揺れる「学校」と「教師」:ガイアの夜明けとNHKスペシャル
「学校とは何か」「教師とは何か」がこれほど揺れている時代も珍しい。
「学校」や「教師」という存在が、所与のものとして疑われず、学校内外で起こる社会的課題に対処することが求められる、いわゆる「教育問題」の構図と、現代のポストモダン的状況は、一線を画する。
問われているのは「学校」であり「教師」である。教育現場で「アタリマエ」とされてきたものの脱構築が、とめどもない勢いで進んでいる。
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たとえば、「学校」の場合、「一人一人が自分の能力にしたがって学力をつける場所が学校なのか」、それとも、「生徒が学びあう場所が学校なのか」、はたまた「そのどちらでもないのか」。このような問いが、今、渦巻いている。
「何を行う場所が学校なのか」
皆が知りたがっている。
後者の場合も同じ様相を呈する。「授業を教えることが教員の仕事なのか」、それとも、「学校経営にも参画することが教員の仕事なのか」、はたまた「そのどちらでもないのか」。
「何をする人間が教師なのか」
各方面から意見が噴出している。
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揺れる「学校」「教師」を前に、国民の注目も集まっている。
昨夜の「ガイアの夜明け」は、テーマが学校・教師だった。ビジネスマンを対象にした番組であるのにもかかわらず、珍しく「カネにならない話題」が特集されていたと思う。
ガイアの夜明け
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070320.html
番組では、
○学校選択制度によって、生徒獲得競争が激化している品川区 東海中学校の現状
品川区 東海中学校
http://www1.cts.ne.jp/~tokai/
○教員に成果主義を導入し、360度アンケートなどの結果をボーナス査定に盛り込んだ、郁文館夢学園の取り組み
郁文館夢学園
http://www.ikubunkan.ed.jp/
○通常の公立校の10倍の予算をかけて、学力向上に取り組む九段の中高一貫校、九段中等教育学校の取り組み
九段中等教育学校
http://www.kudan.ed.jp/
などが紹介されていた。
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ちなみに、今日の7時30分からのNHKスペシャルは「学校って何ですか」である。10時からの第二部徹底討論とあわせて、ほぼ3時間の特集を組んでいる。
NHKスペシャル
http://www.nhk.or.jp/special/onair/070321.html
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しかし、世論の盛り上がりとは対照的に、いっこうに聞こえてこない「声」がある。沈黙している主体、あるいは沈黙を迫られ、圧殺されている主体がある。
今日のNHKスペシャルでは、彼らの声を拾うことができるだろうか。楽しみにしている。
投稿者 jun : 2007年3月21日 09:10