企業人材育成研究と大学生研究の「接点」!?

 京都大学で開催される「大学生研究フォーラム2010」というイベントで、小生、講演をさせていただくことになりました。

大学生研究フォーラム2010
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/forum2010.html
(京都大学高等教育研究開発推進センター・電通育英会共催)

「企業のことを研究しているオマエが、なんで大学生研究フォーラムで講演すんのか」という「素朴でまっとうな疑問」が四方八方から飛び出してきそうですが、正直言うと、僕もそう思う(笑)。だよねー。

 だけれども、主催者の一人で、昔からいろいろとアドバイスと励ましをいただいている溝上慎一先生(京都大学)によると、「それで、いいのだ」そうです(笑)。
 なにやら大学生研究のフロンティアでは、「学生研修」という考え方が生まれているので、それが「接点」になるのだそうです。「中原君は、自分のことを喋ってくれたらえーのや」とのことでした。
 というわけで、そんな溝上先生の強いお言葉を信用して、お引き受けすることにしました。

 下記が講演の要旨です。
 正統的な「大学生研究」が目白押しのフォーラムの中で、小生、「色もの」として、議論に「花」をそえたいと願います。

 ---

企業における人材育成のフロンティア:
敢えて「企業人材育成」から「大学教育」を考える

中原 淳(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)

 加速することはあっても、とどまることをしらないグローバル化の荒波の中で、企業は、持続的な競争優位を確保するため、人材育成に注力している。企業が内部に有する資源 - その中でも、取り分け「人材」こそが、企業の競争優位を支える源泉たりえるという認識が広まっているからである。
 本講演では、企業人材育成の現在の潮流を概観することを目的とする。高等教育機関を卒業した若者は、いかに組織の中で社会化されるのか。どのような職場のネットワークの中で熟達していくのか。どのような経験の中で、リーダーになっていくのか。そして、組織が内部にもつべきコアコンピタンスをいかにして維持していくのか。講演では、理論・企業事例を踏まえて、上記のような内容について話す。
 企業の人材育成の現状は、多くの大学教育関係者、高等教育関係者にとって、あまり耳にすることはないかもしれない。また、企業をメタファとして大学教育を考えることは、必ずしも適切であるとは言えないかもしれない。企業と大学は違う。この事実は、強調しすぎてもしすぎることはないし、講演者もよくわかっている。
 しかし、高等教育機関と職業領域のスムーズな移行(School to Work transition)が、政策課題にものぼっている今、大学関係者が企業においてどの程度人材が課題になっているかを知ることは、全く意義のないこととは言えないだろう。また、自らの教育実践を内省するためのひとつのきっかけになると思われる。

 ▼

 もしご興味がおありでしたら、どうぞおこしください。

大学生研究フォーラム2010
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/forum2010.html
(京都大学高等教育研究開発推進センター・電通育英会共催)

 ---

■2010年7月5日 中原のTwitterタイムライン

  • 19:46  RT @yuuhey Times Higher Education誌・世界大学ランキングの論文評価データがThomson Reutersになり、評価算定アルゴリズムが変わるらしい。順位の変化でまた大騒ぎになりそうだ。http://bit.ly/9VxexG
  • 16:44  中原研究室・大学院生指導。
  • 15:46  論文執筆のため医学部図書館潜入中。"医学の教育"と"医療現場での学習"の違いについて書こうかな、と思う。
  • 13:21  通勤の苦痛度、世界ランキング。世界最大の自動車市場である中国においては、北京の交通量は毎年10%ずつ増加している。@wiredvision http://ow.ly/26YlZ
  • 13:17  素晴らしい時間ですね @shiraganohiro 子供が幼い頃、毎朝「五感散歩」をしていました。田圃もあったので畦道を歩きながら、花や鳥などにおはようと挨拶をしながら散歩。子供の素直さに感動していました。 RT ブログを書きました。http://ow.ly/26Yjw  [in reply to shiraganohiro]
  • 13:17  RT @ogahisa 採用エージェントや人材開発会社の付加価値の出し方も変わる RT 武田薬品工業 長谷川閑史社長:社員の多国籍化を推進、総合職については今後、新卒社員の一括採用を辞める: http://ow.ly/26Vuk  [in reply to ogahisa]
  • 10:40  RT @ysakurai_JQ2GYU: Cisco社が実施してきた全世界共通の一年間の新卒研修も,同じ考え方だったと思います。グローバルでビジネス展開している企業は,似たような発想になるのでしょう。 RT 外国語生活館における10週間の合宿、36000人が学ぶeラーニング環境
  • 10:32  RT @Kobayashi_H_ 外遊びの環境に恵まれているであろう北海道の子どもは,東京の子どもよりも体力が低いのです.体力との短絡的な考察は危険なのですが  [in reply to Kobayashi_H_]
  • 10:31  日経ビジネス「サムスン特集」。海外売上比率85%ゆえに、外国語教育を重視。外国語生活館における10週間の合宿、36000人が学ぶeラーニング環境、海外赴任前の5週間の集中トレーニング。一年間の「地域専門家制度」など。2020年までに現在の四倍の売上高36兆円をめざす。
  • 10:31  今週の日経ビジネス「サムスン特集」社員の危機感をあおるイゴンヒ会長語録。「妻と子ども以外は、すべて変えろ」。
  • 10:31  今週の日経ビジネス「サムスン特集」。強烈なオーナーの支配力と統治、激しい出世競争、長時間労働、組合不在、徹底した成果主義、GEなどグローバル企業をベンチマークしてつくった「人力開発院」による集中的な人材育成など。韓国GDPの2割を支える「光」の部分と、その「影」。
  • 09:29  RT @rikija 危機感という悲観的な言葉より、国籍問わずフェアな競争への布石と期待 RT @hidetona 武田一社にとどまらないでしょうね。RT 武田薬品工業 長谷川閑史社長:社員の多国籍化を推進、総合職の新卒一括採用をやめる http://ow.ly/26Vuk  [in reply to rikija]
  • 09:28  RT @jinjour_editor 「社員の多国籍化を進めなければならないのは、研究所よりもむしろ日本の本社」----なるほど。 RT @nakaharajun 武田薬品工業 社員の多国籍化を推進、総合職について今後、新卒社員の一括採用を辞める http://ow.ly/26Vuk  [in reply to jinjour_editor]
  • 09:08  武田薬品工業 長谷川閑史社長:社員の多国籍化を推進、MR(医薬情報担当者)などの専門職を除いた総合職については今後、新卒社員の一括採用を辞める: http://ow.ly/26Vuk
  • 09:04  ブログを書きました。小石と虹と軍手:都会で子どもを育てるということ、です。僕は北海道出身で、都会で子ども時代を過ごしたことがないので、時に、都会で子育てをしていると、戸惑うよ、というお話です。 http://ow.ly/26VrZ
  • 06:43  Chan(2010)は、労働者の教育レベル、各業界のIT浸透度、給与の関係を調査(http://ow.ly/26U1z)。IT化は、教育水準が低い多くの労働者の給料を圧迫。IT化が給料を押し上げるのは、教育水準が高い個人にのみあてはまる。 http://ow.ly/26U1A
  • 06:38  デジタル教科書 性急な「導入」には反対だ(7月5日付・読売社説) http://ow.ly/26TX8
  • 06:31  研究者にとっての労働(研究)環境ランキング RT @enodon Best Places to Work 2010: Academia - Top 10 International Academic Institutions http://ow.ly/26MCe  [in reply to enodon]
Powered by twtr2src.   

投稿者 jun : 2010年7月 6日 09:21