マネジャーになるということの意味 : 「学習の観点」から捉えなおす

 マネジャーになることは「生まれ変わり」に喩えられることがあります。

 入社してマネジャーになる前までは、「ひとり」で「限定的な範囲」における仕事をガシガシやってきた個人が、マネジャーになったあとは、「他人」を使って「より大きな物事」を成し遂げなければならない(Getting things done through others)。

 こう書いてしまいますと、「なんだ、それだけのことかい」「アタリマエのコンコンチキだよーん」というツッコミを受けそうなしますけれども、それは、個人にとっては「大きな転機」になります。

「ソロプレーヤー」であった時分に学習したことの一部を「棄却」して、新たな役割を「再学習」しなければらない。一部は捨て、一部はそのまま残し、一部は「新たな物事との統合」をはかる。そういう「区切り」の時間を、どうしても、ある時期過ごさなければ成りません。

 また、マネジャーになることは、原則として「自分がいなくても他人の手によって、物事が動く状態(Work without You)」をつくることに似ていますので、そこには、ある種の「寂しさ」がつきまとう。
 一方で、マネジャーになることは、自らが先陣をきって、やりたいことを成し遂げるチャンスでもある。そこには「希望」もある。

 寂しさを感じつつ希望を見て
 希望を見つつ、寂しさを感じる

 このように、マネジャーになることは、「もうひとつの矛盾に満ちた世界」への参入であり、「学習」そのものなのです。

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 さらに、近年では「Getting things thorough others」のうちの「others」が多種多様になってきています。現代の職場は多種多様です。女性、非正規雇用の方々、そして留学生、外国人、年上の部下。
 もはや、マネジメントしなければならない「others」は、かつてのように「正社員男性」ではありません。

 さらに「はじめての管理職」が、海外勤務であることも、ままあることです。海外勤務の場合には、さらに「寂しさ」「不安」の中での「学習棄却」「再学習」が過酷になる可能性があります。

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 従来、「マネジャーになること」は、主に「キャリア移行論」の中で扱われてきました。貴重な研究が多々ありますが、量的には、まだまだ不足しており、今後、さらに多くの社会的ニーズが生まれると思います。今後の研究も、さらに期待が高まりますね。

 中原は、数年前から「海外赴任した日本人マネジャーの学習論」にホソボソと取り組んでおり、その成果の一部は近著で論じられる予定です。 
 さらに、これに続き、今年は、某社において、より実証的な研究をさせていただける予定になっています。楽しみです。

「マネジャーになること」を「学習論」の立場から捉え直すとどうなるんだろうか。特に「マネジャーになること」を「個人のキャリア移行」と捉えるのではなく、「コミュニティ間移動」「境界移動」と捉えると面白いんじゃないの、と勝手気ままに考えております。

 最近は、本当に多忙で「僕の考える時間」は、ズタズタ・チリヂリ・コッパミジンコ!?になっておりますが、その「コッパミジンコ」さんたちを集めて、そんな妄想をしております。

 そして人生は続く。

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■2012/04/24 Twitter

  • 22:15  入念に準備しつつも、はじまってしまったらインプロで運営する柔軟性かな、と思います。RT @clione しっかりした/デザインと準備があっての相互発生的な学びなのかな、と。RT グループワークの導入でコケない!?ための3つのポイント http://t.co/uF8htPl1  [in reply to clione]
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  • 21:39  興味深い>「最もクリエイティブな国」は日本、「最もクリエイティブな都市」は東京。しかし、「日本人は自らをあまりクリエイティブだとは考えていない」。米国、英国、ドイツ、フランス、日本の18歳以上の成人5000人調査(Adobe調査): http://t.co/ac2IG9jO
  • 10:10  こんな公募研究があるそうです>平成24年度国立教育政策研究所公募型研究「思考力・判断力・表現力等の能力を育成する取組に関する調査研究」: http://t.co/JrANiKz2
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投稿者 jun : 2012年4月25日 09:43