「指導教員になったつもりで論文指導ゲーム!?」をやってみた:大学院授業で実証論文を読み解く!?
大学院の僕の授業「経営学習論」では、週に一本、英文ジャーナルの実証研究を読んで、議論する、という授業をやっています。僕の授業は、どの授業も僕がレクチャーをするのは、全部でおそらく20分くらい。その他は、プレゼン+議論で構成されています。
大学院の授業なので「ハイレベル?な議論をしている」と書きたいのですが、なかなか時間も限られていて、いつも、尻切れ?気味に終わるのが、やや残念に思っていました(大学院レベルのこの手の授業は、2時間ぶっつづけの授業にするとか、週に2回授業があるとすごく楽だな、といつも思っています)。一方で、この授業の想定レベルは「大学院レベルの初学者」、すなわち「学問の入口」ですので、そんなものなのかな、とも思ってきました。
ただ、先だって、本田由紀先生(社会学)と、ある件で、お話を伺う機会があり、そこで、本田先生の学部での授業について、いろいろご教示頂きました(貴重なお時間をありがとうございます!)。
先生の授業では、学部生にリーディングリストをお渡しになり、文献を授業までに目を通してくるようにいい、授業中、議論をなさっているとのことでした。学生の一方が「論文を批評」し、他の学生が、それをディフェンスする、という議論であると伺っています。
そういうのは面白いな、と思って、ちょっと、昨日は、自分の授業でも、単に議論をさせるのではなく、少しだけ工夫をしてみることにしました。
それが「指導教員になったつもりゲーム」です(笑)。
いつものように単純に議論をするのではなくて、この論文の著者の「指導教員」になったつもりで(トップジャーナルの著者の指導教員とは、まことにおこがましいのですが・・・)、
1.論文の良い点をまずは褒めてあげる(1ほめ)
2.その上で、論文の弱点を指摘する(3けなし)
3.弱点を克服する「代案」を提案する(代案提示)
という単純なゲームです。
いわば、「論文指導」という局面を授業に取り込み、ゲーミフィケーションしてみたとも言えるかもしれません。
大学院生には、禁止項目として
「論文をけなしまくる」のはなし。
まずはいったん褒めて(1ほめ)、その上で、建設的な批判をする(3けなし)(笑)。基本は「1ほめ、3けなし」ですよ、と。なぜなら、「あなたは指導教員」だから。学生のモティベーションをあげながら、クオリティをあげなければなりません。「こてんぱんに叩かれ、くそみそ言われるだけ言われて、発憤て、目を輝かせる学生」は、僕の経験上、ひとりもいません。
あと、
「ちゃぶ台返し=オラオラオラーと論文の枠組みをぶちこわして、悦に至るような指導」
はなし!
なぜなら「あなたは、これまで指導してきたら」(笑)。論文の枠組みをつくることに、これまでコミットしてきたはずなので、それをちゃぶ台返しするのはなし。
あと、
「人類の課題の無茶ブリ=そもそも、そんなデータをとれないよ、という無茶な方法の押しつけ」
は禁止! なぜなら、もう論文はできているから(笑)。
とつげました。
要するに「品のある指導」をしなさい、と(笑)。あくまで、今、行うことは「一歩先行くお手伝い!」ですよ、とお願いしました。
そこで、特に大切なのは「建設的批判」に基づく「代案提案」です。
そこでは「論文のロジックを補強してあげる」「より精緻な研究方法・分析方法を提案してあげる」「今からでも可能な実験デザインを提案してあげる」ということにしました。
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結果は、(小生の力量不足で!泣)アイオープナーな議論とまでは・・・いかなかったのですが、いつもよりは、少しだけ前向きな議論ができたのかな???と思っています。
「プロフェッサー田中さん、いかがですか?」
「プロフェッサー浜屋さん、コメントをお願いします」
「プロフェッサー高崎さん、何が改稿のポイントですか?」
と指名すると(笑)、皆さん、「プロフェッサーになったつもり」?で論文指導をなさっていました。ただ、意外にも「論文をほめること」と「代案を提示すること」というのは、なかなか、まだ難しいのかな、という印象がありました。
まぁ、また少し試行錯誤して、少し慣れてきたら、違うゲーミフィケーション場面も試してみようかな、と思っています。
そして人生は続く!
投稿者 jun : 2014年6月12日 06:37