"簡単に納得しないけれど、傾聴できる人"、それとも、"簡単に納得しないけれど、さっぱり話を聞かない人"?

 昨日日曜日は仕事で、本郷キャンパスへ。

 本郷三丁目の駅についたら、「きゃーきゃー」と若い人?(こういう言葉を使い始めるようになったら、オッサンです)の歓声が聞こえるので「どうしたのかな?」と思ったら、なんと、本郷キャンパスは「五月祭」だったんですね。知らなかった。。。

 なにやら、あとで聞いたところによると、安田講堂前で「永ちゃん:矢沢永吉」が熱唱したとか。ミーハーな僕としては、見てみたかった、リアル永ちゃん。

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 今日の仕事は「科研(文部科学省科学研究費の助成を受けた研究)の会議」への参加です。科研のテーマは、「人とロボットの共生する社会」をつくる、というとてつもない目的をもった、大型研究です。

 科研会議は、三宅なほみ先生(東大)、神田祟行先生(ATR)、大島純先生(静岡大学)、野口孝文先生(釧路高専)、白水始先生(中京大学)らと議論をしました。今年、何をやるか・・・少しイメージがまた深まりました。これは、もう一度、僕は、プロポーザルを見直そうと思います。

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 この科研における僕たちの挑戦は、

「ロボットを"よい聞き手"にして、人間にリフレクションを促すことで、さらに深い学習をつくりだそう」

 ということですね。一言でいえば、「Robot as cognitive partner」「Robot supported collborative learning」です。

「ロ、ロ、ロ、ロボット?」といぶかしがる方もいらっしゃるかもしれないけれど、かつて「コンピュータ」が黎明期には、それを学習に活かそうという話をすると、「コ、コ、コ、コンピュータ?」ということになったので、新規なメディアがでてくるというのは、そういうものです。詳しくは下記をご覧ください。

あなたのリフレクションを促してくれるロ、ロ、ロボット?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/01/post_1631.html

 会議の中では、協調学習にも話が及んだのですが、

「簡単に納得しない聞き手は、学びを促進しますよ」

 という三宅なほみ先生の言葉が非常に印象的でしたね。これはわかる方はわかると思うのですが、1980年代の三宅先生の「ミシンの研究:建設的相互作用」の研究を一言で表している言葉だと思います。

 要するに、人が共同して学ぶときに、お互いの仮説や考えに対して、なかなか納得しないんだけど、それでも、何とか説明をつけようとしていることこそが、お互いの考えを深くすることに役立つ、ということですね。

 僕は、これにもう1つ軸「アクティブに聞く/聞かない」を加えて、

"簡単に納得しないけれど、
  アクティブに聞くことができる聞き手が、学習を促進する"

 という仮説?妄想?を、今回の科研の趣旨に基づいて、思いつきました。
 ほんの、思いつき(笑)。

 軸を増やして2軸にした、ということは、4つの象限が生まれます。具体的にいうと、"簡単に納得する/しない"、"傾聴できる/できない"の二軸のマトリクスからは、4象限(4つのタイプ)が導き出されます。

1."簡単に納得しないけれど、
  傾聴できる人"

2."簡単に納得しないけれど、
  さっぱり話を聞かない人"

3."簡単に納得しちゃうんだけど、
  傾聴する人"

4."簡単に納得しちゃうんだけど、
  さっぱり話を聞かない人"

 学習の観点からいうと、やはり「1:簡単に納得しないけれど、傾聴できる人」がいいと思うんですね。「2:簡単に納得しないけれど、さっぱり話を聞かない人」ってのは、「ガンコもの」ってこと? これ、避けたいですね(笑)。

「3:簡単に納得しちゃうんだけど、傾聴する人」ってのは、「癒し系」?
「4:簡単に納得しちゃうんだけど、さっぱり話を聞かない人」ってのも、また、痛いね(笑)。

 学び的には、もしかすると、"簡単に納得しちゃうんだけど、さっぱり話を聞かない人"ってのは、マズイかもしれないですね(笑)。おそらく、本人的にも、この人は学べないし、この人の近くにいる人も学べないんじゃないかな、と。でも、「2」もイヤかな。。。あんまり近くに寄りたくないですね。

 嗚呼、書いてて悲しくなってきた。僕、この2つのどちらかだよ、絶対。基本「話を聞かない」もんなぁ・・・ごめんなさい。

 さぁ、皆さんは、どのタイプ?
 そして、あなたの周りには、どんな人が多いですか?

 "簡単に納得しないけれど、傾聴できる人"?
   それとも
 "簡単に納得しちゃうんだけど、さっぱり話を聞かない人"?
   それとも、
 "簡単に納得しないけれど、さっぱり話を聞かない人"?

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■2010年5月30日 中原のTwitterでの発言

  • 20:48  RT @red_data_sl: @nakaharajun 「センセイは話を聞かない」は、ホントその通りですね...。聞いてない、聞いてても覚えていないことを前提に仕事をする習慣が身に付きました...でもサブリミナル効果にしかならないとしても、プレゼンはしておかないといけないのですよね。
  • 20:48  RT @clione: このマトリクスでいくと「簡単に納得しない×傾聴できない」が多数派になりそうな気がします。特に傾聴はトレーニング受けないと難易度高いと思います。RT "簡単に納得する/しない"、"傾聴できる/できない"の二軸のマトリクスからは、4象限(4つのタイプ)
  • 20:22  おぉ、、、今日は大学にいたのに、リアル「永ちゃん」、見たかった・・・。小生、ミーハー。矢沢の永ちゃん、東大で熱唱「ヨロシク!」:http://ow.ly/1RK6H
  • 19:29  RT @okamoto4433: @nakaharajun 私の場合、社会人デビューが広告業界だったので「聴いてもらえない前提」のコミュニケーション(プレゼンしかり)が骨身に凍み、叩き込まれました。
  • 19:28  なるほど、それもこまりますね、、RT @Setsuko_412: 簡単に納得するけどちゃんと聞いてない人のほうが大変かも。いわゆる学習能力のない人(苦笑) RT "簡単に納得する/しない"、"傾聴できる/できない"の二軸のマトリクスからは、4象限(4つのタイプ)が導き出されます。
  • 18:28  僕は新人の頃、「他人は話を聞かない」ということを前提にして、プレゼンをつくることを学びました。RT @okamoto4433: 他人はあなたの話を聴かない。御意 RT : 「お習字プレゼン」中。お習字プレゼン: http://ow.ly/1RH7O
  • 18:25  RT @ymajima: @nakaharajun 私が一番成長したと思う期間の上司がこのタイプの聞き手でした。でもそんな幸運がない場合は、良い聞き手を見つけ(1)、かつ自分に付き合ってもらうインセンティブを与える(2)という2つのハードルがありますね。
  • 18:05  RT @y_ski_25: 端的で、第三者的で、建設的な質問がこのアクティブさを醸成すると、個人的には考えます。 RT @nakaharajun "簡単に納得しないけれど、アクティブに聞くことができる聞き手"が、学習を促進する。
  • 18:02  "簡単に納得する/しない"、"傾聴できる/できない"の二軸のマトリクスからは、4象限(4つのタイプ)が導き出されます。簡単に納得せず、頑迷で、しかも人の話を聴かない人というのもいます。RT "簡単に納得しないけれど、アクティブに聞くことができる聞き手"が、学習を促進する。
  • 15:14  "簡単に納得しないけれど、アクティブに聞くことができる聞き手"が、学習を促進する。
  • 14:12  1)出来事をいかに記録するのか(Active:ロボットから学習者へ問いかけすることによる記録、Passive : 学習者の客観的記録)、2)記録した情報をいかに可視化・ハイライトさせるか(Visualization)、3)学習者にいかに要約させ・センスメイキングを可能にするのか?
  • 13:57  三宅なほみ先生(東大)、神田祟行先生(ATR)、大島純先生(静岡大学)、野口孝文先生(釧路高専)、白水始先生(中京大学)らと議論中。僕の中では、ロボット研究、ライフログ研究、リアルタイムドキュメンテーション研究、ワークショップ研究が1つの線でがつながった気がする。
  • 12:26  「お習字プレゼン」中。途中までできた。あとは「習字」で書いたスライドを、スキャンして、プレゼンにはっつけるだけ。時間切れなので、帰ってやる。お習字プレゼン: http://ow.ly/1RH7O
  • 10:00  本郷三丁目駅。今日は、いつもより、若い人が多く、いやに混んでいるなぁ・・・と思ったら、本郷キャンパスで「五月祭(http://ow.ly/1RFlu)」なんですね。いいねぇ、、、みんなは「祭り」、オレ「仕事」(泣)。これから学術創成科研の会議です。
  • 09:22  国立大学の現状がリアルにつたわってくる。RT@next49「メモ:国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ(案))を読んで」をトゥギャりました。 http://togetter.com/li/25197
  • 07:39  東大が配信している授業ビデオ(Podcast)を100講義ほど視聴したToshismが、涙ながらに・・・泣く泣く・・・たった5つ!たった5つに厳選!RT @yuuhey: 大人になった今だからこそ楽しめる東大Podcast5講義 http://bit.ly/bLPsdl
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投稿者 jun : 2010年5月31日 06:59