韓流eラーニング4日目:一歩先の未来
早朝起床。朝9時30分、韓国の外国語学習最大手企業のYbm sisa.comへ。
Ybm sisa.comは、1961年創業。外国語学習を中心とした様々な出版物、教材、テスト等を開発。
2001年からeラーニング事業を開始している。同年、Cosdacに上場。韓国最大ランキング大手Rankeyによると、Ybm sisaのシェアは、58.82%。ほぼ実質上の寡占状況にある。韓国で最も知られてる外国語学習に関する企業であることは間違いない。
提供するサービスは、BtoB、およびBtoC。国内の外国語学習者は220万人。YBM sisaは、BtoC市場、BtoB市場においてもにおいて1人あたり1日4000円程度のサービスを提供している。
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ybmの提供するサービスは、下記の6点にわかれている。
1.e4u(e-learnig for you事業)
外国語学習のコンテンツサイト。
e4u
http://e4u.ybmsisa.com/school/
韓国ではTOEICが大学入試、就職試験などに利用されている。イ・ソ・オクら有名講師らの提供するTOIECの講義は、大人気になっている。コンテンツは20分ごとにわけられている。ひとつあたりのコンテンツ受講料は4000円程度。
2.CAT TOEIC事業
CAT(Computer Adaptive Testing)によるTOEIC対策テスト事業。
3.YBM TMK事業
英才高校(有名高校)に進学するための、中学生用外国語学習コンテンツサイト。
4.電子辞書開発事業
MP3プレーヤ+電子辞書を開発し発売したところ、大人気になっている。これは、今週号のASAHIパソコンにも取り上げられているそうだ。
次期モデルでは、これに通信モジュールを付け加え、語学学習をできるような総合プレーヤとして売り出す予定。教材入手手段は、無線LANによるダウンロード型。
5.PMP・PSPで稼働するコンテンツ開発事業
PMP(Portable Multimedia Player)、PSPで稼働する映像コンテンツを販売。要するに、先のe-learning for youで開発したコンテンツを一部改変して(たとえば黒板の文字が見えにくいので、それをテロップにするなどする)、モバイル版として売り出している。先の有名講師によるTOEIC対策事業などが、これらのモバイル端末でも閲覧出来る。
コンテンツはDRM(Digital Rights Manegement)を行い、不正使用をふせいでいる。そのほか、何名かの社員にネットワーク上を常に監視させている。YBMのコンテンツが流出しているのを発見した際には、メールにて警告をおくる。
コンテンツ購買層は大学生から30台前半。男性が7割、女性は3割。利用は出退勤時間であるとのこと。
コンテンツの流通手段として通信型ではなくダウンロード型をとる理由は、利用者が通信料(パケット代)を気にするから。
当初、韓国のコンテンツ産業では、携帯電話などから直接ダウンロードするかたちでのビジネスを模索していた。しかし、通信料の問題で、それがうまくいかなかった。mp3プレーヤの市場がダウンロード型のビジネスモデルに転換したことをきっかけに、音楽ファイルの領域でビジネスが活性化し、ようやく、語学学習にも市場が開けたという。
6.ケータイで稼働する辞書
mdicと呼ばれている。「もえたん」のような辞書。1ヶ月300円の費用で、現在3万人が利用。
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はぁ・・・充実した4日間だった。
体力的にも精神的にもギリギリのところだったが、何とか終えることができたことを、今は嬉しく思う(明日から岐阜の学会に参加する・・・体力的に大丈夫かなと少し心配)。
我々の視察をアレンジしてくれたUFJ総研の大嶋さん、東京大学大学院の澤本さん、王さんにこの場を借りて感謝します。ありがとうございました。
なお、この視察の結果に関しては、近いうちに開催されるユビキタスラーニング推進協議会で発表する予定です。こちらの方も、是非、お越し下さい。
最後に今回の韓国視察を終え、雑感をひとつふたつ。
まず、e-learningのこと。
今回の韓国滞在中に思ったのは、eラーニングをビジネスとして成功させるためには、
1)有名講師によるコンテンツのブランディング
2)テストによるフィードバック情報の開示
3)CREDUのナインタッチに代表される手堅い運営
4)わかりやすいユーザインタフェースの提供
5)デジタル著作権処理
などがキーになるのかな、と思った。この順番かな、重要なのは。
運営しているシステムがどうだ、とか、標準化がどうだ、というのもとても重要なんだけど、結局、成功を左右するのは、こういうことなんじゃないかなと思う。
どれも地道でアタリマエのことだけど、「みんなできてますか?」と聞かれると、いささか心許ないことが多いのではないでしょうか。もう一度考えなおす必要があるのかなとも思います。
最後にm-learningに関しては、まぁ、まだまだどうなるかわからないのですが、ひとつだけ言えることは、こういうことです。
「かつてインターネットを教育に応用するっていうことが、みんなの関心になっていた時代も、こんな感じだったということ」
ですね。
1990年代後半・・・今から5年から6年前でしょうか。
その当時、まだブロードバンドなんかはあり得なくって、ダイアルアップでみんな接続していました。本当に技術的には不便だった。で、そのときには、今のm-learingと同じようなことがまことしやかに語られたものです。
僕は占い師ではありません、研究者です。
だから、今後、m-learning市場がどうなるかは、わかりません。
だけれども、たとえば携帯電話の定額制が実現したり、あるいは、ビデオ版のポッドキャスティングなどが実現するようになったり、あるいはワンセグ放送に、もっと様々なチャンネルができるようになったりすると、m-learningにも現在の状態とは考えられないほどの展開が生まれるのではないかな、とも思います。
韓国は、その意味で、一歩先の未来を歩いているのではないかと思います。
いずれにしても、目が離せないですね。