日本の教師再生戦略
あるプロジェクトでご一緒している先生から、この本の話しを聞きつけた。早速注文し読んでみた。
千々布敏弥(2005) 日本の教師再生戦略:全国の教師100万人を勇気づける. 教育出版, 東京 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4316801694/nakaharalabne-22
なるほど、よくまとまっている本だと思う。教師教育/授業研究のことをコンパクトにわかりやすくまとめた本として、まだこの領域を知らない人にとっては、非常に助かる本なのではないかと思う。
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なぜ現代の教育改革において、教師がツライ状況におかれているのかを解説した第一章。たしかに、マスコミ、文部科学省、教師は「三すくみ」の状態にある。
第二章、第三章、第四章は、最近米国で流行している「Lesson study(要する日本の授業研究)」についての解説と、教師教育のパラダイム転換となった「Reflective practicioner」の概念についての説明である。
僕個人は、「Reflective practicioner」の概念だけで、教師の専門性確立できるというナイーブな認識には、やや懐疑的な見方をしているが、いずれにしても、それが重要な概念であることは間違いない。
第六章では、米国に比べて専門性の低い「教育センター」に焦点をあてた議論を行っている。
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この本が「全国の教師100万人」を直接勇気づけるかはどうかはしらないけれど、近年の教育の混迷をとく鍵は、米国ではなく「日本にあるのだ」という認識は、とても共感できる。
日本の教師は、報酬にかかわらず、自らお互いの実践を批評する文化を、学校の中に内包している。そのことは、あまりに自明なことであるが故に、注目すらされないできたが、世界的に見るとはスゴイコトであるようにも思う。
「学校の再生は、ふだんの教室の授業から」
今日、そういうスローガンを掲げた学校改革の1年をおったビデオを見た。うまくいかないはじめての公開授業、先輩教師からの厳しいコメントのすえ、教室で悔し涙を流す新米教員。病魔をおして最期のときまで学校改革に取り組んだ校長先生・・・。見ていて、涙が止まらなかった。
たぶん、涙を流した教員は、きっと、この小学校を巣立つときがあっても、このカルチャーを新しい学校に伝えるだろう。病魔と闘い果てた校長先生の思いは、きっと、ここに集った教師たちに語り継がれるだろう。
そうだ、「青い鳥は、家の中にいる」のかもしれない。