講演・イベントに人を集める方法!?
「ここは人口が少なくて」
「当日天気が悪かったので、人がこなかった」
「参加者の意識が低くて」
「人が来なくてもよい、核になる人材が育てばよい」
「人がこないからこそ、行政でやる意味がある」
「民度が低いので」
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これらは、行政や地域センターの主催する講演イベントに「人が集まらなかった=閑古鳥が泣いた」場合の、担当者の典型的な言い訳ですね。ああ言えば上祐、いかにもな言い訳です。
僕は、前職の研究機関で「研修企画委員」を拝命していました。こういうのを聞くと、いつの時代も、そして、どこでも、講演・研修担当者の「言い訳」とは見苦しいものだな、と思ってしまいます。これらのすべての台詞に既視感をもち、嫌悪感をふたたび感じました。
「参加者の意識が低い」「民度が低い」って、オマエ、何様よ。そもそも「意識が低い」から、講演やイベントをやるんだろうが。
「核になる人材」は、「核になる人材を支える人」「核になる人を支持する人」がいて、はじめて存在できるのです。他に人が集まらないような状況で、「ねー、悪いんだけど、この話の核になってくんない?」って言われてもなー。そりゃ、「ひとりコミュニティ」「ひとりプロジェクト」「ひとり核」だろう。
それにさ、天気のことだって、どうせ、よい天気だったら、今度はこう言い訳するんでしょう。
「天気がよく行楽日和だったので、人が来なかった」
結局、人は来ないのです(笑)。
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牟田静香「講演・イベントの作り方」(講談社α新書)を読みました。
本書は、講演・イベントに、どうやったら人を集めることができるか、を書いたハウツー本ですね。
「ターゲットをしぼる」「タイトルを工夫する」「お得感を感じさせる」など、講演イベントを企画する上での、初歩の初歩を、軽いタッチで解説しています。
4月の人事異動などで、これから講演・イベント企画をやらなければならなくなった人には、よいのかもしれません。
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僕も仕事柄、講演、イベント、ワークショップなどを企画・実施することが多いのですね。
幸いなことに、僕の企画するイベントで大幅に定員割れ、というのはほとんど経験したことがありません。大変ありがたいことです。
一応、綿密に綿密に考えて、企画をしているつもりですが、でも、比較的安定的に人を集められるようになるまでには、数々の失敗も繰り返したことを、正直に告白しなければなりませんね。
牟田氏の指摘に、僕の経験を加筆するのだとしたら、企画の際には、下記の「6W」を明確にすることが重要だと思うんです。
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Who:話す人は、どんな人で、どういう評価を世間から受けているのか。今回の講演が、どんなによいチャンスなのかを書く。必要ならば、講師プロフィールのURLなどをいれる。
When : いつ何時からはじまって、どのようなプロセスで終わるのか。なるべく詳細にスケジュールを書く。僕の場合は、10分単位で書いているはず。
Where : どのビルディングのどの教室で開催されるのか、を明確に書く。可能ならば、公共交通機関からの距離、時間などもかければなおよい。
Whom : どういう人が対象者なのか、を詳細に書く。経験、地位、現在の業務など、なるべく詳細に。
What : どういう話をするのか、どういう結論が予想されるのかを、明確に書く
What kind of benefit : 講演を聞いたら、どんなことができるようになるのか、どんな新しい発見が予想されるのかを書く
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まずは、これら6つのポイントについて「煮詰めること」が重要です。これを明確にしないまま、何となく募集を開始しても、人はなかなか集まらないのですね。
また、これらのポイントについては、イベント企画者同士でも、十分合意をとっておくことが重要かもしれません。
ともかく、これにケリをつけて、いよいよ募集開始となります。
募集は、僕の場合は、すべてメールか、blogで行うので、テキスト形式のCFP(Call For Participation : 募集要項)をつくることが多いですね。
ちなみに、CFPをつくることにも、少々テクニックがいります。まず、もっとも基本的なことは、一行の文字数は半角70文字弱で強制改行をいれることです。
一行の文字数があまりに多いと、メーラーによって強制改行がかかることが多く、メール全文のレイアウトが崩れてしまうからであるのですね。そういうメールを見たことのある方も多いと思います。
で、それを防止するために、あらかじめ、こちらで短めに改行をいれてしまう。
また、なるべく文章は単文でつくり、シンプルなものにする。また段落はやや細かめにきる。1文に修飾語は2つを並列して使わない。文章を「が」「で」でつながない。別に、これは募集のメールじゃなくてもいえることですね。文章作成の基本です。
あとは、ロシアフォルマリズムにおける「異化」を地でいくような、キャッチーなタイトルをつける。
イベント募集の成功の鍵は、このタイトルで60%決まるといっても、過言ではありません。それほど、タイトルが重要なんですね。なにやら、科研もそうだって聞くけど、本当のところどうなんだろう(これは検証不能な命題です)。
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CFPができたら、あとは募集です。僕の場合、いつも敢えて時間差を設けて、blog、SNS、メールマガジン、メーリングリストに投稿します。
一番の先行予約は自分のやっているメーリングリスト。NAKAHARA-LABメルマガですね。ここへの情報リークを最も早くする。
そのあとは、blog、SNS、メーリングリストの順番に続く。時間差は、だいたい1日から2日。一週間かけて一巡する計算です。
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嗚呼、長い。いつも、こんな風に募集を行っているのです・・・。
ちなみに、4月27日のLearning bar「研修にできること、できないこと」は大教室満員超過の120名で募集停止。
5月9日の「プロフェッショナル人材を育成せよ」は、募集人員50名のところ、2倍の100名を突破しました。お申し込みいただいた方々、ありがとうございました。
今日は、これからその打ち合わせです。来ていただいた方の期待を決して裏切らないこと、これも非常に重要ですね。どんなことをお土産として持って行ってもらうか、思案しています。
前に、誰でしたかね、僕は「教育学のイベント興行師」と名前をつけられた。その場では嫌がっている雰囲気を見せましたが、自分としては、結構気に入っている(笑)。
とはいえ「興行師」は何となくインチキ臭いよね(笑)。せめて「教育学のイベントプロデューサー」目指して頑張ろうと思います。
今後に、乞うご期待!
投稿者 jun : 2007年4月24日 10:53