サプライズのある共体験
「Learning barでかかっている音楽を教えてください」
先日、Learning barの参加者の方から、こんなメールをいただきました。ありがとうございます。「学び」に関することは、オープンソースである、と思っておりますので、喜んでご紹介します。
教育技術はオープンソースである!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/04/post_1476.html
僕が使っているのは、いわゆる「昔のヒット曲をカフェ風ボサノバにアレンジした曲」です。結局、いろいろ試して、これに行き着きました。
初期のLearning barでは、クラシックをかけたり、ロックをかけたり、ビートルズをかけたりしたのですが、なんか、これだと、ノレる人はのれるけど、シラける人はシラける(笑)。その差が激しい、という印象でした。
結局、試行錯誤した結果、「カフェ風ボサノバアレンジの歌謡曲」が、一番、よかったです。
▼
おそらく、キーワードは「プチサプライズのある共体験」だと思います。
誰もが経験したことのあるもの、誰もができることで、ただし、いつもの「日常」とはやや異なっているもの、プチサプライズのあるものを、この種のイベントでは、プログラムの一番最初にもってくるのです。
そうすると、なぜか、リラックスできるのです。全くアカデミックではありませんが、そういうものなのだから仕方がありません。
ある程度ヒットした歌謡曲は、誰もが、耳にしたことがありますね。でも、ヒット曲をそのままかけるのでは、「日常」です。そうではなく、そこに「カフェ風ボサノバ」という「非日常」のアレンジがある。これが「プチサプライズ」になります。
誰もが知っているけど(共体験)、聴いたことがない(サプライズ)。これがワクワク感につながるのです。
たとえば、先日のLearning bar-Xのワークショップでは、プログラムの一番最初は「ランチ」です。
「食べること」は誰にでも経験できることです。しかし、ここでふつーの「幕の内弁当」をだすのではなく、あなたが、教育工学をやっているのなら(笑・・・全くアカデミズムとは関係ない)、「一工夫」したいものです。
先日は、東大ワークショップ部の舘野君、安斎君、牧村さんたちが、フードスタイリストのたかはしよしこさんに依頼をして、「インプロ」をテーマに、料理をケータリングしていただだきました。これが「プチサプライズ」ではないでしょうか。
UT WORKSHOP(7月16日をご覧下さい)
http://utworkshop.jimdo.com/
通常、「食べること」は、「学ぶことの後」に、「打ち上げ」や「懇親会」と称して実施されます。ここで期待されているのは、「リフレクション」なんでしょうけど(誰も期待してないですね)、たいていは「飲みすぎてしまう」ので、リフレクションもクソもへったくりもありません。要するに「飲んで終わり」です。
ここでは、そうではなく、「食べること」は敢えて「学ぶ前のコンテキストづくり、レディネスづくり」に用いるのです。
▼
「プチサプライズのある共体験のデザイン」は、おそらく「学びの場のデザイン」にとって、非常に重要だと思います。
特に、通常面識のない人々が出会い、ゆるやかにコミュニケーションしながら、学ぶようなコンテキストでは、これが成功するか否かが、会全体のクオリティに強い影響を与えてしまいます。
僕は教育工学が専門です。ですので「共体験のデザイン」や「環境のデザイン」という部分に、非常に注目してしまいます(教育工学は、プチサプライズとか、そういうゆるいことを言っていません、それは真面目な学問です)。学習者が自主的に動くことのできる環境、経験を工夫することで、間接的かつ、スマートに、学習者の認知や行動を変容させようとするのです。
よくワークショップなどでは、冒頭で、ファシリテータの方から、
「さぁ、皆さん、これからアイスブレークをしましょう」
というインストラクション(教示)を聞くことがあります。そういうインストラクションもいいのですが、なんか美しくない(笑)。
オレは、アイスじゃないんだから、ブレークされたくねーよ(笑)
と思ってしまうのですね。
▼
ちなみに、「教育技術はオープンソースである!」のところで述べたように、下記の音楽をそのままコピーしても、すべての場でうまくいくとは限りませんので、あしからず。
学びのデザインは、いつも個別、具体的です。
重要なことは、その場、その場に応じて、デザインする側が「考えること」ではないかと思います。もしかすると、そのための参考には、なるかもしれません。
前置きが長くなりました。
下記が、Learning barで用いている曲目リストです。ゆるい音楽なので、寝る前とかにもおすすめですよ。
---
1. 島唄
3. EVERYTHING
5. 春の歌
6. 未来予想図II
7. one more time,one more chance
8. 世界に一つだけの花
9. ガラス越しに消えた夏
「島唄」が視聴できます(Youtube)
「ガラス越しに消えた夏」が視聴できます(Youtube)
「one more time,one more chance 」が視聴できます(Youtube)
その他、こちらでも視聴できます!
http://www.rainbow-e.co.jp/p/management/artist/index.php?artist=81385928&display=disco
---
2. First Love
3. チェリー
7. 夜空ノムコウ
---
5. 星のラブレター
6. バンザイ:好きでよかった
---
1. 風になりたい
2. どんなときも。
3. デイ・ドリーム・ビリーバー
6. 空も飛べるはず
----
1.恋に落ちたら
2.もう恋なんかしない
7.RIDE ON TIME
---
3. 陽はまたのぼりくりかえす
5. TRAIN-TRAIN
6. OH MY LITTLE GIRL
---
4.リンダリンダ
投稿者 jun : 2009年8月17日 07:46