組織の中で学ぶことは「みんなの問題」&中原ゼミの革新
大学院授業「組織学習システム論」が3回目の授業を終えました。ここまで扱っていたのは、「組織社会化(Organizational Socialization)」です。組織社会化には、「星」の数ほどの定義がありますが、一般には
「組織の目標を達成するために、組織で必要とされる知識・技術を身につけること、さらには、組織の価値観などを内面化し、そこに順応していくこと」
と考えられるでしょう。この授業の第一クォーターでは、下記に示すように、組織社会化の「古典的な論文」を読んで、その研究の広がりを「浅く広く」勉強しています。
組織学習システム論シラバス
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/2010_6.html
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この授業をしていて、僕自身が面白いと感じるのは、組織社会化を含めて「組織と学習」の問題、というのは、「みんなの問題」だということです。だって、何らかの組織や集団に属し、そこで様々な知識や技能を高めたり、そこで様々な人とかかわりあいながら、何かを成し遂げ「ない」人は「いない」でしょう。大学生や大学院生でも、サークルに所属したり、アルバイトという職場をもっていたり、研究室という集団に属しています。
程度の差こそはあれ、みんな、この「組織と学習の問題」に、何らかのかたちで関与したり、取り組んだりしているのです。
ですので、僕は授業の中で「組織学習システム論で扱う問題は、みなさん自身の問題なのですよ」とよくいいます。「皆さんが、もしサークルや研究室のリーダーだったとして、新人が入ってきたら、このときにはどうするか」という具合に問いかけるのです。
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授業では、例のごとく、僕は、最初の10分のレクチャーと、最後の15分のファシリテーション&解説しかしません。そのほかの時間は、大学院生によるプレゼンテーションが35分、その後のディスカッションが30分くらいです。
いわゆるレクチャーをしないので、相変わらず、「税金ドロボー」と揶揄されているのかもしれませんが(笑)、僕は、このスタイルの授業で教育効果を高めることには、それなりの自信をもっています、悪いけど。
くどいようですが、組織と学習の問題は「みんなの問題」です。僕が「答え」をもっているわけではありません。その「答え」は、みんなの「中」にあるのです。後期には、教育学部でこの授業をやります。こちらでは、今のところ、少しケーススタディなどを取り入れながら、やっていこうかな、と考えています。
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大学院中原ゼミの活動も本格化してきました。今年は、前ゼミ長の館野君が中心になって、さらにゼミのやり方を変えました。これについては、詳しくは、企画者である館野君が報告してくれると思いますが、
1)大学院生が研究発表をするたびに、それを聞いている全員が「コメントシート」というのをWebで入力する(全員が見ることができます)
2)発表した本人は、発表終了後「内省シート」というものに入力し、次回までのマイルストーン(スケジューリング)をWebで入力する(全員が見ることができます)
というスタイルを採用することにしました。ここで入力された情報は、定期的に、ゼミ内のメーリングリストに自動送信され、全員が共有できる、という仕組みです。これまでは、下記のようにアナログでやっていたのですが、これをデジタル化したということです。
館野君のWebページ(きっとここに近いうちにアップされるでしょう・・)
http://www.tate-lab.net/mt/
さらには、研究室のTwitterアカウントをつくって、コメントシートや内省シートに書かれている教訓(その日、学んだことを各人がまとめたもの)を(将来的にはbotで?)発信することになっています。
中原研究室 on Twitter
http://twitter.com/nakaharalab
このように研究室やゼミのあり方を見直すことには、一応、理由があります。中原研究室は、「大人の学びを科学する」がキーワードであり、扱っている研究テーマが職場学習、組織学習などです。
「おまえは、"組織の中の大人の学習"を研究しているけれど、おまえのやってる組織自身が、一番学べないやんけ!」
と言われるのがイヤなので(笑)、自分自身も、なるべく気をつけるようにしています。
「中原研究室の文化は、"変わる"ことです」
とゼミの大学院生には言っています(笑)。
ありがたいことに、ゼミの大学院生がイニシアチブをとって、いろいろ、研究室の革新に取り組んでくれています。福山君の提案している本購入システムも、そのひとつでしょう。そういう「提案」を非常にありがたく思っています。
「とりあえず、やってみる!」
「やってみて、動かしてみて、考える」
「失敗だと思ったら、改善する」
「それでもダメなら、すぐやめる(笑)」
を重視して、これからもゼミの革新に取り組んでいきたいです。心地よく、愉快なゼミをつくるのは「教員の努力」だけではできません。それは、他ならない、ゼミにかかわるすべての人の問題、「自分たち」の問題です。
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嗚呼・・・今日は教育活動の話をしました。
このほかにも、センターの仕事、東大の教育の情報化に関するプロジェクトマネジメントや将来構想計画の策定、論文や本の執筆、講演の準備やら、何やらかんやら、あります。
仕事は、望むと望まないとにかかわらず「ふってくる」ものなのですが、これが不思議なことに、スケジュール的にかなりリスキーでも、「本当に間に合わず、落としてしまうこと」は「ない」のですね。「人生、綱渡りだな」と最近、よく思います。
というわけで、忙しい毎日を過ごしています。
でも、もう仕事はいらん(笑)。
そして、人生は続く。
投稿者 jun : 2010年4月28日 09:42
佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃」を読んだ!:ナレッジワーカーは、いかに働き、いかに学べばいいのか?
佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃」を読みました。本書は、一か月くらい前?に、電子版が100円で公開され、アクセスの集中により、サーバダウンしたことでも、有名になった書籍です。
本書で、佐々木さんは、現在、米国で起こっている電子書籍プラットフォーム戦争の実態、電子書籍ビジネスの巧妙なビジネスモデル、今後の出版の在り方を、包括的に論じています。
出版に関するステークホルダー、人工物が協調可能な「新たな生態系(Eco system)」が形成される必要がある - 別の言い方をすれば、アクターネットワークが形成される必要がある - これが筆者の主張ではないか、と思います。
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著者が「出版ビジネスの今後」を予想するうえで、メタファに用いているのは、音楽ビジネスです。音楽の世界は、iTune Music Storeの誕生により、アンビエント化・フラット化・マイクロコンテンツ化が進行しました。
つまり、こういうこと。
「いつでも、どこでも、機器のややこしい操作を意識することなく、音楽が偏在するようになり、古い曲だろうと、新しい曲だろうと、アルバムのうちの1曲だろうと、自分の好きな曲を、自分に聞きたいように聞くことができるようになった」
このような中で、アルバム、CDパッケージ、それに付随するレコードショップというビジネスは、急速に意味を失っていきました。
「マス」を対象にしたメガヒットというものが少なくなる一方、アーティストが自分の曲作りに関心のある小さなコミュニティ - 別の言い方をするなら、アーティストがローカルに構築するビオトープ(生息空間)に集う人々に対して、曲作りを行う、という試みもはじまっていきます。
レーベルやレコード会社といった「わけのわからないもの」に「中間搾取」をされるくらいなら、ダイレクトに、自分の曲作りに関心のあるリスナーとつながりたい。こういうアーティストが誕生してきています。これは、中間マージンを取得し続けてきた側からみれば、一言でいうと、「中抜き」ということになります。
従来ならば、こうした思いをもっても、エンドユーザーであるリスナーとアーティストが直接つながることは難しい状況でした。しかし、今の時代、人々は強力な武器、マーティングの手段をもっています。私たちは「ネット」を手にしているのです。
SNSやTwitterというソーシャルストリームは、アーティストとリスナーたちの集うローカルコミュニティ(ビオトープ)の形成にとって重要な意味をもちはじめました。彼らが行うコミュニティのケア、情報発信によって、あちら側とそちら側を隔てている境界が少しずつ曖昧になり、共通のコンテキストが形成されはじめるのです。
かくして、今、「私自身がメディアになる時代」・・・すなわち、「セルフパブリッシング」の時代がはじまろうとしています。
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こうした音楽ビジネスの動向を、「出版」に「投射」しつつ、筆者は、出版ビジネスの今後を描きだそうとしています。
筆者によれば、出版の近い将来の「生態系(Eco system)」とは、
1.キンドルやipadといったような電子ブックを購読するのにふさわしいタブレット
2.これらのタブレットで本を購入し、読むためのプラットフォーム
3.電子ブックプラットフォームの確立が促すセルフパブリッシングと本のフラット化
4.そしてコンテキストを介して本と読者が織りなす新しいマッチングの世界
として立ち現われることになります。
もちろん、これは仮説であり、現実のものになるかどうかはわかりません。しかし、興味深い仮説であると思いました。
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本書で論じられているような「電子書籍、あるいは、出版ビジネスの攻防」の現状に関しては、僕は、人並みならぬ関心をもって、これまでウォッチしていました。ブログやTwitterでこれまでつぶやいてきたことがあります。
出版は今後どうなるのか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/01/post_1637.html
出版業界の未来予想
http://twitter.com/nakaharajun/status/7738016633
出版業界に直接関与していない僕が、なぜ関心をもっているのか。
もちろん、書籍、出版というものに、自分も、「書き手」として少なからず関与しているせいもあるのですが、実は、それだけが理由ではありません。むしろ、それは10分の1くらいの関心くらいしかありません。ipadが勝つか、kindleが勝つかは、出版業界の方にとっては大問題かもしれませんが、僕には、大きな問題ではありません。
それでは、これらの書籍を読む動機の10分の9は、何によって支えられているのか。それは、出版ビジネスのビジネスモデルの変容を見ることによって、
1)今後のナレッジワーカーは、どのような振る舞いや能力が求められるようになるのか
2)ナレッジワーカーとコンシューマーの関係は、どのようなものになっていくのか
3)ナレッジワーカーは、今後、どのようにしてプラットフォームとつきあっていけばよいのか
を考える参考になると思っているからです。これらの問いは、僕の専門分野にかなり近いところに位置します。
つまり、僕は、電子書籍の攻防、出版ビジネスの覇権争いを、文字通り読んでいるわけではありません。僕は、ナレッジワーカーの働き方・学び方の本」として、本書を含め電子書籍関連の書籍を読んでいる、ということです。
佐々木さんが指摘している「今後のジャーナリストに求められるもの」は、そのことを考える上で、大変参考になりました。僕が、これまで冗談めかして述べてきたこと、しかし、その実はきわめてまじめに語ってきたこととと、ある程度、近いことがふれられているように感じました。
曰く、
1.的確なタイミングで、的確な内容のコンテンツを、的確なスキルを駆使して、多様なメディアから情報発信する能力
2.多くのファンたちと会話を交わし、そのコミュニティを運用できる能力
3.自分の専門分野の中から優良なコンテンツを探してきて、他の人にも分け与えることができる選択眼
4.リンクでお互いがつながっているウェブの世界の中で、自分の声で情報を発信し、参加できる能力
5.一緒に仕事をしている仲間たちや他の専門家、そして自分のコンテンツを愛してくれるファンたちと協調していく能力
Twitter能力論
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/01/twitter.html
もちろん、上記のジャーナリストの能力論をそのまま、よりジェネラルなナレッジワーカーにあてはめることはできません。
しかし、企業・組織の「境界」が曖昧になり、フリーエージェント化が進む同領域の人々にとって、それぞれがローカルコミュニティを持ちながら働くという将来像は、あながち、「関係がないもの」ではないな、と思っています。
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本書は、電子書籍をめぐる「現在の攻防」の様子を知る上で、とても貴重な一冊だと思いました。
しかし、同時に、あなたがナレッジワーカーであったとしたら、私たち自身が、どのように生きていくべきか、働いていくべきか、学んでいくべきか、どのように自分の能力を高めていけばいいのかを考える一冊であるとも思いました。
投稿者 jun : 2010年4月25日 08:51
3行127字のマネジメント:株式会社サトーさんの"三行堤報"、そして「病児保育代支援」
昨日は早稲田大学で講演でした。オーディエンスは、企業の役員層・部長層200名程度でしょうか。「伝わらない組織」というテーマで、企業内のコミュニケーションの問題を学習論の立場からお話ししました。コーディネータの根来龍之先生(早稲田大学)、早稲田情報技術研究所の加藤さんには、大変お世話になりました。この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。
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講演でご一緒したのは、株式会社サトー 取締役経営顧問 藤田東久夫 氏さんでした。藤田さんの講演では、サトーさんが実施している"三行堤報"の試みがご紹介されました。
"三行堤報"は、一言でいえば、社内版Twitter。トップが、社員からの様々な要望、気づき、不満等を聞くために行われています。社員の方は、日々の気づきを三行127字で、毎日提出する義務があるそうです。提出率は、99.96%。何らかの障害が生じない限り、全社員が提出しているそうです。
1900名の社員の方々から提出された"三行堤報"は、社員の中の数名によって構成されているスクリーニングチームによって、スクリーニングされ、50通程度に減らされます。社長には毎日、その50通が送られるとのことでした。スクリーニングチームは、持ち回りで交代します。性別・役職・年齢などが偏らないように、「多様性」を重視することが重要である、とのことでした。
社長以外にも、社員の書いた"三行堤報"は、全社員が見ることができます。自分の部門が、他の部門からどのように見られているのか。他の部門が察知した様々な情報で、自分の部門に関係するものはないか・・・DBを検索して"三行堤報"を見ている方も少なくないそうです。ナレッジマネジメントグループの野木りえ子さんは、そんなことをおつしゃっていました。
"三行堤報"がきっかけで、女性社員の制服が替わったり、様々な日々の非効率なオペレーションが廃止されたこともありそうです。また、日本各地の社員から、様々な情報が寄せられるため、世の中の他社の動きがわかり、それがきっかけで数十億の「特需」を産んだこともあるとのことでした。
「トップがほしいのは、加工されていない生きたボトムの情報です。幹部の動きは経営会議でわかります。死んだ情報ではなく、生きた情報がほしいです。もしボトムの声がわかっていたら、経営会議で幹部が発言したときに「でも、現場は違うって言っているみたいだよ」と経営者が言えます。その言葉を経営者が口にできるかどうかは、非常に大きな意味があります」
という藤田さんの言葉が印象的でした。
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実は、この話、Twitterでも盛り上がりました。下記に「@heartlogicさん」がつくってくれた「まとめサイト」がありますので、もしよろしければご覧ください。他の方が行ったヒアリングでは「三行提報があるからサトーにマーケティングは必要ない」という言葉も聞かれたそうですよ。
まとめサイトです
http://togetter.com/li/16075
また、同種の試みをしている企業としては、六花亭(お菓子)、マンダムさんなどがあるそうでした。また、最近では、企業のイントラネット内で運用するTwitterライクなコミュニケーションツール「Yammer」などが注目されています。ヒアリングでお邪魔したいくつかの会社で、僕も目にしたことがあります。
Yammer
https://www.yammer.com/
企業・組織の中のコミュニケーションを見直す・・・いくつかの成功事例の背後には、形骸化して硬直化した、多くの企業の「週報」「日報」があるとは思いますが、興味深い試みですね。
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追伸1.
ちなみに、藤田さんは"三行堤報"で博士号を取得なさったそうです。素晴らしいことですね。Ciniiで検索すると、様々な論文がでてきました。
経営者の意思決定と経営戦略 : リーダーシップ主導型の戦略論アプローチ(一般:投稿論文)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004741080
経営トップの能動的な末端情報の収集と選別及び処理について
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002973513
また、下記のようなご著書も上梓なさっています。
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追伸2.
実は、昨日はサトーさんのことで、非常に印象深いもうひとつの出来事がありました。なんと、サトーさんでは「社員の病児保育代金、会社が持つ」という試みをはじめるそうです。Twitterのフローレンス・駒崎さんのタイムラインで目にしました。
これまで、サトーさんでは、看護休暇・病児休暇などが整備されていたそうですが、今回の試みは、それに加えて、さらに制度を拡充するそうです。
働く女性、共働きの家庭にとって、最も障害になるのは「子どもが病気になったとき」です。我が家も、これにこれまで苦戦苦闘してきました。仕事場と家庭のあいだを、何度も往復したことが、数え切れないほどあります。「子どもが病気になったとき」に必要な支援は、その家庭の労働環境、職種、経済状況によって様々に異なるでしょう。経済的な支援を受けられる、というオプションの追加は、非常に意味のあることのように感じました。
プレスリリース
http://www.sato.co.jp/topics/release/2010/document/20100226.pdf
投稿者 jun : 2010年4月23日 09:52
「決戦は金曜日」・・・ユニチャームさんの成功事例共有会
「決戦は金曜日」・・・あなたは、このワンワードを耳にして、いったい、何を思い浮かべますか?
小生の場合は、、、
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でございました(笑)。
ドリカムは、中学校、高校時代に、僕の同年代の人がもっとも耳にしたアーティストの一人でしょう。ちなみに、どうでもいいことですが、ドリカムの吉田美和さんは北海道出身ですね。寒いとこから、内地にきたのね、あなたも。なぜか、わたくしは、親近感がわいてしまうのです。
閑話休題。
ところが、「決戦は金曜日」というワンワードが「全く違う意味」に聞こえる会社があるのだそうです。先日、ダイヤモンド社の永田部長、菊池さん、熊本大学の北村先生と打ち合わせをしたときに、永田部長が紹介してくれたのが、ユニチャームさんの、この事例です。日経MJに掲載されていたそうです。少し長いですが、引用してみましょう。
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ユニチャームには、「決戦は金曜日」という合い言葉がある。金曜日は営業活動を休み、全担当者が販売情報や売り場陳列の成功体験を共有する日だ。翌週の行動のすべてを決め、成果を最大限に発揮させるのが目的だ。
4月2日午前9時、東京都港区の本社。27階の一室に首都圏の営業担当が集まり、全国⑱拠点をテレビ会議で結んだ。(中略)(決戦の金曜日で)最も重要なのが、各拠点からつのった商談の成功事例の発表。単なる商品の並べ方だけでなく、どういう過程で上司や仲間に問題点を相談して解決し、いかにバイヤーに食い込み、売り場獲得につなげたのか、裏の裏まで子細に伝える。
会議終了後は、5名から6名のチームでさらに話し合い、翌週の月曜から木曜までの行動予定を細かく決定。
(中略)
国内事業では、子ども用紙おむつや生理用品で培ったノウハウを、成長途上である大人用やペットシートなど他の分野へ、いかに移植できるかという「成功体験の共有」が今後のキーワードである。
ーーー
この事例、僕は、「組織学習(Organizational learning)」という概念、あるいは「組織リフレクション(Organizational reflection)」という概念を説明する好事例だな、と思いました。
印象深かったことは2点です。
ひとつめは、この種の「成功体験の共有会」でよく起こるのは「成功した"結果"を共有すること」であるのに対して、ユニチャームさんでは、「どういう過程で上司や仲間に問題点を相談して解決し、いかにバイヤーに食い込み、売り場獲得につなげたのか」という「プロセス」を、いわば「ストーリー」のようにして共有していることです。
実際の私たちの仕事には、必ず「ストーリー」があります。
ある状況において、自分は、どう判断して、仲間はどのような反応をしめし、上司はどのように判断をくだし、それがどのような結果を生み出したのか。そうしたストーリーを編み、共有することで、同じような状況にたった場合の判断の準拠基準が生まれるのではないか、と思いました。
ふたつめは、「会議終了後は、5名から6名のチームでさらに話し合い、翌週の月曜から木曜までの行動予定を決める」ことです。この種の「成功体験の共有会」は、とかく「成功体験を聞いて終わる会」になりがちです。しかし、提示された情報をしっかりと受け止め、リフレクションし、さらにそれをアクションにつなげる、というアイデアがすばらしく感じました。
「アクションなきリフレクション」はどこか虚ろに響きます。しかし、「リフレクションなきアクション」は、海図を持たずに大海原に旅立つようなものです。「アクションにつながるリフレクション」、「リフレクションにつなげるアクション」がとても大切なことのように思えます。
今日は、某大学で、これから講演なのですが、この話も少し織り交ぜてお話ししようかな、と思っています。
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嗚呼、「速く走ること」が求められる時代です。ともすれば「深く考えること」は、それとは拮抗する物事とみなされ、ないがしろにされがちです。
しかし、その時代を生き抜く人間のひとりとして、本当に大事なことは、
速く走る・・・ために、深く考えること
なのではないかな、と思ったりもするのです。
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明日は、金曜日。
そう、「決戦の金曜日」です。
あなたには、「決戦の金曜日」がありますか?
投稿者 jun : 2010年4月22日 12:46
イブニング・ダイアローグ代官山で「がちゃトーク」?
長岡健先生、武内千草先生(産業能率大学)が、昨年から、やっておられる「イブニング・ダイアローグ@代官山」が、5月28日に開催されます。僕は、去年に一度、講演者として参加させていただきました。代官山という土地柄もあるのでしょうけれど、非常にオシャレな「場づくり」をなさっていて、非常に心地の良い学びの空間でした。毎回盛会であったと聞いています。
実は、こちらは、これまで「クローズなサロン」として運営されていましたが、今年から「オープンなサロン」として運営なさることにしたそうです。下記にWebページができたそうですので、ご紹介します。
イブニング・ダイアローグ@代官山
http://www2.hj.sanno.ac.jp/daikan/index.html
初回5月28日のテーマは、
研修はどうなる?研修をどうする?
人材育成の未来にある「研修」の姿を考える
です。研修という「学びの場」、あるいは、研修ビジネスというものの「近い将来」を考える機会になる予定です。長岡先生と僕の「がちゃトーク」も予定されております。
がちゃトーク
http://jigajisan.net/byo.html
限定40名の会なので、もし参加をご希望の方は、お早めにどうぞ。
代官山でお会いしましょう!
投稿者 jun : 2010年4月21日 12:02
ブログとTwitterの関係について:つぶやきプッシュで、核心以外で魅せる!?
最近なかなか「悩ましい」のが、「ブログ」と「Twitter」の「書き分け」です。別にどちらにも「かかな、あんた、終わりやでー」的な「特別の義務」ないんで、「適当に愉しんでやればー」と言われれば、「だよねー」で終わる話なのですが(笑)。だから、正直ベース「悩ましい」のはウソだよね。正直にいうと、もはや10年以上、Webでつらつらと書いてきた人間としては、「ちょっぴり気になる程度」。
でもさー、奥さん、ちょっと聞いてー。
僕の時間が「有限」で、どちらにも、同じくらい「違ったタイプ」の「楽しさ」を感じられるのだとすれば、どちらにどれだけの時間を「割くか」するかを、やはり考えてしまうのですね。やっぱりブログを書くと、Twitterに書く量は少なくなるし、Twitterやりはじめると、ブログへの接触は、相対的に少なくなりますね。
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特に気にかかるのは、ブログを主に見ている人からは、
「最近、ブログの投稿減ったよねー。Twitter、僕はやってないんだよね。Twitterの方だけ書くんじゃなくて、もっとブログに書いてよ、毎日」
と、本当によくよく言われます。
あ、痛。
主にTwitterを使っている人からは、
「最近、中原さんのTwitterみてるよ。ブログは見なくなったな。」
と言われてしまうことです。
あべし。
ちなみに、「事実」をご紹介すると、きのうさ、アクセス分析をしたら、僕のブログへのアクセス数・ページビューは、Twitterをやりはじめてから「倍増」とはいきませんが、一年前の同時期に比べて1.4倍くらいにはなっているのです。その原因は様々なものがありますが、その一因には「Twitter」もあるでしょう。
たとえば、アクセス解析の結果をペッペッとSPSSにはって調べてみると、「1日にTwitterでつぶやいた量」と「同日のブログのアクセス数」には、中程度の統計的有意な相関が認められるのです(笑)。「暇人」だね、我ながら(笑)。
つまり、
「Twitterでつぶやいたことと、同日のブログのアクセス数の増加には、関係あんじゃねーの」
ということですね。
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よく言われているように、ブログには「読者」は「情報をプッシュするチャネル」がありませんよね。対して、Twitterは、自分に興味関心の近い「ローカルコミュニティ」に対して「情報をプッシュすること」ができる。
もし、世の中の人々の「アテンション」を集めることが目的ならば、Twitterで「マーケティング」を行って、ブログに「誘導」する。これが、「今更ジロー」ですが(意味不明)、マーケティング的には「正解のひとつ」かな、と専門外ながら、実感します。
その上で、僕自身は、そうしたことに「挑戦」することは「100%」ありませんが、もしネットビジネスに興味をもっている人がいるのだとすれば、ブログでは情報を「ちょっと」だして、そのうちにユーザーの数パーセントを、「有料メルマガ」「物販」につなげていく、というビジネスモデルを組むこともできるのでしょうね。いわゆる、最近、流行の「フリーミアム」の一形態でしょうか。
ここで重要なことは
「ブログでは、核心以外の情報で魅せること」
でしょうね。
「核心の情報を見せる」のではなく、「核心以外の情報で魅せること」(笑)。そういうブログ、ありそうですね。
最近、ある人から「有料メルマガが立て続けに発刊されていますよ」という情報を得ました。れは、そういうことなんでしょう。特に、有料メルマガは、出版と違って気楽ですし、「出版社による中抜き」の割合が「出版」に比べて非常に少ない。なるほどねー、みんな、よく考えるよなー。
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とまぁ、今日はツラツラと、「教育」にも「研究」にも関係ないことを書きました。何を言いたいんだか、だんだんとわかんなくなってきましたが(笑)、僕のスタンスとしては、Twitterも、ブログも「愉しむ範囲内」でやっていきたいね、ということでしょうかね。要するに、無理をしないでね、愉しんでやれる範囲で。
でも、「一消費者」としては、少し「賢く振る舞わなきゃね」とも思います。ここ数ヶ月のメディア環境の激変によって、あの手この手のネットマーケティングが開発されていて、どうせなら、それらに翻弄されることなく、主体的に生きたいよね、ということですね。「主体的で賢い情報消費者・情報発信者」になりたいよね、ということです。
そして人生は続く。
さっ、しょーもないこと言ってないで、授業行くよ、そろそろ。
投稿者 jun : 2010年4月20日 11:15
看護経験を振り返ることの意味:書評「看護リフレクション入門」
東めぐみ編著「看護リフレクション入門」を読んだ。著者の東さんは、駿河日本大学病院看護部 教育担当責任者の看護師さんである。
著書では、まず、看護における「リフレクション」の意味を、理論的に位置づける。
「リフレクション」とは「経験によって引き起こされた気にかかる問題に対する内的な吟味、および探求の過程であり、自己に対する意味づけを行ったり、意味を明らかにするためのものであり、結果として概念的な見方に変化をもたらすもの」である(田村・津田 2008)。看護師は、日々の実践・経験を「リフレクション」し、その意味を確認することで、看護の質を向上させることができる。
リフレクションは、下記のプロセスから成立する(Gibbs flameworkを筆者が一部改)。
1) 記述・描写(Description : 何が起こったのか?)
【リフレクションしたい内容を語る】
・その出来事はどこで起こったのか?
・自分はなぜそこに居合わせ何をしていたのか?
・自分以外に誰がそこにいたのか? その人は何をしていたか?
・その出来事では、何が起こったのか?
・結果、何が起こったのか?
2) 感覚(Feeling : 何を考え、何を感じたのか?)
【自分自身に問いかける】
・その出来事で、自分はどういう気持ちで何を考えていたか?
・何が自分をそのような気持ち・考えにさせたのか?
・他者の言葉や行動がどのように関係しているか?
・その出来事の成り行きによって、自分の気持ちや考え
はどのように変化したか?
・今はどのような気持ちや考えになっているのか?
3) 評価(Evaluation : この経験の何がよくて何が悪かったのか?)
【評価】
・何がよくて、何がよくなかったのか?
・そこで起こった価値や重要性は何か?
4) 分析(Analysis : この状況から意図されるものは何か?)
【わかったことをまとめる】
・状況がよくするために他者が何を行ったか?
・状況がよくなかったときは何をするべきであったか?
・自分や他者は何に貢献できたのか?
・そもそもなぜこのような状況が起こったか?
5) 総合(Conclusion : 他に何ができたのか?)
【わかったことを総合する】
・探求をとおして自分自身に何ができたのか?
・自己のどのような成長につながったのか?
・他者の行動にどのような影響を与えたのか?
6) 行動計画(もし、また、それが起こったらどうするか?)
【未来を構想する】
・再び同じような状況になったとき、自分はどうするか?
このようなリフレクションのプロセスをとおして、
1) 学習ニーズを明確にしていく
2) 人としての個人的成長につながる
3) 専門家としての成長につながる
4) 習慣的な行為から脱却する
5) 自分自身の行動に気づく
6) 観察に基づく判断から理論を構築していくことができる
7) 不確実性の多い事柄を解決したり、決定することができる
8) 個人としての自己をエンパワメントしたり解放することができる
などの効果が得られるのだという(田村・津田 2008)。
後半では、11のケーススタディをとおして、看護師のリフレクションの実際を伝える。
乳がんによる外傷を抱えてしまった患者にどのように対応するか。糖尿病にかかってしまった若者に、どのようにして、生活行動を管理させればよいのか。脳腫瘍による苦しむ男性の最期をめぐって、どのように家族間の意見調整を行うのか・・・などなど、実際に「病棟」で起こりうるストーリー、看護師さんが仕事の中で出会ってしまう患者たちのアクチャルな現実をもとに、「看護師のリフレクション」が、いったい、どのようなプロセスをとおしてなされるべきかを伝えている。
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僕は「看護」は全くの門外漢だけれど、本書の魅力は「実践的な事例に基づいて、リフレクションの実際を伝えていること」であると思う。自分だったらどのように対応するのか、を考えながら読むことができた。いつか僕自身も、ビジネスの文脈で、こういう本を書いてみたいな、と感じた。
「看護」と「リフレクション」に関しては、これまで日本語で読める著書として(論文はたくさんある)、Burns and Bulmanらの「看護における反省的実践--専門的プラクティショナーの成長」があったと記憶している。こちらは理論的な内容だから、本書と重ね合わせて読むとよむと理解が深まるのではないか、と思う。もしよろしければ、手前味噌ながら拙著も、どうぞ。
そして人生は続く。
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追伸1.
5月20日:酒井穣さんをお招きするLearning barは、満員御礼につき、募集を締め切りました。ご応募いただいた皆さま、ありがとうございました。宿題本当にお疲れ様でした。本郷キャンパスでお会いしましょう!
次回のLearning bar
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/520_learning_bar.html
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追伸2.
夜な夜な「ハーバード白熱教室」を見ています。ハーバードで最も人気を誇る政治哲学のマイケル・サンデル教授の授業です。
授業は、誰もが頭を抱えてしまうような「トレードオフのストーリー」を受講生に提示することからはじめます。その上で、「もしあなたがその場にいたらどうするのか?」という「問いかけ」を行い、受講生を「ゆさぶる」のです。その上で、「公正とは何か?」について哲学的な議論を行う、というスタイルです。自分の授業のあり方を反省させられました。
この番組、NHKオンデマンドでも見ることができますが、4月23日(金)深夜1:15~第1回。4月24日(土)深夜1:05~第2回、第3回に再放送が決まったそうです。もしよろしければぜひ。
ハーバード白熱教室
http://www.nhk.or.jp/harvard/
英語はこちらで見ることができます
http://www.justiceharvard.org/
哲学は、わたしたちを私たちがすでに知っていることに直面させ、わたしたちに教え、かつ、動揺させる学問である。
(中略)
哲学は、わたしたちを慣れ親しんだものから引き離す。新しい情報をもたらすことによってではなく、新しいものの見方を喚起することによって引き離す。慣れ親しんだものが見慣れないものに変わってしまえば、それは二度と同じものにはなりえない。
(中略)
哲学とは、人を社会から距離をおかせ、衰弱させるような活動だ。ゴルギアス(対話の中)で、ソクラテスの友人のひとりカリクレスは、彼に哲学をしないように説得した。人生のしかるべきときに、節度をもって哲学を学ぶなら、哲学はかわいいおもちゃだ。しかし、節度をもたずに、哲学を学ぶなら、破滅する。
(Sandel, M.)
学問とは喜びであり、気づきである。
そして、それゆえに、学問とはリスクである!
投稿者 jun : 2010年4月19日 07:12
【締め切りました】5/20 酒井穣さんをお招きするLearning barの申し込みが「先着順」になります!
5/20 Learning bar 満員御礼になりました! 募集を締め切らせていただきます。ありがとうございました。ご応募いただいた方には、4月22日、確認メールをお送りさせていただきます。それでは、本郷キャンパスでお会いしましょう!
4/17 Jun Nakahara
---
みなさん、こんにちは!
東京大学の中原です。
5月20日(木曜日)に開催されるLearning barの募集がはじまって、9日経過しました。すでに多くの方から参加申し込みがなされています。4月、新入社員を迎える時期に、「宿題」までやってくださって、ありがとうございます。
今回のLearning barは、「ケーススタディ」ということもあり、「事前にケースを読んで、自分の答えを用意していただく」という「宿題」がございました。参加申込時に、この「宿題」に対する回答をお願いすることにしました。
しかし、よくよくよーく考えてみると(思慮浅くてスミマセン・・・本当に申し訳なく思っています)、これでは、「宿題をやった」のに「抽選にはずれる」という事態を招いてしまう可能性がございます。
この「ク●忙しい時期」に、ケースをよんで時間をかけて宿題をやっていただいたのに、このままでは、あまりに心苦しい事態を招く可能性がございます。
よって、このたび募集のあり方を見直すことにしました!
募集期限の4月20日までに、「宿題をやって」お申し込みいただいた方は「抽選なし」で先着順で「当選」とさせていただくことにしました。つまり、もうすでに「宿題」を提出してお申し込みくださった方は、この時点で、「当選」ということになります。いずれにしても、4月22日に参加申し込み受諾の確認メールををお送りさせていただきます。
4月20日以降に万が一「残席」があった場合には、「参加申込メールを送信する時には宿題の提出をしなくてもよい」という対応をとりたいと思います。つまり、「当日お越しになるまでに宿題に対する答えをお考えいただければ大丈夫!」ということです。
ただし、この場合は、残席が限られている上、激しい抽選倍率が予想されます。できれば、4月20日までのなるべく早いタイミングで、参加申し込みをしていただけると「確実」だと思います。
募集定員は200名と限られておりますので、20日に達するまでに、定員上限になってしまった場合には、「予告なく」、参加募集を打ち切らせていただくことをご承知おきください。
下記、最新の募集要項です!
==============================================
Learning bar@Todai 2010
ケーススタディをとおして
新たな人材開発戦略を「構想」する!
フリービット株式会社 酒井穣さんをお招きして
2010年5月20日(木曜日)午後6時30分 - 9時30分
東京大学 情報学環 福武ホール B2F
福武ラーニングシアター
※開催日は「木曜日(もくようび)」です!
曜日が変わっていますので、くれぐれもお間違いなきよう!
==============================================
おばんでした、中原です。
新年度はじまりましたね。
忙しい毎日をお過ごしのことと思います。
皆さん、お元気ですか?
僕の方は、1月からバタバタしていましたが(大人語)、
今もバタバタで、一生、バタバタ、貧乏暇なしでございます(笑)。
さて、「ゆるゆるの前置き」はどうでもいいとして、
Learning bar開催のご案内です。
次回、5月のLearning barのテーマは、
新たな人材開発戦略を「構想」する!
です。
『はじめての課長の教科書』
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』
などのベストセラーを出している、酒井穣さんをお招きして、
ケーススタディをとおして、皆で、新たな人材開発戦略を構想する
セッションを持ちたいと思います。
Learning bar始まって以来の「ケーススタディ」です。
とても楽しみですね。
▼
参加をご希望の方は、下記の参加条件をお読みになり、
フォームに必要事項をご記入のうえ、4月20日までに
educejimu [あっとまーく] educetech.org
までご連絡下さい。今回は、宿題をしていただいてお申し込み
をしていただいた方に限り、今回は、先着順で参加を受け付ける
ことにいたしました。
下記の要項を必ずご一読いただき、ご応募をお願いいた
します。
なお、今回のLearning barには宿題があります。
参加は、下記のケースを読んで、最後にある設問に
自分なりの答えを書いていただくことです。
ケースはこちら!
http://nedwlt.exblog.jp/14089087/
設問1:問題点を3つ挙げてください
(なるべく短くお答えください:なんぼなんでも各140字まで)
1.1.( )
1.2.( )
1.3.( )
設問2:関根(人材育成担当)は今、何をするべきでしょうか?
(なるべく短くお答えください:なんぼなんでも各140字まで)
2.1.( )
設問1と2の答えを、申し込みメールにお書き入れください。
主催:中原 淳(東京大学・准教授)
※Learning barは、NPO法人 Educe Technologiesが
主催、東京大学大学院学際情報学府 中原研究室が
共催する、実務家と研究者が集まる学術イベントです。
---
○主催
NPO法人 EDUCE TECHNOLOGIES
エデュース・テクノロジーズ
http://www.educetech.org/
EDUCE TECHNOLOGIESは、「学び」に関する調査
研究開発、コンサルティングを行う非営利特定
活動法人(NPO)です。
企画担当
副代表理事 中原 淳
○共催
東京大学大学院 学際情報学府 中原淳研究室
- 大人の学びを科学する研究室 -
http://www.nakahara-lab.net/
○協力:チャートイット!
杉本達應
(福山大学人間文化学部専任講師)
宮原美佳
(メディアアーティスト/早稲田大学文化構想学部非常勤講師)
○日時
2010年5月20日(木曜日)
※開催日は「木曜日(もくようび)」です!
曜日が変わっていますので、くれぐれもお間違いなきよう!
午後5時45分 開場
午後6時30分 プログラム開始
午後9時30分 まで実施
※時間が限られておりますので、定刻通り
に始めます。本郷キャンパスは意外に広い
です。くれぐれも、迷子になりませんよう。
○内容(案)
□ウェルカムドリンク
(5時45分 - 6時30分)
・今回のLearning barでは、サンドイッチ
ソフトドリンク、ビール等をご用意して
います。
□イントロダクション
(6時30分-6時40分)
・中原 淳(東京大学)
□パート1 ケーススタディ
「LBマテリアル社」 30分
(6時40分 - 7時10分)
(30分)
・酒井穣さん(フリービット)
ご近所ディスカッション 20分
解答の集計結果分析と基本的な考え方(講義) 10分
--- bar time (10min.) ---
□パート2 レクチャー
「社会的背景の変化」
(7時20分 - 7時50分)
(30分講演)
・酒井穣さん(フリービット)
・グローバル化が人材育成に与える影響
・OJTの終焉
--- bar time (10min.) ---
□パート3 レクチャー
「人材育成の基本戦略」
(8時00分 - 8時30分)
(30分)
・酒井穣さん(フリービット)
・積極的学習者を作るための戦略
・育成プログラムへの合意を得る
□お近くの方とディスカッション
(8時30分 - 9時00分)
(30分)
□質疑
(9時00分 - 9時20分まで)
(20分)
□ラップアップ
(9時20分 - 9時30分まで)
(10分)
・中原 淳(東京大学・准教授)
○場所
東京大学 情報学環 福武ホール
地下2F 福武ラーニングシアター
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
地下鉄丸の内線本郷三丁目駅から徒歩15分程度
地下鉄南北線東大前駅から徒歩10分程度
(赤門の横です)
○参加費
4000円(1名さま 一般・学生)
(講師招聘費用、会場費、飲み物、食べ物、
運営費等に支出いたします)
本イベントで剰余金が発生した場合は、NPO法人
Educe Technologiesが企画する、組織人材育成
・組織学習に関係するシンポジウム、研究会、ワーク
ショップ等の非営利イベント等の準備費用・運営費用
、および、研究費用に充当します。
○食事
ソフトドリンク、ビールなどの飲み物、および
サンドイッチ、ベーグルの軽食をご準備いたします。
○参加条件
下記の諸条件をよくお読みの上、参加申し込みください。
申し込みと同時に、諸条件についてはご承諾いただいて
いるとみなします。
1.なお、今回のLearning barには宿題があります。
参加は、下記のケースを読んで、最後にある設問に
自分なりの答えを書いてくることです。
ケースはこちら!
http://nedwlt.exblog.jp/14089087/
問題はこちらです!
設問1:問題点を3つ挙げなさい。(各140字程度)
設問2:関根(人材育成担当)は今、何をするべきでしょうか?
(各140字程度)
設問1と2の答えを、申し込みメールにお書き入れください。
皆さんの答えは、当日、全員で共有させていただく
可能性がございます。また当日も、各自でこの答え
を利用しますので忘れないようにメモをしてください。
宿題の答えは、今後、研究にも活かさせていただく
可能性がございますので、ご了承ください。
2.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・
ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、NPO EduceTechnologies、中原淳が
関与するWebサイト等の広報手段、講演資料、書籍等に
許諾なく用いられる場合があります。マスメディアによ
る取材に対しても、許諾なく提供することがあります。
参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。
3. 欠席の際には、お手数でもその旨、
educejimu [あっとまーく] educetech.orgまで
ご連絡下さい。
人数多数のため、多数の方の参加をお断りしている
状況です。繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。
4.本イベントで剰余金が発生した場合は、NPO法人
Educe Technologiesが企画する、組織人材育成
・組織学習に関係するシンポジウム、研究会、ワーク
ショップ等の非営利イベント等の準備費用・運営費用、
および、研究費用に充当します。
○どうやって参加するのか?
下記のフォームに必要事項をお書き入れの上、
educejimu [あっとまーく] educetech.orgまで
4月20日までにお申し込み下さい
〆ココカラ======================================
参加申し込みフォーム
educejimu [あっとまーく] educetech.orgまで
4月20日までにお申し込み下さい
先着順に当選としますが、4月22日に参加申し込み受諾の
確認メールををお送りさせていただきます。
---
上記の参加条件を承諾し、参加を申し込みます。
○氏名:( )
○フリガナ:( )
○ご所属:( )
○メールアドレス:( )
○業種の選択:下記の11つの属性から、あなたに
最も近いものをひとつお選びください
1.研究者
2.学生
3.民間教育会社勤務
4.民間コンサル会社勤務
5.事業会社勤務(人事・教育部門)
6.事業会社勤務(事業部門)
7.個人事業主(教育・コンサル)
8.経営者
9.初等・中等教育の学校勤務
10.公務員・公益法人等勤務
11.その他
○宿題の答えをお願いします
設問1:問題点を3つ挙げてください
(なるべく短くお答えください:なんぼなんでも各140字まで)
1.1.( )
1.2.( )
1.3.( )
設問2:関根(人材育成担当)は今、何をするべきでしょうか?
(なるべく短くお答えください:なんぼなんでも各140字まで)
2.1.( )
〆ココマデ======================================
投稿者 jun : 2010年4月15日 12:51
近況報告:科研+教育工学会課題研究のこと、などなど
近況です。
昨日から大学院の授業・ゼミがはじまり、またセンターの仕事も、吉見俊哉先生が新センター長に着任なさり、新体制でのスタートになりました。「忙しさ」に、さらに拍車がかかってきています。
つい昨日まで、実は、僕は「最近、忙しいな」と思っていました。でも、それは「まやかし」でした。今日になってみると、いかに「昨日までが暇だったのか」を思い知らされます。
さて、下記、教育・研究がらみの近況報告です。
▼
ひとつめ。
文部科学省科学研究費のプロポーザル(研究計画)が採用された、というご報告です。めでたいね。このプロポーザル作成には、大学院のゼミメンバー、特に木村君(M2)、吉村さん(M1)が深く関与してもらいました。ありがとう。すばらしい。
研究題目は、
学校のカリキュラム改善を規定するリーダーシップと社会関係資本に関する実証的研究
という内容です。
「なに? 学校か? おまえは企業研究をやめたのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことは1ミリもありません。わたしは企業研究をライフワークだと思っています。従来通り、企業の職場研究・人材育成研究は継続していきます。今年度も新たな定量調査・定性調査を実施する予定です。
ですが、一方で、企業・組織研究で得た知見、あるいは、組織行動論の知見を、「学校」という「組織
」にも活かしていきたいと考えています。2年間の研究で面白い知見を出したいものですね。
科研がらみといえば、神戸大学の金井壽宏先生らの研究グループの大型科研のプロポーザルも、採用されたそうです。おめでとうございます。こちらの研究テーマは「人材育成」そのものです。中原も、末席に加えていただいております。
微力ながら、この研究に貢献させていただきつつ、これを新たな縁とさせていただき、自分自身も面白い新機軸の研究を生み出せればいいな、と考えています。
2年目に入る科研研究である「ロボット共生科研」では、三宅なほみ先生が、本郷あたりに、いつでも子どもと子どもがふれあうことのできる環境を準備なさっているそうです。夏のロボットワークショップに向けて、こちらも、研究体制を整えています。
外部の方々のお力や、研究室ゼミメンバーの力を借りながら、何とか成し遂げたいと思っています。
▼
ふたつめ。
日本教育工学会の大会委員長の東原先生からご連絡をいただき、僕が提出していた課題研究のプロポーザルが、大会企画委員会で正式に採録決定になったという通知を受けました。金沢大学の山田先生、学研の栗原さんらに、ご理解・ご支援をいただいたとのことです。この場を借りて御礼いたします。
プロポーザルのタイトルは、
組織・職場における学びの組織化
です。
趣旨分は、下記のとおりです。
近年、病院、企業を中心に「組織・職場における人々の学習をいかに組織化するか」に関する研究が注目を浴びている。仕事に必要な知識や技術を、様々な他者の支援やコミュニケーションの中で、仕事の経験を通じて学ぶことを意図したものである。仕事の経験のみならず、顧客、上司、同僚、後輩など職場内外の人間関係、さらに異業種交流会といったインフォーマルな場での人間関係も、学習に影響を与える。
しかし、このような組織における学習について、経営の観点では研究や調査が進められてきたが、教育・学習の観点ではまだ研究が始まったばかりであり、研究知見の蓄積、情報の共有、議論もまだ十分ではない状況にある。
本セッションでは、組織における人々の学習・成長、および、組織内の知識獲得、知識共有、知識の制度化、学習棄却、組織社会化に関する研究に関する議論を行いたい。企業、病院、はてには大学や学校において(大学や学校等の教育機関も組織のひとつである)どのように人材育成を進めればいいのか、業務能力向上に資する組織要因は何なのか。組織の境界を越えた学習(越境学習論)など、組織と学習に関する幅広い研究の応募に期待する。
教育工学会の大会において、組織の学習研究・組織の人材育成研究・組織デザイン研究などが、課題研究のテーマになったことは、これがはじめてではないかと思います。この「小さな小さな火種」を消さないためにも(笑)、ぜひ、皆さん、ご投稿をお願いできれば幸いです。
山田先生らによる趣旨文をご覧いただければわかるように、
1.組織は企業・病院・大学など、何でもOK(ひそかに入れてある)
2.経験学習や職場学習も、何でもOK
3.密かに組織学習論や人的資源開発論も視野に入れ込みつつ
4.はてには「越境による学習」にも言及している
になっています(笑)。
これまで、「企業・組織における学習研究」は、日本教育工学会において、「生涯学習・企業内教育」という一般研究のカテゴリーで発表されていました。しかし、必ずしも、その研究が「生涯学習研究」と併置されることが適当だったのか、また、「企業内教育」というカテゴリーが適当だったのかについては議論が残ると思います。
ぜひぜひ、こちらでのご発表を願っています。今年の学会は、9月18日・19日・20日、名古屋の金城学院大学です。僕もこちらのカテゴリーで発表します。
一緒に発表しましょう!
▼
人事の専門誌「JMAM人材教育」の新しい連載「学びは現場にあり!」の原稿がほぼ完成しました。編集の吉峰さん、ライターの井上さん、中原のコラボ作品です。初回は、獨協医科大学越谷病院 救命救急センターにお邪魔しました。同センターのセンター長の池上先生は大変お世話になりました。
獨協医科大学越谷病院 救命救急センター
http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-k/tcc/new/index.html
獨協医科大学では、救命救急医と看護士の皆さんが、救命処置室の「横」にある、患者シミュレーターを使って、実践的な訓練を行っています。訓練のあとには、訓練自体を振り返る「内省の時間」が必ずもうけられます。ここでは、「シミュレーションとは何か?」「体験学習にとって必要なものは何か?」について深い洞察を得ることができました。
次回の連載は、以前ブログでも紹介したことのある、鉄道整備株式会社です。ここでは、新幹線の清掃を行っているJR東日本のグループ企業です。ここでは、「モティベーションをどのように維持するか」「現場への権限委譲をどのように行うのか」などについて、深い洞察を得ることができました。同社の矢部常務取締役ほか、現場のマネジャーの皆さんには、大変お世話になりました。
鉄道整備株式会社
http://www.tessei.co.jp/
その次は、某航空会社のCAの仕事の現場にお邪魔する予定です。
非常に楽しみでございます。
なお、ついこないだまで、人材教育で連載していた僕の「ゆるゆる、だらだらコラム」である「ラーニングイノベーション」については、JMAMのホームページで無料公開しています。PDF版も公開になりましたので、ぜひ、ご高覧ください。
ラーニングイノベーション
http://www.jmam.co.jp/column/column18/index.html
---
【学生スタッフ急募】
大学学部生・大学院生の方で、Learning barを手伝ってくれる方を、若干名、学生スタッフとして募集いたします。Learning barは、不定期開催で、次回は5月20日です。
Learning barとはどのような場か?(ビデオあり)
http://www.nakahara-lab.net/learningbar.html
次回5月20日のLearning bar
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/learning_bar_32.html
仕事は午後5時あたりから、午後9時あたりとなります。仕事の内容は、会場の設営+飲み物や飲食物の運搬、配置+会場の誘導など、その他Learning barに付帯する業務です。
特典としては、3点です。
1つめは、Learning barは、通常4000円の入場料がかかりますが、それを無料とします。Learning barにはお食事+お酒がでますが、それが飲み放題+食べ放題になります。
2つめは、バイト代を5000円支給します(交通費含む)。
3つめは、「学びの場づくり」「学びのイベント」制作の実務について体験することができると思います。
実際の仕事は、中原研究室の大学院生さんたちと、一緒に行っていただくことになります。「組織」「学び」などに興味をお持ちの方は、ご縁ができるかもしれません。
もしご興味がおありでしたら、educejimu あっとまーく educetech.orgまでメールをいただけますよう、お願いいたします。
投稿者 jun : 2010年4月14日 11:10
人生いろいろ、リフレクションいろいろ:リフレクションを整理してみた!
「人生いろいろ」という名曲があります。しかし、「いろいろ」なのは決して「人生」だけではありません。「人生いろいろ、内省いろいろ」です(こじつけ)。今日は、内省(リフレクション)とよばれる活動には、様々な種類があることがよく知られています。
先行研究を読み込んでいくと、リフレクションを仮に便宜的にわける基準として、下記のようなものが提案されていることがわかります。ちなみに、僕が読んでいるのは、「組織と学習」関係の先行研究です。リフレクションは、人文社会科学の様々な文脈で取り扱われている概念ですので、他の分野ではどうなっているかまで完全にカバーはできていません。ぜひ、教えてください。
1.リフレクションの「深さ」
2.リフレクションの時間軸
3.リフレクション主体
4.リフレクティブエージェント
たとえば、1)の深さによる分類。これは、reflection(内省) / critical reflection(批判的内省)という分類がよく知られています。
前者のリフレクションが、デューイなどを祖にもつ反省的思考に近いもので、一言でいうと、「自分の経験を意味づけること(sense-making)」に近いものです。
あなたの身体をもってなしえた体験は、それを意味づける行為、すなわち、リフレクションなしでは、「体験」のままになってしまいます。それを「経験」として位置づけるためには、いったん体験を離れ、それを意味づける機会を持たなくてはなりません。
例えば、僕と金井先生の著書「リフレクティブマネジャー」で、「経験はしっかりと内省してはじめて学習になる」というくだりがでてきたときは、このリフレクションに基づいて述べております。
対して、後者のcritical reflection(批判的内省・批判的省察)とは、フレイレやメジローなどの批判理論や批判教育学を背景にもつリフレクションです。「自分の立場や自分の活動を成立させている社会的背景・政治的背景・経済的背景について、もはや自明となってしまったものを問い直す」ということに近い気がいたします。
一言でいうと、どちらかというと、「常識・アタリマエを疑う」「背後にあるものに気づく」に近いように思います。フレイレの言葉を借りるならば、「意識化」に近いかもしれません。
わたしたちの目は、日常生活を生きていると、もれなく曇ってきます。組織の常識、職場の常識・・・様々な常識に自然自然と染まっていき、その背後に蠢く「不条理な力」「不条理な枠組み」を許してしまうのです。
新しい考え、新しいものの見方を獲得し、さらには私たちが「主体的」に世界とかかわり続けるためには、一時的であっても、この「慣性(イナーシア)」、あるいは「慣性軌道」から抜け出す必要がでてきます。それを駆動させるのが、批判的内省です。
▼
次に、2)の時間軸の分類。これは、いわゆる「過去」「現在」「未来」という時間軸で、リフレクションを整理する考え方です。
自分の過去に関するリフレクションは「回顧的省察(retrospective reflection)」とよばれることがあります。それに対して、未来に関するリフレクションは、Prospective reflection」といいます。これはどちらかといえば、リフレクションというよりも、むしろ、「未来を構想する」「未来を描く」に近いですね。
ちなみに「現在」は「retrospective reflection」と「Prospective reflection」のどちらにも含まれますね。「retrospective reflection」をなすときは、「過去を想い、現在を分析する」。「Prospective reflection」のときには「現在を手がかりに、未来を想うこと」がめざされます。
「retrospective reflection」と「Prospective reflection」の関係を鑑みるとき重要視ししたいことは、リフレクションとアクション(アクション)の関係についてです。
リフレクションは、アクション(行動)がともなってこそ、意味がある。
別の言い方をするならば、
あなたは「想う」。
それ故に、あなたは「自己」と「世界」に変化をもたらす。
これがリフレクティブ・マネジャーの要諦のひとつでしたが、願わくば「retrospective reflection」において過去を回顧することに加えて、私たちは、「Prospective reflection」によって、未来を描きたいものです。
リフレクションがあるから、アクションの可能性がひろがり、アクションがあるからこそ、さらなるリフレクションが深まる。つまり、リフレクションとアクションは、表裏一体のものであり、循環する関係にあるのです。その意味では、retrpspective reflectionも、Prospective reflectionも、コインの裏表のようなものだと僕は思います。
▼
第三には、リフレクションの主体です。
これは、individual / collective (collaborative)という分類がよく知られていますね。
前者のindividual とは、「リフレクションをする単位が個人の場合のリフレクション」です。要するに、ある人が「自分のあり方を内省すること」をいいますね。
それに対して、Collective になった場合には、リフレクション単位が複数人のグループ、集団、組織になります。つまり、職場なら職場で、自分たちのやってきたことを振り返り、未来を構想し、アクションにつなげるならば、それは、collective reflectionになるのでしょう。
例えば、僕は、共同研究者と数ヶ月に一度、山にこもって、リフレクションをする機会をもちます。ある研究者グループとは、
「僕・あなたの個人が何をなしえて、今後何をなすべきか」
をお互いに考えるというリフレクションをおこないます。これは、リフレクションの単位が「個人」ですね。ですので、individual reflectionに近いことになります。
一方、違う研究者グループとは、
「わたしたちが、何を成し遂げてきて、今後、何をなすべきか」
を話し合うこともあります。これは、collectiveであり、collaborativeなリフレクションということになります。
▼
第四に、リフレクティブエージェント(イネーブラ)による問題です。リフレクティブエージェントとは、「個人あるいは集団に、リフレクションを促す仕組み(方法)」のことをいいます。
これはあげていけば無限にでてくるとは思いますが、よく知られているものには、individual / artifact / dialogue / boundary-crossing、などがあげられるでしょう。
individualとは、個人が自分だけの独力で、自ら内省を駆動する仕組みです。一言でいうと、「自分で沈思黙考すること」をいいますね。これはなんてことはないですね。self-reflectionと紹介される場合もあります。
Artifactとは、たとえば、LEGOブロックでも、粘土細工でも、何でもよいのですが、何かの作品作りをとおして、さらにはその作品を語り直すことをとおして、リフレクションを深める方法をいいます。俗によく、「Learning by designing」といいます。わたしたちは、何かをつくること、何かを表現することをとおして、「わかること」が確かにあります。
dialogue(対話)とは、他者に語ることをとおして、語り合うことをとおして、実現するリフレクションですね。このことの重要性は、長岡健先生との共著「対話する組織」繰り返して述べました。
これは僕の個人的な信念ですが、「人間は他者に開かれて、はじめて独立した個として成長できる」と思っています。ですので、僕にとっては、リフレクションも「他者に拓かれている」必要があるのだと思っています。
最後のBoundary crossing(越境)とは、自分が今まで所属していた場、コミュニティを、いったん抜け出ることによって、実現するリフレクションのことをいいます。この可能性については、リフレクティブマネジャーの後半、「社外の学び」のところで述べました。
ちなみに、リフレクションを促す手法については、これらの他にも様々なものが提案されていますよ。ツールを使ったリフレクション促進手段なら、無限に近いほど論文数があるのではないでしょうか。近いうちに、それを整理して、また、どこかで発表をしたいものです。
リフレクション研究会とか、やるといいかもね、、、関係する論文を集めて、みんなで読みあう、みたいな。
▼
とまぁ、今日は、リフレクションを先行研究にならって、こんな感じで整理してみました。このほかにも様々なものがありますが、今日はこのくらいで。
今日のエントリーは、別にオチがあるわけではないのですが、こういう整理をしていくだけでも、いくつもの発見が生まれそうですね。
たとえば、あなたがワークショップでやっているリフレクションとは、どのリフレクションですか? 何を、どのように、リフレクトしていますか?
などなど。
リフレクションは、いまや人材発達、専門性発達の鍵概念として、いろいろなところで注目されています。いやぁ、「リフレクション学」、面白て深いですね。
---
追伸.こんな整理もあります。
リフレクションとは4cである(Eyler 1996)。継続的に(Continuous)、学問的知識と関連づけられながら(Connected)、自分のあり方・考え方を吟味するものであり (Challenging)、状況や文脈の中でなされうるものです(Contextualized)。
投稿者 jun : 2010年4月12日 13:15
菜の花を見る
昨日は、牧場に行ってきました。
牧場には、あたり一面、菜の花が咲いています。
久しぶりに花を見た気がしました。
けたたましい日常において、通りに咲く花は目に入っていても、意識がそこに集中していないので、見ている感じはしないのです。もしかすると、「見る」とは積極的な行為なのかもしれません。
春には桜もいいけれど、菜の花も負けちゃいないな、と思いました。
投稿者 jun : 2010年4月11日 09:08
お寺カフェ、勉強カフェ、そしてラーニングバー
松本圭介さんというお坊さんのお書きになった「東大卒僧侶のお坊さん革命」という本を読みました。
松本さんは、東大をご卒業になったあと、「赤門から仏門へ」という言葉どおり(笑)、神谷町光明寺に入り、現在は休職して、インドのビジネススクールに留学なさっている方です。
東京ソース:松本圭介さん
http://www.tokyo-source.com/interview.php?ts=25
松本さんは、光明寺で、お寺の音楽会『誰そ彼』、無線LAN完備の寺院内カフェ『ツナガルオテラ 神谷町オープンテラス』を企画・運営にかかわり、「死者の場所:誰かが亡くなったときに行く場所としてのお寺」だけでなく、「生者の場所:生きる人のための場所としてのお寺」のあり方を追求なさっているです。
そのほか、超宗派の僧侶達が集うブログサイト『彼岸寺』などを企画・運営にかかわっています。
誰そ彼(ちなみに次回は4月10日)
http://www.taso.jp/
神谷町オープンテラス
http://www.komyo.net/kot/
彼岸寺
http://www.higan.net/
本書では、こうした取り組みを紹介する一方、後半では、仏教界のあり方に様々な問題提起をしていらっしゃいました。
宗派とは何か?
僧侶とは何か?
掲げているテーマはウルトラハードです。そして、新聞界と仏教界をメタファとして重ね合わせ、それをどのように変革していくか、を述べています。おそらく、本書で本当に述べたかったことは、前半で述べている内容ではなく、後者ではなかったか、と思います。
▼
本書を読んで非常に印象深かった記述は、下記の3点です。
1点目。
曰く、
お坊さんとは、世の中の常識に疑問を投げかけることによって、人に「気づき」のきっかけを与えるのが仕事だと思う
(同書より)
それは、僕の言葉でいうならば、それは「ラーニング(learning)」なのかな、と思いました。分野も扱っている内容も全く違いますが、非常にシンパシーを覚えました。
2点目。
曰く、
私たちがお寺で何かイベントを開催するとき、いつも意識していることがある。それは、プログラムの中に、必ず、仏教コンテンツを盛り込むこと。コンサートを開くだけなら、会場はお寺でなくてもよいはずで、せっかくお寺でやるからには、お寺としてやるべきことを忘れてはいけない。
(同書より)
共感します。このことは、「場」や「イベント」にかかわる人は、重要だけれども、見落としがちになることではないか、と思います。
つまり、場を構成するときに、
「これを、自分がやるのは、なぜなのか? 」
「その場は、自分のどんな強みやオリジナリティを体現している場なのか」
「この場で自分がやるからには、絶対にコンテンツに入れなければならないものは何か?」
の問いに答え得るようにしておかなければならないのかな、と思いました。
ということは、結局、「場を構成する側の人自体が、常に自省的にならなければなりませんし、自分を研ぎ澄ませていかおかなければならないこと」を意味しているのだと思います。
3点目。それは2点目とリンクしています。
曰く、
お坊さんのスタンダードからはずれて、新しいことをやろうとするならば、なおさら高いレベルで基本をしっかり押さえることが重要だ。そうしなければ、だんだんと先へ進めなくなる。
(同書より引用)
共感します。
「基本のない創作」というのは、僕は、あまり信じていません。それは、日本料理の基本を押さえていない創作和食の中には、「結局、何の料理なんだかよくわかんないもの」があるのと似てるのかな、と思います(笑)。
新しいことをなすためには基本を高めなければならない。そう考えるならば、結局、「新しいこととをなす」とは、基本を否定することではなく、「さらに基本に丁寧に向き合うこと」と同義になるのではないか、と思いました。
▼
「誰そ彼」の方は、4月10日、「オープンテラス」の方は4月中旬から開催されるようです。僕も暇を見つけて出かけてみようと思います。
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追伸.
そういえば、先日、ある雑誌を読んでいたら、「勉強するためのカフェ」ではなく、「勉強仲間を見つけるためのカフェ」があると目にしました。その名もズバリ、「勉強カフェ」というそうです。
畢竟、勉強は最後は一人です。つまり、あなたが学びたいかどうか、あなたがわかりたいかどうかです。
しかし、人間は弱い、僕も弱い(笑)。自律的に勉強することは、そうそうできることではありません。勉強する仲間がいれば、あるいは、同じ志をもった人が傍らで同じように勉強していれば、もしかすると、それははかどるかもしれません。
とにかく、「勉強仲間を見つけるためのカフェ」というコンセプトが気に入りました。こちらも、ぜひ、近いうちに出かけてみたいな、と思っています。
勉強カフェ
http://benkyo-cafe.net/
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追伸2.
5月20日のラーニングバーの申し込みがはじまっています。ぞくぞくと申し込みが押し寄せています。ありがたいことです。もっとも質問が多いのは、宿題に関することです。「140字」じゃなきゃだめですか、ということですね。
答えは、いいえ!
140字書かなくてもOKです。
あれは、Twitterにもじって、あえて140字以内としたのであって、あまり根拠のある数字ではありません。すでに申し込まれた方の中には、答えが20字程度の方もいらっしゃいますし、中には139字の方もいらっしゃいます。
完璧な答えをもってくることが「宿題の目的」ではありません。会場にきて、皆さんでお話をすることが一番重要なことです。気軽に答えを書いて、お申し込みいただければ嬉しいです。
▼▼5月20日のラーニングバーのお申し込みはこちらです▼▼
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/learning_bar_32.html
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追伸3.
人事専門誌「JMAM人材教育」で、僕が連載していた「ラーニングイノベーション」の過去記事が、下記のWebサイトで公開になっています。ゆるゆるコラムです、、、真面目なものを期待しないように。
ラーニングイノベーション
http://www.jmam.co.jp/column/column18/index.html
なお、8月から、本誌の方では、新しい連載「学びは現場にあり!」がはじまります。
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追伸4.
昨年、富士ゼロックス総合教育研究所、中原、松尾睦(神戸大学教授)は、「職場における人々の成長」に関する共同研究(事例研究)を行い、その成果は同社発行の「人材開発白書2010」に結実しました。
このたび、同社の坂本雅明さんが、その内容の要点をまとめ、人事専門誌「企業と人材」に投稿なさいました。原稿は、下記Webサイトにて公開されています。もしよろしければ、ご高覧ください。
企業と人材の記事
http://www.fxli.co.jp/co_creation/archives/000421.html
投稿者 jun : 2010年4月 9日 07:31
大学院授業「組織学習システム論2010」シラバス最終版!
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東京大学大学院 学際情報学府 2010年度
夏学期授業シラバス
「組織学習システム論」
4915130(再履修可能)
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中原 淳
東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
重田勝介
東京大学 大学総合教育研究センター 助教
■講義の概要
人は、人生の一定期間、学校という場所「だけ」で
学ぶわけではありません。学校を「卒業」した後でも
、会社や組織の中で、新たな知識を獲得したり、他者
と知識を共有したりしながら、仕事に日々取り組んで
います。
人は年をとっただけでは、学びをやめません。
人は、生けとし生きる限り、学び続ける存在なのです。
本授業では、従来あまりスポットライトがあたるこ
とのなかった、学校の「外」の学習 - 「企業・組織に
おける学習」に焦点をあてます。
2010年の講義では、組織社会化、経験学習論、
職場学習論、組織学習論、越境学習論など、
「企業・組織における学習」の先行基礎研究の読み込み
を行います。
想定される受講者像としては、下記を想定しています。
・組織における知識共有、学習に関心のある方
・組織のおける人材育成、人間の成長に関心のある方
・組織変革や文化の構築等に関心のある方
■評価
下記の3点から成績をつける。
1.コメントカードによる出席点30%
2.プレゼンテーション(全員からの相互評価30%)
3.最終プレゼンテーション(全員からの相互評価40%)
なお、相互評価のポイントは下記の5点。
1.スライド・配付資料のわかりやすさ( / 5)
2.プレゼンテーション手法(声・身振り)( / 5)
3.質疑応答の適切さ( / 5)
4.理論の解説がわかりやすいか( / 5)
5.考察がなされているか( / 5)
■時間
火曜日 3限(13:00)より
■授業アーキテクチャ
・イントロダクション(中原:5分)
・プレゼンテーション(文献担当グループによる:35分)
・ディスカッション(グループで:15分)
・オープンディスカッション(クラス全体で:30分)
・ラップアップ(中原:5分)
■プレゼンテーションのやり方
・課題として設定された文献を購読し、内容を要約
する。すべての要約をより集めて、「ひとつのスト
ーリー」を構成する。
・プレゼンテーションはパワーポイントで行う。
・プレゼンテーションの構成には下記を必ず含めること
・各文献の要約をまとめた内容
・今回の文献で興味深かったところ/面白かったところ
現場で役立ちそうなところ
・今回の文献の課題、問題点
・グループとして考察したこと
・配付資料は人数分用意し、各自で印刷すること。
・配付資料は「パワーポイントの配付資料」を用意する。
印刷は各グループで行うこと。
・プレゼンテーションの前か後に、利用したデジタル
ファイル(パワーポイント&ワードのPDFファイル)を
、所定のメーリングリストにながすこと。
・プレゼンテーション授業終了後、授業で利用するコ
ンピュータに元ファイル(PPTファイル、ワードファイ
ル)を残しておくこと(評価の際に用います)。
・プレゼンテーションの時間は35分。その後質疑応答
があるので、どのような質問にも答えられるようにし
ておくこと。
■参考文献
・中原淳・荒木淳子・北村士朗・長岡健・橋本諭(2006)
企業内人材育成入門.(ダイアモンド社)
■内容
●4月13日 オリエンテーション
・講義概要
・授業の流れ
・グルーピング&自己紹介&連絡先交換
・名簿づくり
・スケジュールの確認と担当決め
・プレゼンテーションの準備と方法
・人材発達支援論の視座
●4月20日 組織社会化研究の概論
・Van Mannen, J. and Schein. E.(1979) Toward a theory of organizational socialization. Organizational Behavior. Vol.1 pp209-264
・高橋弘司(1993) 組織社会化研究をめぐる諸問題. 経営行動科学 Vol.8 No.1 p1-22
■27日 組織社会化研究の先行研究 1
・Wanous, J.(1973) Effects of a realistic job preview on job acceptance, job attitude, and job survival. Journal of Applied psychology. Vol.58 No.3 pp327-332
・Chao, G. T.(1988) The socialization process : Building newcomer commitment. London, M. and Mone, M.(eds)(1988) Career growth and human resource strategies : the role of the human resource professional in employee development. Quorum books. pp.31-47
■5月4日 自習
課題はおって指示する
■5月11日 組織社会化研究の実際2
・Morrison, E.(1993) Longitudal study of the effects of information seeking on newcomer socialization. Journal of applied psychology. Vol.78 No.2 pp173-183
・Van Mannen, J.(1978) People processing : Strategy of organizational socialization. Organizational Dynamics. Summer pp19-36
■5月18日 組織社会化研究の実際3
・Feldman, D. C.(1994) Who's socializing whom? : The impact of socializing newcomers on insiders, workgroups and organizations. Human resource management review. Vol.4 No.3 pp213-233
・Gundry L. and Rousseau, D.(1994) Critical Incidents in communicating calture to newcomers. The meaning is the message. Human relations. Vol.47 No.9 pp1063-1088
■5月25日 戦略と人材
・Barney. J.(1991) Firm resources and sustained competitive advantage. Journal of Management. Vol.17 No.1 pp.-120
・Wright, P. M. and McMahan, G. C.(1992) Theoretical perspective for strategic human resource management. Vol.18 No.2 pp295-320
●5月25日 経験学習の代表的論文
▼モーガン=マッコール(2002)ハイ・フライヤー:次世代リーダーの育成法. プレジデント社
▼松尾睦(2006)経験からの学習. 同文舘出版, 東京
▼谷口智彦(2009) 見どころのある部下支援法. プレジデント社
■6月8日 組織学習論の概論
・Crossan, M. and Lane, H.(1999) An organizational learning framework : from intuition to institution. Academy of management review Vol.24 No.3 pp522-537
・Easterby-smith, M. (2000) Organizational learning : Debates past, present and future. Journal of management studies Vol.37 No.6
・Fenwick, T.(2008) Understanding relations of individual - collective learning in work. Management Learning. Vol.39 No.3 pp227-243
■6月15日 マネジャーの仕事と変容のプロセス
・Ellinger, A. and Bostrom, A.(2002) An examination of managers berries about their roles as facilitator of learning. Management learning. Vol.33 No.2. pp147-179
・Ellinger, A. and Bostrom, A.(1999) Managerial coaching behaviors in learning organizations. Journal of Management Development. Vol.18 No.9 pp752 - 771(後日配布)
・Gray, D.(2006) Executive coaching : Towards a dynamic alliance of psychotherapy and transformative learning process. Management learning. pp475-496
■6月22日 組織学習論 ー組織文化・リーダーシップに焦点をあててー
▼松尾睦(2009)学習する病院組織. 同文館
▼シャイン, E.(1989) 組織文化とリーダーシップ. ダイヤモンド社
■6月29日 自習
課題はおって指示する
■7月6日 自習
課題はおって指示する
■7月13日 内省と組織学習
・Hoyrup. S. (2004) Reflection as a core process in organizational learning. Journal of workplace learning Vol.16 No.8 pp442-454
・Vince, R.(2002) Organizing reflection. Management learning. Vol.33 No.1 pp63-78\
・Gray, D.(2007) Facilitating Management learning : Developing critical reflection through reflective tools. Management Learning. Vol.38 No.5 pp495-517
■7月20日 「組織と学習」の脱構築
・Bottrup, P.(2005) Learning in a network : A third way between school learning and workplace learning. Journal of workplace learning. Vol.17 No.8 pp506-520
・Engstrom, Y.(2004) New form of learning in co-configuration work. Journal of workplace learning. Vol.16 No.1/2 pp11-21
・Bond. D. and Solomon, N. "I don't think I am a learner" : Acts of lament learnings at work. Journal of workplace learning. Vol/15 No.7/8 pp326-331
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投稿者 jun : 2010年4月 9日 04:00
中原研究室・文献レビュー DBリスト
Journal of Management Education
http://jme.sagepub.com/
Journal of Management Inquiry
http://jmi.sagepub.com/
Journal of Management Development
http://www.emeraldinsight.com/products/journals/journals.htm?id=jmd
Human Resource Development International
http://www.informaworld.com/smpp/title~content=t713701210~db=all
Studies in the Education of Adults
http://www.ingentaconnect.com/content/niace/stea
Academy of management learning & education
http://journals.aomonline.org/amle/
International journal of human resource management
http://www.tandf.co.uk/journals/routledge/09585192.html
Journal of management development
http://info.emeraldinsight.com/products/journals/journals.htm?PHPSESSID=5bkkvnju398nb420dh515g5lk0&id=jmd
International Journal of Lifelong Education
http://www.informaworld.com/smpp/title~content=t713747968~db=all
Journal of workplace learning
http://info.emeraldinsight.com/products/journals/journals.htm?id=jwl
Management Learning
http://mlq.sagepub.com/
Organization
http://org.sagepub.com/
Journal of Education and Work
http://www.informaworld.com/smpp/title~content=t713430545~db=all
Administrative Science quarterly
http://www.atypon-link.com/JGSCU/loi/asqu
International journal of training and development
http://www3.interscience.wiley.com/journal/118507066/home
Journal of Organizational Behavior
http://www3.interscience.wiley.com/journal/4691/home?CRETRY=1&SRETRY=0
The International Journal of Human Resource Management
http://www.informaworld.com/smpp/title~content=t713702518~db=all
Human resource development quaterly
http://www3.interscience.wiley.com/journal/74000165/home?CRETRY=1&SRETRY=0
Leadership quarterly
http://www.sciencedirect.com/science/journal/10489843
Organization studies
http://oss.sagepub.com/
Human Resource Management Journal
http://www3.interscience.wiley.com/journal/118497221/home
Human Resource Management Review
http://www.sciencedirect.com/science/journal/10534822
Human Resource Management
http://www3.interscience.wiley.com/journal/32249/home
ーーー
追伸.
よく使うデータベース
ERIC(英語教育用データベース)
http://www.eric.ed.gov/
東京大学付属図書館
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/
Google scholar
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/
投稿者 jun : 2010年4月 7日 10:42
「人勢塾:ポジティブ心理学が人と組織を鍛える」を読んだ!
金井壽宏先生(神戸大学大学院経営学研究科長・教授)からご献本いただいた「人勢塾:ポジティブ心理学が人と組織を鍛える」(小学館・近日発売になります)を拝見しました。
人勢塾は、金井先生、平野先生、高橋先生らが中心になって立ち上げた「ポジティブ心理学を組織と人事に応用するための研究会」です。本書は、この研究会の2009年春「第一期人勢塾」の記録となっています。ゲストらによる講演、金井先生の解説、参加者のフィードバックから1章が構成されています。
内容は、
・ポジティブ心理学とは何か?
・感謝の意味 ー サーバントリーダーシップ
・強みを活かした組織づくり(ギャラップ社のストレングスファインダー)
・チクセントミハイの「フロー体験」
・マズローの「ピーク体験」
・HRから組織を変えるとは何か
といった内容になっています。各章には、南九州大学の島井哲志先生、資生堂の深澤昌久人事部次長、ギャラップ社の小屋一雄さん、リーバイスやナイキ本社で人材開発・組織開発をリードしていた増田やよいさんなど、ゲストスピーカーの方が、それぞれのテーマについてお話になっています。
冒頭において、ポジティブ心理学とは何か、について理解を深め、次第に各論、各領域における実践論に入っていくという内容でしょうか。「人間と組織が持っている強み、よさに注目し、さらにそれを伸ばしていくことが重要である」というメッセージは、本書全体で一貫していると感じました。
▼
本論からは、ややズレますが、金井先生の「あとがき」にあった3行が印象的でした。
この本が世に出る頃には、わたしは、神戸大学大学院経営学研究科長・経営学部長となる。就任時に、この書籍を、全職員・全教員に配るつもりだ。日本も暗く、大学も暗いときに、この本を。
不遜な言い方になるかもしれませんが、素直に「こういう学部長は素敵だ」と思いました。「大学の暗さ」は、僕も「大学人のはしくれ」として、よくわかります。それでも、先生は、この本を「全職員・全教員」に配るといいます。「全教員」だけでなく、「全職員」に。大学のキャンパスを歩く人々のも暗く、うつむき加減になって、下を向いて歩きがちな、この時、まさにこの時に。
金井先生は、ポジティブ心理学・組織論をアカデミックに探求なさるだけでなく、実践なさろうとしているのだな、と感じました。本書は、ポジティブ心理学の入門書、否、ポジティブ心理学の実践論としても、最適な一冊なのではないでしょうか。
投稿者 jun : 2010年4月 2日 07:08
新年度はじまりましたね
2010年、いよいよ新年度はじまりました。いろいろな人々にとって、「節目になる日」ですね。愚息TAKUZOは、保育園の「年少さん」になりました。この2週間くらい調子の悪い日が続きましたが、ようやく体調が戻って、今日は「入園式」です。
下記、今日の出来事。
ひとつめ。
研究室の島田さん(国際交流基金:D3)が、ここ3年間取り組んでいた「JF日本語教育スタンダード」が、本日公開されたそうです。「JF日本語教育スタンダード」は、日本語の教え方、学び方、学習成果の評価のやり方を考えるためのツールです。
島田さんのチームには、わたしのよく知る方々も、石司さん、塩澤さん、西森さん(現・大阪大学准教授)、関根さん(スパイスワークス)などいらっしゃいました。皆さん、本当にお疲れ様でした。
JF日本語教育スタンダード
http://jfstandard.jp/
ふたつめ。
昨日のエントリ「研修の内製化」については、Twitter上で、多くのコメントや議論をいただきました。下記の昨日(3月31日)・今日(4月1日)あたりをごらんいただければ幸いです。皆さん、ありがとうございました。
研修の内製化について:Twitter
http://twilog.org/nakaharajun
みっつめ。
同志社女子大学の上田信行先生は、今日から1年間、マサチューセッツ工科大学に留学なさいます。朝方、「今からいってきます、See you at Cambridge soon」というメールをいただきました。
Hope you enjoy staying
See you at Cambridge soon!
そして、人生は続く。
投稿者 jun : 2010年4月 1日 08:18