大学院生の頃
ペンシルバニア州立大学大学院でPh.d取得をめざしている藤本さんが、僕の記事「人は見かけで」ににトラックバックしてくれました。
藤本さんの記事「大学院生という肩書き」
http://www.anotherway.jp/archives/000629.html
僕の記事「人は見かけで」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2006/02/post_72.html
藤本さんのおっしゃることは、まさに我が意を得たりという感じでした。
日本の大学院生のカテゴリーってのは、「学生」カテゴリーの中にあります。決して、「専門家コミュニティに周辺参加する一員」としては把握されていないですね。
それは、それだけ日本の大学院が社会に位置づく、そして、日本の社会そのものが学習社会に移行する発展の途上にあるという、ひとつの証左なのかもしれませんね。
もちろん、そうはいうものの、学生も勉強しないヤツってのはいますからね。たとえば、就職氷河期の時代、「就職できないから、大学院でもいくか」「大学院しかいくとこがない」という、いわゆる「でも」「しか」もいないわけではなかったと思います。
ほとんどの大学院生はまじめに研究に勤しんでいることと思いますが、そういう一部の大学院生のことがマスコミなどでクローズアップされ、増幅され、ある種のステレオタイプをつくりだす可能性があることは捨て切れぬ事でしょう。
あと、ものすごく共感したのが、下記の指摘です。
>「大学院生には、ちょっと厳しい突込みを」なんていう態度で無礼なことを言ってくる人もいる。
これ、いるんだよねぇ・・・・サドオヤヂっていうのかね。学生いじめて喜ぶっていうオヤヂが。
僕も大学院生の頃、学会や研究会で発表したとき、何度もエジキになりました。いじわるな質問をされたりね、けなされたりね。僕はマゾではないので、そういうオヤジには何度か殺意をもちました(笑)。
「それは、オレの研究の課題ではなくて、どちらかというと人類の課題だろう」という課題を押しつけられたりね、「大阪弁でわざと、おちょくった質問をされて、ウケをとるのに利用されたり」ですね。そういうことは何度となくあります。
スゴイのになると、「オマエのやっている研究は、オレの研究に似ている。パクッタな?、それを泥棒っていうんだ?どうして先行研究として引用しない?」というのもあります。で、帰って調べてみたら、「えっ、これ、似てるかぁ?」という研究だったりするわけです。「そんなヘボイ研究からパクりません」と思わず不遜にも言いたくなる。
ところが、これがオモシロイんだけど、そういう無礼な質問というか嫌がらせは、不思議なもので就職したら、「いっさい」なくなりました。これは、ある人に言われていたんです。「中原君、そういうのは院生の頃だけだから」と。本当にその通りになった。
学生の頃と就職してから・・・僕は言っていることはあまり変わりません。
それなのに、一度もないのです・・・おかしいじゃないか、コラ。
今、いろいろなところで学生さんが発表した際、投げかけられる質問を見ていても、品がない質問ありますね。可哀想に思うけどね・・・。でも、僕は、学生にそういう嫌がらせをした人の顔は全部覚えてるからね、悪いけど。絶対に忘れないから。
もちろん、ひどいときには発言します。でも、そういう「酔っぱらい」をどうmagageするかも力量という側面がありますね。だから、学生さんには、サバイバルストラテジーのひとつとして、そういう力量をつけてほしいと思うのです。世界はこんなに広い、いろんな人がいますから。就職して自分が講演するときになっても、いろいろありますから。学生の頃は特に多いけど、就職してからもいろいろあります。
大学院生当時、僕自身は、そういう質問をなげかけられたら、こう聞くことにしていました。
「は?・・・・・・・・すみません、今、なんておっしゃいましたか? すみません、ご主旨が理解できなかったのですが、すみませんが、もう一度、お聞かせ願えますでしょうか?」
と笑って言います。どうせ支離滅裂なのですから、こう言われたら、さすがに気づきます。それで気づかなければ逝ってよし。それに、もう一回言わせることで、そこに居合わせる全員に「この人はヤヴァイとわからせる」ことができます。
気分悪いけど、そういうことは、大学院生の頃は、悲しいかなあります。
でも、見ている人はちゃんと見ている。これも事実です。
だからね、あまり気にしない事かな、と思いますけれども。
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投稿者 jun : 2006年2月18日 10:25
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トラックバック時刻: 2006年2月25日 21:01