まぁ、あまり信用はしてなかったけど、まぁ、「確率の問題としてウソではないかなぁ」とは思っていた。それより何より、僕自身は「東京にでたい」一心で、熾烈な受験にチャレンジしました。

 しかし、大学に入る頃になって、なんだか雲行きが怪しくなってきた。あれよ、あれよという間に、「不況」と言われる。
 前の世代なら、集中的に気合いをいれて家庭教師と塾講師をすれば月に数十万儲けることは余裕だよーと言われていたのが、全然大嘘。生活はかなり辛い。

 そのうち、就職氷河期といわれるようになる。前の世代なら複数内定をもらうのはアタリマエだったのに、1個も内定をもらえない人たちが続出する。僕自身は研究者志望だったので、言われたことはないけれど、

「経験のない大学生はいらないんだよねぇ・・・これからは即戦力だから」

 なんて真顔で言われるようになってきた。

 ちょっと前までは、「交通費+滞在費」を全額学生に支給してまでセミナーに来させて、とんでもないところになると海外旅行まで行かせて、大学生を人材確保していたくせに、企業というのは、なんて勝手なんだろうとみんなで怒っていたことを思い出します(前の世代には、同じ日に開催されるセミナーに参加するのに、複数の企業から交通費などを重複してもらって、ずいぶん財をなした人もいると聞いています)。
 
 そんな頃でしょうか、下の世代は、ブルセラ世代として注目があたります。一足先に世の中にでた上の世代は、インターネットで起業をして成功する人たちがあらわれ、やっぱり注目されだす。インターネットの世界は、「Winner takes all」の世界ですので、ちょっと遅いんだよねぇ。

 そう考えると、僕の世代は、いつも、ちょっとズレていて、なんだか、萱の外なんだよねぇ。

 これからだってそう思うんです。前の世代は、ゼロ金利の時代に住宅を買っている。僕らの世代が本格的に住宅購入に動くときには、きっと金利なんてかなりあがっているんじゃないか・・・。

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 まぁ、貧乏クジ世代と揶揄される僕らの世代ではあるけれど、それが結果としてよかったのか、悪かったのかは僕にはわかりません。

 まわりの世代注目されたといっても、一過的なものだしね。「お立ち台」に上らなくても、それなりに楽しい大学生時代はおくれましたし。
 就職が楽だったといっても、急速に終身雇用が崩れている今、あまり意味のないことなのかもしれない。むしろ、僕らの世代は「叩かれ慣れている」から、逆境には強いだろうと思われますし。
 
 まぁ結局、僕らが本当に「貧乏くじ」をひいたのかどうかは、まだわからないけど、強く粛々と生きていきましょう、なんでしょうか。月並みだけれど、今は、それしか言えないよなぁ。

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投稿者 jun : 2006年3月24日 11:08

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