ブログ更新。"学び"に興味をもつ就職活動中の学生さんと話していて思うこと: "学び"の知識や経験が生きる仕事は本当に少ないか!? "ラーニングほにゃらら"作戦

 仕事柄なのでしょうか、時折、就職を希望する学生の方々から、下記のような質問を受けることがあります。

「僕は、大学時代、"学び"とか"教育"のことを勉強しました。将来は、"学び"とか"教育"に携わる仕事をしたいのですが、あまり選択肢がなくて困っています」

「だって、僕の専門(学習研究)だと、ツブシきかないし、専門性がいかせるとしたら、教育系企業しかないんじゃないでしょうか」

 お話を聞いてみると、そういう方々が、現在興味をもっている会社としては、シマ●ロウで有名なB社、教材会社の老舗G社、教育番組をつくっているN社の名前などであることが多いです。いくつかの超有名な教育企業の名前も、ポロポロとでてきます。中には、もっと多くの社名をあげられる方もいらっしゃいます。が、学部学生ですと、多くの方々は、これらに「学習塾」が加わるケースでしょうか。
 多くの場合、"学び"とか"教育"に携わる仕事とは、そういう、いわゆる「教育系企業」に限られて認識されていることが多いことに気づかされます。で、その門戸は恐ろしいほど狭いです。だって、数社しかないと認識されているのですから。

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 もちろん「職業選択」は個人の自由ですので、それぞれに学生の方々が、B社、G社、N社に興味をもつことは、何の問題もありません。また、それぞれの会社が、これまで素晴らしい学習環境、教材をおつくりになっていることは、重々承知しています。

 でも、"選択肢が少ない"と嘆かれる学生の方々に、僕が、ひと言だけアドバイスをさせていただくのとしたら(こういう説教くさいコトをいうと、オマエも年をとったな、と言われそうですが・・・就職の話題って、すぐに説教臭くなるから、なるべく僕は避けてきました)、

"学び"の知識や経験が生きる仕事というのは、視野を広げてみれば、もっともっとあるんじゃないのかな

 ということです。

 一見、直接「学び」のビジネスをしていない会社でも、実は、結構、「学び」に関連している事業を伸ばしたいと思っていたりすることはあるのではないだろうか、ということです。

 もちろん、就職してすぐにその仕事ができるかどうかはわかりません。また、その事業自身が、成立するかどうかもわかりません。

 でも、もし"選択肢が少ない"と悩まれるのなら、長い長い人生・キャリアの中で、そうした非教育系の事業会社の中で、「学び」という自分の専門性を活かすことも考えてみると、少しだけ視野が広がるかもしれない、と思います。

 また、一見「学び」とは関係のなさそうな会社で、「学び」の専門性を発揮することは、「キャラだち」していいんじゃないの、とも、ひそかに思います。
 たぶん、組織のメインストリームにはならんだろうけど(笑)メインストリームにはならんが、イノベータにはなれるかもよ、きっと、たぶん、いつか(笑)。

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 たとえば、ファニチャーメーカや商社。
 わたしは、専門外なので詳細は知りませんが、最近のファニチャーメーカや商社は、単に家具をデザインして売るのではなく、「学びの空間」や「カリキュラム」もデザインして、顧客に提案するようになっていると聞きます。
 あるいは、ショールームはつくったはいいのだけれども、そこを有効活用してくれるコンテンツがないという声も先日聞きました。学びのデザインの知識や経験は、ここでも役にたつんじゃないでしょうか。僕が学生なら、こういう話、小躍りして喜ぶけどね。

 例えば、ホテル。
 あるホテルでは、顧客の滞在時間を長くし、客単価をあげるために、子ども向けのワークショップやカリキュラムを準備して、実施しています。リピーターを増やすために、常に自前でワークショップを開発して、デリバーしなくてはなりません。
 ここでも、やはり「学び」に関する智慧がもっとあれば、素晴らしいものができるのではないでしょうか。我が家は、たまに旅して、ホテルやツアーに参加しますけれども、ここを工夫したら、Learningful Tourになるのにな、と思うこともありますよ。

 例えば、IT企業。
 あるIT企業では、ECの売り上げ向上のために、自己向上意欲の高い人々の「コミュニティ化」に注目しています。そういう人を集めて、書籍等の物販と連動させれば、さらに売り上げがあがる。
 そこで必要になってくるのは、コミュニティをいかにつくり、いかに運営していくか、ということに関するナレッジでしょう。ここでも、学びのデザインを勉強していた方が貢献可能なところがあるのではないでしょうか。

 例えば、出版。
 ある出版社では、販促のいっかんとして、著者を巻き込んだオンライン読書会を企画していたりします。本を単に読者に渡すことが出版社の役割ではなく、著者と読者のリレーションを維持・拡大していくことが出版者の役割である、ということです。
 ほら、ここでも役立つかもしれない。「学びのデザイン」の、あの概念を知っている人なら、何か、示唆に富む提案ができるのではないでしょうか。大丈夫、なんぼでも、貢献できるじゃなですか。

例えば広告。
 ブランドのデザインや、新商品開発のときなどに、クライアントの組織だけでなく、様々な専門家やアーティストなどに参加してもらい、ワークショップや参加型イベントをする機会が、最近は、増えてきているそうです。僕も何度か、そのようなイベントに呼ばれたことがあります。ここでも活躍の可能性がありそうですね。僕のまわりの学生なら、いつもやってることに近いですよ。

 例えば、金融・製薬
 ある企業では、営業マンの行動と成果分析を行い、営業支援を行っています。ワークショップを行ったり、トレーニングを行ったり、360度評価を行ったり、手法は様々です。
 ここでも、評価に関する知識、分析技術、ワークショップデザインに関する知識が役立つのではないでしょうか。

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 さて、以上、いろいろあげてきました。
 要するに、何が言いたいか、というと、少しだけ広くとってみると、こういう事例は、数限りなくあげることができるということです。

 ふだん、僕は、ビジネスパーソンの方々とお会いすることが多いのですが、お話ししていていつも切実に感じるのは、

「学びとは一見無関係な領域で、いかに"学びのデザインの知識と経験"が必要とされているか」

 ということです。

 もし、この命題が仮に正しいのだとしたら、学生の方々がお持ちになる"学び・教育に関する仕事は選択肢がない"というのは、再考の余地があることのように感じるのは、僕だけでしょうか。

 むしろ、就職活動にあっては、こうした非教育系の事業会社で、「自分の強み」である「学びに関する知識や経験」を活かす仕事を、将来的にはしていきたいんです、と主張することも、選択肢に入れてもよいのではないでしょうか。
 もちろん、教育系企業でも、いいんですよ。でも、"選択肢がない"と嘆くのなら、視点を変えてみれば、いろいろあるんでないの、と思うわけです。

 わたしは、ラーニングカフェ、つくりたいんです
 わたしは、ラーニングフルホテルを、つくりたいんです
 わたしは、ラーニングフルな自動車をつくりたいんです

 と真顔で面接官に言ってしまえば、どうでしょうか(笑)。
 名付けて「ラーニングほにゃらら」作戦(笑)。
 一見、学びとは関係のないものに、学びのエッセンスをいれると、新しいものができるかもしれない?という希望的観測です。

 そのうえで、

「実は、ラーニングホテルには、こんな先行事例がありまして・・・・これは日本ではまだ注目されていないんですよ」

 とか

「これからは・・・の時代になるので、車もラーニングフルになるべきなんですよ。その事例としては・・・」

 と、「学ぶこと」に関する自らの知識、経験、ストーリー、調べてきたことを語ればよいのではないでしょうか、、、わかんないけど。

 ドン引きかな・・・。
 バクチみたいな面接ですね。
 でも、確実に、おもしろがる人もいると思いますけれども(笑)。

 うーん、僕が面接官なら、思わず聞きたくなるけどね、そういう話の方が。
 もちろん、それでよい結果がでるかどうかは、責任持てませんけど(笑)。

(ちなみに、たぶんなんですけど、教育系企業に就職を希望している人で、「わたしは、学びに興味があるので御社に興味があります」「わたし子どもが好きなので御社を希望しています」は、あまり刺さらない言葉かもしれませんね。だって、あまりにもアタリマエに聞こえませんか?)

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 ともかく、今日のブログで言いたかったことはひと言です。探してみると、"学び"とか"教育"に携わる業務や事業って、いろいろあると思いますよ。もし、今、自分には選択肢がないと嘆かれているのなら、ぜひ、探究してみてください。

 そんな話を、今日の出かけに、カミサンとしていました。

 なんか、今日の話、説教臭くなったかな、ごめんね。
 これだから、社会人(!?)が、就職のことを語るのは嫌なのです(笑)

 そして人生は続く。

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投稿者 jun : 2012年4月 3日 14:45