英語ができない役員は2年後にクビにします:あなたは、グローバル化にどのように向き合い、何をなしますか?
昨日のTwitterで話題になったのは、下記の記事です。
楽天の三木谷社長が「英語ができない執行役員は、2年間猶予を与えるが、2年後にできなかったらクビにする」という発言をなさったことでした。
三木谷浩史・楽天会長兼社長――英語ができない役員は2年後にクビにします
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/810ee47297d49033c2a4b43a0a5216e0/page/1/
三木谷さんは、楽年を「世界一のインターネットサービス企業にする」という企業戦略をかかげた上で、こうおっしゃっています。
■インド人、中国人も積極採用し、幹部候補生として育てている。
もう国籍は問わない。中国人、インド人は今までエンジニアが中心だったが、今後はビジネス系の職種も採用する。そのために英語を公用語化した。日本語だと、日本語がしゃべれないとハンデになるが、英語になった瞬間に全員が平等になる。
昔から「英語だけしゃべれて仕事ができない奴がいっぱいいる」という人が必ずいるが、もう英語は必要条件。読み書きそろばんのそろばんと同じ。その意味で、英語がしゃべれない社員は問題外です。
そうはいっても、「いきなり明日から英語をしゃべれ」というのは無理でしょうから、2年間は猶予を与える。2年後に英語ができない執行役員はみんなクビです。
(同Webより引用)
■部長以下の役職の社員についてもそれは同じですか。
グローバルに展開していくんですから、業務進行上の支障があれば、降格せざるをえない。
(同Webより引用)
その上で、三木谷さんは自ら中国を学ぶことにも挑戦なさっているそうです。リーダー自ら言行一致することを、おそらく、自らに課しているのでしょう。
中国語を学ぶ意味は二つある。一つ目に、僕は英語は半分ネーティブなので、みなに英語を義務づける分、僕も新しいことをやれば文句ないだろうと(笑)。二つ目に、中国市場は楽天のビジネスにとって将来的に極めて重要。最低でも30年後には、中国語圏のマーケットは英語圏を超えるでしょうから、中国の人と片言でもしゃべれるようになっておきたい。
(同Webより引用)
実際に楽天では、5月あたりから、社内の公用語を「英語」にしたといいます。経営会議から始め、一般業務の会議も英語に徐々に英語にしているそうです。日本人同士の会議においても、英語を使う、というのですから、ものすごい徹底ぶりです。一時的に業務効率が下がることは気にしていません。
■日本人同士で英語を話すと、効率が落ちるのではないかという声もありますが、そうした問題は乗り越えられますか。
簡単に乗り越えられる。1年後にはまったく問題ないでしょう。
(同Webより引用)
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楽天ほどラディカルではないにしろ、グローバル化に関する動きは、今年になってからビジネス界に、急速に広がっています。
若手社員を1年間新興国で研修させたり、中国・インド、あるいは日本大学を卒業した留学生を大量採用したり・・・。
人口減少と内需縮小により、日本市場の拡大が見込めない中、「海外進出」を経営戦略にかかげ、そのための人材マネジメント、言語政策の転換を図っているのです。
例えば、数日前のニュースでは、日本の大手企業が、幹部候補の外国人を積極大量採用するというニュースが流れました。
パナソニックは前年比5割増の1100人。ファストリは新卒採用の5割にあたる300名。東洋エンジニアリングは170人、ダイキン工業は中国でエアコン開発者を160名、楽天は新卒採用の1割から2割の100人。IHIは10人以上を採用するとのことです。
一時のブームのようにも思いますが、昨今の経済状況を考えると、かつて80年代におこった「国際化ブーム」とは、また異なる趣も感じます。今回は「やむにやまれぬ」幹事が漂っているように思うのは、僕だけでしょうか。
もちろん、すべての業種で、このような動きが起こっているわけではありません。ですので、すべての企業がグローバル化すべし、という議論ではありません。
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さて、こうした民間の動きを見て、教育業界は「対岸の火事」ですむでしょうか。
いいえ、経済界が動き出せば、おそらくは、早晩、その影響が教育業界にも及ぶのではないか、と推察します。それは、望むと望まないとにかかわらず。
学校教育と職業教育の関連性を密接にするべし、という議論は、経済界を中心に非常に大きいうねりになっています。もちろん「うねり」の主張が、「すべて妥当である」という風には僕は思っていません。しかし、それに対する、異議申し立てがあるのであれば、今まさに、声をあげるべきですし、議論をなすべきです。
実際、楽天の三木谷さんは、下記のような発言をなさっています。
■楽天と同じことを多くの日本企業がやり始めたら、日本が本当に変わり始めるかもしれない。
いちばん重要なのは、中学校の英語の先生をみな外国人か本当にペラペラしゃべれる人に替えること。今の先生を教育し直すのは、時間とカネのムダなので、別の科目に移ってもらったほうがいい。そうしたら絶対に変わる。日本の競争力が上がる。小学校からの英語教育と併せて、すぐにでもやるべき。
小学校に英語教育が導入され、中学校の英語の先生がそうならざるを得ないのであれば、高校だって、大学だって、検討に値するのかもしれません。
ちなみに、本学では、授業・教育サービスのグローバル化・英語化の議論が、今年になって様々なレベルで議論されています。僕は、センターで、東京大学全学の教育企画に関与していますので、様々な学内の機関・教員から、グローバル化に関する議論を耳にします。
例えば、東京大学工学系研究科は、英語による授業や事務の推進を図る「国際教育機構(仮称)」を立ち上げ、大学院の授業のうち5年で3割強、10年で7割を英語での講義に転換するとしています。いくつかの学科は、講義の英語化を検討しています。また、あまり知られていないですが、すでに完全に英語化しているコース、学科もいくつか存在しています。
いずれにしても、教育業界に対しては、「学校の世界」と「仕事の世界」の間の「スムーズな接続」が、社会的ニーズとして求められています。くどいようですが、それは、望むと望まないにしろ、です。
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この動き、今後、どのように広がるのでしょうか。
とても、興味深いところです。
否、違う。
そういう「他人事の問題」としてではなく、本当に今なすべきは、「自分の問題として考えること」なのかもしれません。
組織や社会や業界が、いかに、それと向き合うかは、個人には決められません。それは個人のあずかり知らないところで、決まってしまうことも多いでしょう。
しかし、「あなた」が、それにどう向き合うかは、個人の意思・選択の問題で可能なことです。もちろん、そこには「正解」も「不正解」もありません。もちろん、意思を持たない、選択しないというのも、「選択」のうちです。
あなたは、グローバル化にどのように向き合い、今、何を、なしますか?
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■2010年6月18日 中原のTwitterタイムライン
- 20:03 RT @n_231: 人材育成の研究・・暗黙知的要素が多すぎて有効な科学的アプローチがきびしそうな気がしますね。それとももっと簡潔な知識状況を想定しているのだろうか。RT @ikiikilab: ブログ拝見しました.理工系目線
- 19:43 RT @ikiikilab: ブログ拝見しました.理工系目線だと「人材育成」というのは結果論に近いんですよね.なのでとても興味深かったです.「人材の研究」...その行き着く先は「システムを持たないシステム」かと仮説を立ててます http://ow.ly/2008S
- 18:14 RT @ssengoku: 国民的英語力向上の秘訣は、①米語ではなく英語 ② 文法ではなく「言い回し」、③ 読解ではなく聴解、と思うのですが、如何でしょうか。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 18:13 RT @Yoshinori96: もはや日本人採用枠やら留学生採用枠自体がなくなってひとくくりに採用されるようになるだろうな。その際に英語は必要条件になる。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 18:12 RT @carzoo_k: 確かにツールなんですが、教育でも仕事でも、「単なる」では済ませられない言語の重要性を日々感じています。RT RT @tarpending: 英語はあくまで単なるツール RT 英語ができない役員は2年後にクビ http://goo.gl/roxV
- 15:28 本部・センター長会議(代理出席)。浮いてます、小生。
- 15:23 RT @ma_wo: そういえば以前あるクライアントで、現場の人はみんな英語で仕事できるのに、役員のためだけに資料の日本語訳が必要だったことがあったなぁ。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 13:00 スクールリーダーがなすべきこととは? RT @HarvardResearch: Effective school leaders take time to define effective teaching for all employees http://ht.ly/1ZUPi
- 12:59 RT @pogi510: 三木谷さん自身は中国語の勉強もしています。英語云々ではなく、日本語しかできないことが障害になるのでしょうRT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 12:58 RT @ysakurai_JQ2GYU: 日本に展開している外資グローバル企業だと、シニアマネージャくらいから必須。どのくらいの英語力が必要で、どうやってその英語力をつけさせるか、という指針がそろそろ必要とされている? RT @mosshe: 役員クラスになると英語力は必須
- 12:29 RT @thinkingtrier: 英語が出来なくて仕事ができる人がいなくなるリスクよりも英語圏の優秀な人材を探すという作戦か。ならば二年後には楽天の役員は国際化しているはず。なかなか興味深い。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長)
- 12:28 RT @mosshe: 一見極端な気がするけど、グローバルに展開する企業の役員クラスになると英語力は必須な時代なのかも RT @nakaharajun: 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 12:12 RT @tarpending: 英語はあくまで単なるツールなんだから、ここまでストイックじゃなくてもな~、なんて個人的には思います。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 10:56 RT @sauza3: 10年前「PCやネットが使えない人とは仕事をしない!」と自分は言ってたが、同じ意味合いのことを今度は自分が言われる番になりそう...。 RT 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 10:32 英語ができない役員は2年後にクビ (楽天 : 三木谷社長) http://goo.gl/roxV
- 08:07 RT @Stakesh: 最も研究が遅れており、かつ、急務なのが「人材の研究」かもしれません RT "人材"を専門にする大学院を、学生さんが大学に提案する!?、です。@tkanai1954 http://ow.ly/2008S
- 07:17 RT @satoko_212: 興味深く拝見しました。わたし自身、教育学大学院で「国立大学職員の人材育成(いわゆる「SD」ですね)」について研究し始めているのですが、まさに「これって教育学?経営学?」という壁につきあたっています。両方の視点を持った先行研究があまりないので...。
- 06:43 ブログ更新。"人材"を専門にする大学院を、学生さんが大学に提案する!?、です。世間のここかしこで、「人材は重要だ」という議論がなされているのだから、それなりのニーズはあるのかもしれないな、と思いました。@tkanai1954 http://ow.ly/2008S
- 06:01 2000人限定になった模様ですね、上映は本日午後8時から:「ザ・コーヴ」ニコニコ動画で2千人限定上映へ (読売): http://ow.ly/1ZZ7J
- 05:57 BPの環境問題に対する、オバマのスピーチについて: (Harvard Business Review) http://ow.ly/1ZZ1K
- 05:55 ゲームを学びと結びつける(Quest to Learn : http://q2l.org/):そのための教師のトレーニングのあり方とは?: @NMHS_Principal http://ow.ly/1ZYYJ
- 05:51 Microsoft's Kinect Motion Technologyのビデオ、コントローラーを使わず、身体で操作(ビデオ):@BHallResearch http://www.brandon-hall.com/workplacelearningtoday/?p=10916
- 05:48 70まで働くためには能力開発が不可欠になる? :RT@BHallResearch http://www.brandon-hall.com/workplacelearningtoday/?p=10902
- 05:27 RT @ikiikilab: そうゆう中,リーディング大学院構想が動き出しますね.GCOEとはまた異なる概念,例えるなら新しい部局作りともいえる大学院創成か・・・ @keihirai 大学で教育的に新しいことを始めるのがいかに大変かを痛感してます。RT @nakaharajun
- 05:26 なるほど、今気づきました。深いですね RT @y_mochizuki: でも、変わらなくていい、という言葉でないところがポイントですね。 RT @nakaharajun:...
投稿者 jun : 2010年6月19日 07:12