演歌なピアノ

 最近・・・といっても、ちょっと前のことになるけど、カミサンとフジ子ヘミングのコンサートにいった。

フジ子・ヘミング http://www.jvcmusic.co.jp/fujiko/

 演目はベートーベンのピアノ協奏曲、リストのラ・カンパネラ、ショパンの華麗なる円舞曲だったと記憶している。

 フジ子の演奏は、前もって聞いていたとおり、確かにミスタッチが多い。ベートーベンは和音が曇るところが、いくつか気になった。

 だけれども、この人の演奏には圧倒的な存在感がある、という印象をもった。たとえば、ラ・カンパネラにしても、ショパンにしても、フジ子の演奏になれてしまうと、他の人が弾いているのは、味気なく聞こえてしまう。全く弾き方が違うし、癖がないから。他の人のラ・カンパネラは、誰がひいてもだいたい同じ。フジ子のものは、アレンジされている。たとえていうならば、フジ子の演奏は、いい意味で「演歌」だなぁと思った。

 いずれにしても、フジ子流というのかな、そういう「○○流にピアノを弾く」ってことが好きな人は、きっと、フジ子の演奏を気に入るのではないかと思う。

 「演歌」をこよなく愛し、機会あらばデビューしようとまで常日頃から考えている僕は、「フジ子」の演奏を気に入らないわけがない。

 演奏の背後に、人生を見る。