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Blue sky at hawaii photo
by Miwa
2004/01/31 ハーバード大学のオンラインコースウェア MIT Teaching & Learning Lab.主催のワークショップにでる。今日のお題は、「ジェンダー、エスニシティ、文化の問題と教授」。物理の教官が、数名の学部生をパネルとしてひきつれ、この問題を語っていた。たとえば、授業などでグループをつくって問題解決を行わせたとき、上記のような問題について配慮しなければ、マジョリティが支配することになるという指摘をしていた。 MITの学生のうち、50%がノンネィティブ=スピーカーである。様々な文化的背景をもった学生が、全世界から集まってきている。また、MITは工科系大学でありながら、学生の30%は女性である。このような多様性(ダイバーシティ)あふれるキャンパスの中で、競争はものすごく激しい。よって、なるべくフェアな環境で競争が行われるようにするため、こうしたことがらが問題になる。
ワークショップ終了後、田口さんとメキシコ料理屋で昼食をとり、ハーバード大学へ。この日は、ハーバード大学のInstructional Computing Groupのトムさんとアポイントがあった。話題は、ハーバードのオンライン教育の取り組み。 ハーバード大学 Instructional
Computing Group Instructional Computing Groupの活動を一言でいうと、ハーバード大学のファカルティの行う授業、ハーバード大学をおとずれる様々なセレブレティのシンポジウムを、オンラインコースにする支援を提供することかな。そのために、学生アルバイト(Teaching Fellow)をトレーニングし、撮影させ、配信するまでを担当している。ファカルティがWebコースを自分からつくりたいと申し出たときは、コンサルティングサービスも提供する。スタッフは総勢12名程度。サイエンスセンター(人文科学棟)の4Fの片隅にオフィスをもつ。 ハーバードの行うオンライン教育の目的は下記のとおり。
要するに、授業を補完するためのひとつの手段として、オンライン教育を位置づけていることがわかる。 トムはいう。
この方針は、MITのオープンコースウェアとも違うし、よく知られているスタンフォード大学のStanford Onlineとも違う。またかつて訪れたことのあるコロラド州のCCC Onlineとも違う。要は、それぞれの高等教育機関が、何を目的にして、どのようなサービスを、誰に対して提供するか、を考える必要があるということだ。ちなみに、ハーバードの場合、コースウェアのほとんどは非公開。
このようなサービスを行っていく際に問題になるのは、その実働部隊たるTeaching Fellowをどのように教育するか、である。一週間で撮影時間は150時間を超える。Teaching Fellowをうまく教育しなければ組織がまわらない。 Teaching Fellowの教育は、専用のコンピュータルームで行っている。撮影技法からHTML、サーバへのアップロードまでを教えているという。 ちなみに、Teaching Fellowとは、ハーバード大学独特の言い方で、要するにTA(Teaching Assistant)のこと。マスターの学生、ドクターの学生が雇用されている。ドクターの学生は「Hear Teching Fellow」とよばれ、マスターの学生を指導する。 Teaching Fellowのバイト代を聞いてみた。ワンセメスターで70万円程度とのこと。ということは、1ヶ月で約20万弱か。 もちろん、決してこの金額をそのまま日本の大学と比較してはいけない。日本のTAと比べて、やらなければならない時間は長い。また一度働いてから大学院生になる人が多いため、年齢は日本の大学院生と比べて上であることが多い。学費は8倍とか9倍だし、こちらの大学生の多くは親からお金をもらいながら大学にはいかない。前にも書いたが、大学院の運営システムが全く日本と違うのである。 オンラインコースウェアに対するファカルティの態度を聞いてみた。やはり世代によって微妙な温度差があるとのこと。若いファカルティは、学生の多くが自立的に勉強できる環境をつくることは大いに結構だと思っている。Technology好きな教官も多く、こうしたサービスはアタリマエだと感じているとのこと。それに対して、Matureな教官の中には反発するものもいるとのこと。Technologyをそもそも受け付けない場合が多い。 「このオンラインコースのビデオの画質はなんだ!、うちのビデオよりも画質が汚いぞ!」と言われたこともあるとか。 ファカルティの理解をえるため、トムはセメスターが終わるたびに、撮影したビデオをDVDにして届けているとのこと。
夜は田口さんのお宅でパーティ。ハーバード大学でマスターコースにかよう佐藤君と、ウォーレン、稲葉さん、僕が招待された。みなさんとゆっくりと話ができてよかった。とてもおいしい夕ご飯をいただいた。 かたじけない。ありがとうございました。 2004/01/30 隠されたコードを探せ! 午前中は、MITのESLクラスを受講するためのプレースメントテストをうける。リスニング、グラマー、エッセイは何とかこなすも、リスニングと面接で撃沈。いいよ、別に。 面接は、ギリシア人の23歳のGuyと一緒にうけたんだけどね。面接官から、いきなり「二人でお互いの情報交換をして」と言われました。でさー、彼の声がなかなか聞き取れませんでした。なんでかなー、僕は、別に特別な理由はないんだけど、女の人の声はとってもわかるんです。でも、オトコの人の声は、かなり聞き取りにくい。 仕方ないね・・・デキはともかく、彼とは仲良くはなりましたけど。いいよ、別に。下からはいあがってやる。 お昼は田口さんとロリのワークショップにでる。今日の内容は、「あなたがTAだとしたら、こんなときどうする?」みたいな話。参加者で話し合えと言われるんだけど、隣のにーちゃんが、アホほど愛想が悪くてこまった。 午後はCECIの研究室で暮らす。みんな超静かに、シコシコとプログラムを書いているんだねー。この静けさにびびったわ。学部時代も大学院時代も、研究室といえば、結構、学生同士で話す場みたいなイメージがあるからなー。 どうも日本みたいに研究室まわりみたいな慣習はないみたい。少しずつ自己紹介をしてるけど、まだよーわからん。ていうのは、このCECIには、マスターとドクターの学生さんと、僕みたいなVisiting scholarと、テクノロジースタッフと、ファカルティがいるんだけど、みんなジーンズとかはいてるし、外見だけではわからないんです。欧米人は僕より若かったとしても、なぜかずっと年上に見えるんですよね・・・なぜなんでしょうか。今日ちょっとだけ話したのは、カリムっていう大学院生。親切なマスターの男の子だった。 同室のコロンビアからきた女性研究者のアナはとってもいい人だった、ほっとしました。スペイン語の語学教育をテクノロジーで支援するってのが研究テーマ。アナの旦那さまは、ユネスコで働いているとのこと。NIMEの紹介をしたら、きっと旦那が喜ぶわ、と行っていた。旦那さんは、世界の教育機関について研究してるんだって。 うーむ・・・それにしても、ここのシキタリが見えぬ。誰がキーマンかもわからん。 隠されたコードを探せ! 2004/01/29 お金がないわけでは 田口さんと長電話した。 1日に2度日記を書くと、「アンタ暇人やなー」と思われてイヤなんだけど、彼女との話の中で、自分としては残しておきたいと思ったことがあったので、書くことにしますね。 「なるほどなー」と僕が思ったことは、昨日も話したデレク=ボクセンターのことよ。このセンター、昨日の日記でも書いたけど、ハーバードのファカルティに対して、ファカルティ・デヴェロップメントの機会を提供しているんです。 で、注目すべきは、ここで開催されるカンファレンスについてです。カンファレンスってのは、ファカルティが相互に授業を公開しあう研究会みたいなものね。それがセンターで開催されるとき、このセンターでは、参加者に必ず昼食を振る舞うらしいのです。昼食をとりながら、リラックスして話し合う時間が用意されている。 昼食をとり、そこで参加者同士、参加者とセンターの人たちが話し合う機会があれば、お互いが学びあう機会になる。お互いを知り合うきっかけにもなり、無用な警戒感が消える。参加者の中には、「あのセンターのホスピタリティは素晴らしかった」と喧伝するものもいて、そういう人たちを通して、センターに来てくれる人が増えるかもしれない。 こうしたミッションをもったセンターは、ともすれば、ファカルティから「あそこは僕らの教え方を監視しているらしいよ」だとか、「あそこのセンターは偉そうに僕らに教え方を教えようとしている」と思われる懸念がありますね。そういうことを回避する目的もあるんだろうね。 ひるがえって、日本にも同じ目的をもったセンターってたくさんあります。でも、そういうセンターの中でこういうホスピタリティを発揮できるところないだろうなと思うわけです。会計費目的に参加者にランチを振る舞うことは、できないんじゃないかな。決して金がないわけじゃない。でも、自由に予算を執行できないからできない。ここが大きな差を生むわけです。 ここで僕が言いたいことはさ、「昼食をおごれ」ってことじゃないってことよ。僕はケチじゃないぞ、むしろキリギリスだ。ごめん、話がずれた。 むしろ、日本の同様のミッションをもつセンターの方がお金をたくさんもっている。だけど金はあっても会計費目的に「落とせないから」できない。片方はあまり金はない。だけど自分たちのミッションにしたがった予算執行が自由にできる。 その結果、片方は「あそこのセンターはホスピタリティがあるねー、また友達を誘って行くことにしよう」と思われ、片方は「あそこのセンターには気をつけろ」と思われる、その差です。こちらで提供される昼食は、たいしたお金がかかるわけじゃないんだ、一人あたり300円とか400円だと思う。そんなお金で差が出てしまうなんてもったいなくはないだろうか。 もちろん、そうした違いは昼食を振る舞っているか、振る舞っていないか、だけの差だけではなくって、いろいろと複雑な要因が絡まって居るんだと思います。 でもさ、昼食というたかが数百円のリソースを活用して、参加者同士、参加者とセンターの教員が学びあう場を巧妙にデザインしているところが心憎いわけです。 たかが昼食、されど昼食。 2004/01/28 歯が命 今日は夕方起きて原稿を書き始めている。 実は、少しお熱あってさ、早朝に。で、おうちからでるのをやめました。少し寝たら結構元気になりました、熱もさがったしね。でもさ、〆切がせまっておるので、書かな仕方がないわな。まー、どうせ起きてなアカンのやったら、ヒアリングの練習になるかな、と思ってテレビをつけながらやってるんだけどね。ならん、ならん、ならんってーの。集中しなきゃ、何いってるかなんてわからんもん。 テレビね、こっちは大統領選挙の民主党候補を決める選挙がはじまっていて、どのチャンネルつけてもそればっかりだわ。それにしてもさ、大統領選挙ってのはすごいねー。イメージ選挙だ。 各候補がさ、これまでイヤミなまでに歯が白いんだなー。オマエ、アズマミキヒサかっていうの。「歯がキラリ」みたいなコマーシャルがバンバンはいる。 よく知られていることですが、アメリカって、白い歯がステータスシンボルなんですね。歯に関する関心が日本と比べ者にならんくらい高い。だからね、歯医者の技術は日本より10年進んでいるんだそうです。 あっそうそう、大統領選挙といえば、先日英会話グループであった、あるアメリカ人にこんなことを言われたぞ。
言われてるねー。少しカチンときたから、こういっておいた。
ていうか、こっちにきてよく思うのは、みんな、日本に注目してるってことです。意外に知ってるんだよねー、日本の政治のこと、経済のこと。日本にいたときは、僕、アメリカ人が日本について知っていることなんて、キンカクジとかフジヤマとかハラキリだけかと思っていたんだけど、それは違います。だからさ、恥ずかしくないことしなきゃね。
こちらにきて、頻繁に日記を更新していることもあるんでしょうか、最近、いろいろな方からメールをいただいています。本当にありがとうございます。 今日は、その中から「大学」と「企業」の関係に関するメールを紹介。
この方がおっしゃるように、「企業」と「大学」の関係を考える際、大学悪玉論で片づけてしまうのは、あまりに安易すぎますね。大学悪玉論も、企業悪玉論も、「あー、スッキリした、っていう感じにはなりますけど、それで思考停止して、はい、それまでーよ、で終わるから、だめなんです。 いずれにしても、企業と大学のあいだに、両者がオトクになるような、「人材」「資金」などの回路をつくりだしていくことが重要なんでしょうね。 あと、先日ご紹介したスタンフォード大学 Learning Design and Technology programを修了なさった「あんどうちか」さんからもメールをいただきました。
聞くところによると、日本科学未来館の美馬さん、国際交流基金の麦谷さんなど、東京大学の一色さんなど、僕がこれまでお世話になってきた方とお知り合いだとのこと。「Learning designの世界は狭いですね」とおっしゃっておりました。 そろそろ原稿書きに戻るか・・・逃避行終わりだわ。 2004/01/27 盛りだくさん 今日は本当に盛りだくさんな日だった。 朝、CECIにてラーマン先生とのミーティング。自分のこれまでやってきたこと、この9ヶ月でやりたいことをプレゼンテーション。拙い英語ながらも、何とかわかっていただけたようだ。その後は、「大学と情報通信技術」に関して、話がはずむ。
ちなみに、ラーマン先生は、これまでProject Athena、Opne Course WareやSingapore-MIT Allianceののディレクションや立ち上げ、などに携わってきた方です。知的で、とても優しい方でした。
ちなみに、オープンコースウェアは、MITが行っている無償の授業素材公開サイトのこと。ラーマン先生によると、現在、ポルトガル語、スペイン語、中国語のベータサイトが各国に誕生しているという話であった。各国でMITの授業素材を使った教育活動がはじまりつつある。 シンガポール - MIT アライアンスは、シンガポールのナイヤン工科大学で、MITのエンジニアリングの講義が受けられるというプログラム。ファンドは、シンガポール政府から莫大な金額が支払われている。 ラーマン先生によると、このプログラム、これまで第一フェイズとして、学位取得をめざさない授業の配信に注力してきたが、第二フェイズでは学位取得も可能になるとのこと。つまり、シンガポールにいながらにして、MITの学位をとれるようになるということである。修士を年間70名から80名、博士を年間40名ほどだしていく予定とのことであった。
その後、CECIの秘書のメグにワークスペースに案内される。そこには机、電話、コンピュータが置かれていた。ここが僕が9ヶ月間研究する仕事場か・・・なんだか感慨深い。お昼に田口さんと待ち合わせがあったので、急いでIDセンターへ。無事、IDをゲットした。これで図書館、アスレチックジムなど、MITが提供する様々なサービスを利用することができる。
お昼、田口さんと待ち合わせして、MITで行われている「better teaching@MIT」というワークショップに参加した。要するに、FDワークショップだね。 アメリカの大学では、ブラウンバックといって、昼食に開催されるセミナーやミーティングって多いんですが、この日も、昼食や飲み物を食べながら、多くの人たちが参加していた。その数、なんと約100名。
ところで、このワークショップ、MITのTechnology & Learning lab.というところが企画していて、この日は化学・物理・スローンスクールのファカルティが、自分の教授のコツについて語っていた。Technology & Learning lab.のディレクターのロリは、忙しそうだったので、ご挨拶だけをした
それにしてもすごいねー。だってさ、この手のワークショップに100名近くの人がくるんです。日本だったらFDのワークショップに100名の人が参加するなんて、まだ考えられないものね。いやー、関心高すぎ。 3人が語っていたことで共通することは、「生徒を知ること」が一番重要だって事であった。その人その人で方法は違うけれど、生徒の理解や感情を知るために心をつくしていることがわかった。
昼食は、ハーバードスクエアのオーボンパンで。稲葉さんと待ち合わせして、田口さんの受け入れ先であるハーバード大学のデレクボクセンターへ。
ちなみにデレク=ボクというのは、何世代目かは忘れたけれど、ハーバード大学の近代化に寄与したと言われている学長のこと。このセンターのディレクターは、ウィルキンソン先生。日本のこと、日本語に精通している、とても知的な方だった。 持参したプレゼン資料をもとに、僕はNIMEのこと、自分の興味関心について話す。それに対するウィルキンソン先生の反応としては、AAHEという学会に参加するとよいとの示唆をいただいた。今年はワシントンらしい。
このほか、ウィルキンソン先生からいろいろなお話を聞く。 特に印象深かったのは、このセンターで開発しているFD(ファカルティ・デヴェロップメント)のビデオだ。名前をHarvard Teaching Seriesという。このビデオでは、ハーバードの教授で、教え方や学ばせ方のうまい先生の教室を取材し、学生の生の声もまじえ紹介している。
いくつかのビデオを見せてもらったが、特に印象深かったのは、最新作の「From question to concept : Interactive physics」というビデオである。このビデオでは、ある物理の先生が主人公。彼はオンラインのWebサイトと授業を組み合わせ、生徒の顔と名前と意見を一致させながら授業を実施していく。 ビデオは、センターの人間がアドバイザリーボードとなり、外部にディレクターを一人雇い、実施しているとのこと。ウィルキンソン先生によれば、「パートナーシップの中での開発」ということであった。 ビデオやシリーズ化している。この他にもいろいろな教授場面をおさめたビデオがある。しかし、ウィルキンソン先生によれば、多様な教授場面をあつかったビデオをつくるにしても、シリーズ化することが重要とのこと。それはセンターのブランド戦略にもつながるとのことであった。 ちなみに、ビデオのプロモーションは、デレクボクセンターが年に2度開催しているカンファレンス、Web、カタログなどで行われている。1つのビデオにつき年間100本から200本の売り上げがあるとのことであった。 この他、センターにはマイクロティーチングを行うカンファレンスルーム、その様子を撮影する機材があった。ここで行われた模擬授業は、すべてビデオとして保管されているとのこと。
ともかく、今日はいろいろな先生から、とても有意義な話を聞けた。英語シャワーで疲労は激しいことこの上ないが、知的にオモシロすぎる日でもあった。 2004/01/26 まずはギブせよ! こちらにきて、今日ではや10日間。早かったような、長かったような。何がなんだかわからんな、という感じで時間が過ぎたような気もする。 いよいよ今週からは、MITやハーバードで本格的に研究を開始することになりそうだ。オフィスにも明日から出勤がはじまる。 どうなることやら・・・。右も左もわからぬ僕ではあるが、ともかく今は、つべこべ言わず動くしかない。ごちゃごちゃ言っている暇はないのだ。 こちらにきて、一つの思いを強く持つようになった。 あなたが「何か」につながりたいと思うのならば、まずは自分から動くことからはじめるべきだ、ということである。願わくば貢献できるとよいが、それが無理でも、まずは、自分から働きかけることが重要であるということである。 アメリカは「アンチ・上げ膳据え膳」の国である。あなたが存在をしめし、何かをもとめ、何かを貢献しなければ、誰も動いてくれない。どこの誰が、見知らぬあなたに関与しようというのか。 「ギブ&テイク」という言葉、日本ではよく使われる。しかし、こちらにきてはじめて、この成句を構成する2つの単語の順番が非常に重要であったことに気づいた。 「テイク&ギブ」ではダメなのである。まずは「ギブせよ」、あなたの「テイク」はそこからはじまる。 2004/01/25 大学院生 ボストン公立図書館・・・オールストン図書館、などなど、こちらにきて、本当にいろいろな学生たちにあった。 僕があった学生たちが一様であるかというと、全くそんなことはない。目的をもつ人、持たぬ人。やる気のある人、ない人。行動を起こす人、おこさぬ人。この街の平均年齢は20台後半...いろいろなワカモノが全世界から集っている。 大学院生にもいろいろな人たちがいることがわかった。 海外の大学院生はよく勉強すると言われているが、決して、すべての人がそうでないこともわかった。大学院生の中には、読むべき文献を読まずに授業に望む人もたーくさんいることがわかった。特に、組織が派遣した人の場合、その傾向が強いように思うのは気のせいか。もちろん、すごーく勉強している大学院生はものすごい読書量であることもわかった。要は人それぞれだ、こちらの人がよく使う言葉でいえば、「It is up to you」である。 ところで、今日は日曜日。 午前はやくに英会話グループが終わったので、午後は「マジメな大学院生」になったつもりで勉強することにした。アマゾンで注文していた文献がいくつか到着したので、大学院生のつもりでそれを批判的に読んで、自分の考えをまとめてみることにした。 こちらの大学院生は、ひとつの授業を受ける前に、だいたい100pくらいテキストを読み込むことを要求されているという。でさー、やってみたんだけど、これ、大変だわ、オラ、泣くね、これが毎日続くと。 まー読むのは何とかなるにしても、それを要約して、問題点や疑問点をまとめるとさ、もーすぐに4〜5時間たっちゃう。興味のある文献ならいいけど、読んでもわからんものだったら、苦痛だべな。でも、一方で、これを1年やったら、かなりチカラがつくだろうな、と思います。 でもさ、こういう風にまとまった時間がとれるのも、この9ヶ月の特権なわけだから、これからこういう時間を増やしていきたいと思っているわけです。折しも今日読んだ文献にこんなことが書いてあったわ。
所属があろうと、なかろうと、僕は生涯、大学院生のように学び続けて生きたい。
下記は研究メモ>自分
2004/01/23 点描 お昼、宮川先生とMIT近くのケンドールスクエアのリーガルシーフードでパワーランチ。自分のこれまでの研究、これから行っていきたい研究についてショートプレゼンテーション。「企業と教育」というテーマで、宮川先生とは今後も情報交換をさせていただくことになった。
それにしてもあせったのは、ケンドールスクエアのリーガルシーフードさ。実は、MITの近くって言うのは、まともなレストランがないんですね、だから、唯一まともなレストランであるここには、MITのファカルティがよくお食事にくるとのこと。ちなみに、この日は、学習する組織で有名なピーターセンゲさんを発見。中にいる人、みんな、研究の話をしていた。 MITのキャンパスを宮川先生に案内していただく。インフィニットコリドー(無限に続く...っていうほど長い廊下)を抜け、キャンパス中央の7号館に到着。 7号館にはCECI(Center for Educational Computing Initiative : 僕のワークスペースのあるところ)がある。そこでディレクターをつとめていらっしゃるラーマン教授とはじめて面会できた。とてもフレンドリーな方でホッとした。月曜日に再度アポイントメントをいただいた。
その後、Open CourseWareのExective Directorのアンのもとを訪ねご挨拶。Open Course WareのEvaluation Specialistであるステファンと来週話をすることになった。Open Course Wareのすぐ近くには、MITのファカルティに対して、様々なかたちでサービスを提供するAMPSがあった。
夜は、田口さん、小林さん、桑原さんとアイスホッケーへ。アイスホッケーそのものもおもしろかったけど、観客を熱狂させるアメリカ的演出に驚いた。 明日はケンブリッジ・アダルト・エデュケーションセンターで会話のESLクラスを受講。3時間しゃべくりまくると思われる。討ち死にしなければよいが。
はやいもので、僕がボストンにきて今日で丁度1週間。今日は、ここまで、とりためた写真をいっきに公開!
2004/01/22 居酒屋いきてー ていうかさー、こっちにきて一番ツライのは食事です。これね、ツライツライとは聞いていたけど、ホンマ、ツライわ。 だって、オイリーでないものったら、ホンマに探さなければみつからんもん。いや、贅沢はいわんわ、オイリーでもいいんだけど、まともに食べたいなぁ、と思うものが、なかなかないわけよ。 まして、少しでも夜遅くなったら、悲惨よ。開いているのは、アンビリーバボーなくらい愛想の悪い店員のいるセブンイレブンしかないんだから。 なんかねー、アタマにきたわ、今日は。だってさー、今日の僕の夕食は、「歯が凍るくらい冷えきった七面鳥のサンドイッチ」だからね。何が悲しくて、サンドイッチよ。それにさ、店員の態度が超悪い。オマエはお代官様か、アホンダラ! だって、それしか店が開いていないんだもん、店が。せっかく英会話グループで勉強したあとでさ、「あー、疲れたな、楽しみだな夕食が」と思ってたのにさ、開いてる店がねーの。おいおいおいってーの、ここ数年、こんな貧相な食事したことないっつーの。 それにさ、フツーのレストランとかいっても、文句のひとつも言いたくなるわ。一皿の量がデカイんだってーの。これは象とかが食べる量か? 少しずつ小分けでいろんなもの食べたいじゃないですか、それは100%無理だから。 あーあ、なんだかさ、僕はね、涙がでてくるよ、たった1週間くらいしかたってないけどさ、食事は耐えられない。 居酒屋いきてー。少しずついろんなものを食べて酒のみてー。 2004/01/21 セットアップ 本日、予定通り、初期セットアップを完了した。まだまだ、すべての荷物が片づいたわけではないし、住居が完全に綺麗になったわけではないけど、とりあえずは生活がかたちになったと思う。 僕の滞在は在研より短い9ヶ月。イニシャルの準備にかける時間は当初から到着後一週間と決めていた。 その間は、どんなに疲れてもなるべく外へでて、買い物や手続きなどをすます。もちろん、そうした事柄も勉強になることはわかっている。しかし、僕が一番学びたいのは<アメリカでの生活方法>ではない。それは<アメリカの教育>であり、<今後の教育のあるべき方向>なのである。 早朝、ソーシャルセキュリティナンバーの取得のため、デービスへ。2週間程度かかるとのこと。そのまま、ボストン公立図書館での英会話スクールに通う。
韓国でマーケティングをやっていたキャリアウーマン、ベトナムの医師、グリーンカード取得をめざしている中国の女性、ボストン大学でオペラを学ぶ夫についてきたイスラエルの女性、あまりに陽気なブラジル人、英語が話せないためにこれまで辛酸をなめてきたスパニッシュの男性。 それぞれの様々な人がここで学んでいる。ブラジル人のシーザーはいう。
昼食はオーボンパン。その後、MITへ。IDとe-mail addressの申請のため、Center for educational computing initiatives と OCWのマネージャをつとめるPam Homsyさんと電話でやりとり。 夕方、早めに帰宅。帰りにファインディングニモのDVDを借りてきてみた。その後、夕食をすまし、ハーバードスクエアへ。日本でいったらちょうどフランフランみたいな、Crate and Barrelでワイングラスを2個購入。
その後、ハーバードのCOOP、ブックセンターでこの週末にかけて読む本を買った。
帰りはてくてくとマサチューセッツ通りを南下。無事、自宅につく。 2004/01/19 アメリカ ひとつだけ間違いのないことがある。否、少なくとも僕の信じていることがある。 それは社会のあり方であれ、教育であれ、日本はアメリカを「目指してはいけない」ということである。何かに行き詰まったときには、現状を分析した上で、アメリカをかいま見つつ、第三の道を探すべきだと思う。 この考えはとるにたらない凡庸なものである。 しかし、同じくらい凡庸な考えであり、少なくない人々が心に抱いている「日本社会はダメ、アメリカはバラ色!」というステレオタイプよりは、かつ、「日本万歳、アメリカは見習うべきものなし」という一見進歩的に見える思いこみよりは、1000倍マシであるような気がする。いたずらに自虐的になることや、いたずらに強がることは、論理的思考を阻害する。 アメリカを見るとき僕はいつも複雑な思いに駆られる。 2004/01/18 ハーバード 田口さんの紹介でハーバード大学の博士課程で心理学を専攻している桑原さんにあう。お昼はポルトガル料理のお店で、夜はハーバード大学近くのスペイン風居酒屋(TAPAS)「DALI」で、いろいろな教育学的話題について話した。とても興味深い話をたくさん聞けた。 今日、特に印象に残ったことは3点。 ひとつめは、親の社会階層が子どもの語彙力にどれほどの影響を与えるのか、ということについて、興味深いリサーチを紹介してもらった。
彼らが明らかにしたことは衝撃的な事実だった。 教授などの知識階層の子どもの3歳の言語発達能力は、低所得階層の親の言語能力をすでに超えているいるというものである。そして、低所得階層の子どもたちが、知識階層の子どもに追いつくためには、週で数十時間の集中的な学習を行う必要があるということであった。 また、子どもへの働きかけも異なっていた。回数は、知識階層の親で子どもに最も話しかけた親は、1時間に800回であるのに対し、低所得者層の親は50回であった。また、ほめる回数は前者が30回に対し、後者は6回。一方、子どもに投げかけられる否定・禁止語の回数は前者が1回に対し、後者が5回だった。 「こうした差は、子どもの自己像(自己認知あるいは自己効力感)に悪影響をもたらすのではないか」 桑原さんはそう分析しておられたが、全く同感だった。
次に2点目。それはハーバードに新任でやってくる教授たちの審査過程に関してである。 ハーバードでは、全世界から優秀なスタッフを集めるため、新任の教員採用に数年をかけることが珍しくないのだという。また、厳正な書類審査の最後には、「ファーストトーク」とよばれる模擬授業が開催される。この模擬授業は、審査に関与した教授だけでなく、学生にも公開されており、そこでの「教え方」に問題があると、採用されないのだという。 ちなみに、1月27日にある新任助教授候補者のファーストトークが開催されるが、彼の審査過程には6年をかけているとのこと。 6年は待たされる者にとっては、シャレにならんな、とは思うが、「授業のクオリティ」に徹底的にこだわる姿勢はスゴイなと思った。
最後は、ハーバードの授業について。昨日、桑原さんからコースリストをいただいたのだが、見ていてびっくりしたのは、ほとんどの授業で、たとえそれが一斉講義の授業であっても、学生が自らShort Projectを実施するモジュールが組み込まれていることだ。 オンラインコースのパフォーマンス向上に関する講義では、いくつかのパートナー企業・団体と学生をマッチングさせ、その企業で開発されたプログラムの評価を学生が実際に行う、というプロジェクトが行われる予定であった。 もちろんそうした講義は日本でも増えてきている。学生のモティベーションも向上するし、産と学の連携も進むだろう。 こうしたProjectを組み込んだ学習科学・教育工学に関するカリキュラムは、スタンフォード大学でも行われているとのことであった。先日、このホームページをご覧になってメールをいただいた中植さんの情報によると、スタンフォードの「Learning, design and technology」マスターコースの授業では、通常のコースワークに加え、インターンシップを行い45単位を取得することが求められている。このコースは、ロイピーさんが所属しているコースだ。 インターンシップでは、「Learning」「Design」「Technology」のすべてがブレンドされたような職場に学生が出向き、そこで何らかのプロジェクトにJoinするのだという。
TLOも大切だけど、それをつくるだけが産学連携だけじゃない。
貴重な情報をくれた桑原さん、中植さんにこの場を借りて感謝致します。 2004/01/17 カラダに悪いものほど安い 早朝、ハーバードスクエアの銀行「フリート」へ。昨日、フルブライトから送られてきた小切手を銀行口座にいれるため。 その後、同じくハーバードスクエアにあるケンブリッジアダルトエデュケーションセンターへ向かい、プレースメントテストを受けた。文法は満点、リスニングは3問落とす。金曜日の午前中にESLのコースをいれた。3時間しゃべくりまくりらしいが、ついていけない恐れアリ。 昼食をハーバードスクエアのオーボンパン。シザーサラダ、クラムチャウダー、ブレッド。出かける前に見た映画「グッド・ウィル・ハンティング」を思い出す。 レッドラインからグリーンラインへ。コープリーにあるボストン公立図書館に向かう。なんと、ここでは無料で英会話グループに入ることができる。英会話を学びたいと思っている、主にコリア、日本、中国、スパニッシュの人たちが、集まってひたすら話し合う、というグループです。ネイティブスピーカが何人かボランティアで参加している。3時間の英会話を終えたころには、ものすごい疲労で、シオシオのパー。 最後に、ボストン大学のクープへ。僕とカミサンの使うスリッパを買った。こっちはさ、部屋の中で靴をぬぐことはしないから、なかなかスリッパって売ってないんだよねー。苦労しました。
今日一番感じたこと。アメリカっていう国は、人の食べてるものを見れば、ある程度その人の社会階層が、なんとなく想像できるってこと。たとえば地下鉄で歩き食いしてるような人たちを見ていると、なんとなくわかる。 要するに、富裕な層は「みのもんたもびっくりのオーガニック食事」を選ぶのです。一方で、そうでない層は「油ギトギトで、どっから見ても不健康でっせー、長生きできないでっせー」というものを食べているような気がする。 たぶんその一因は、食べ物の値段の二極化にあるような気がします。「カラダに悪そうな食べ物であればあるほど、信じられないくらい安い」一方ね、ちょっとでも「カラダによさそうなもの、ちょっとでも「健康そうだぞー」っていう付加価値のついたものは、1.5倍くらい平気でかかるのです。 健康はお金で買うんだねー。 2004/01/16 学生は雇う!? ボストンの地元銀行である「フリート」に行って銀行の口座を開設。その後、上野さんとダウンタウンに行って大家と契約をした。その後、またフリートにいってトラベラーズチェックを口座にいれる。その後、5時、マリオットにて宮川先生とミーティング。その後、上野さんとエチオピア料理へ。深酒、反省。 今日、もっとも印象的だった出来事は、「MITのほとんどの院生は雇われている」という事実。これは宮川先生、上野さん、両方から耳にした。 つまり、教授が外部資金を導入し大きなプロジェクトを動かす。そのプロジェクト遂行のための人員として、多くのMITの院生は教授に「雇われている」のである。 学部にもよるが、MITの授業料は年間300万円をゆうにこえる。この授業料の多くは、こうした外部資金が学生に還元されたかたちでまかなわれているのである。さしずめ、教授の多くは経営者といったところか。やとわれているのだから、当然、解雇もありえる。世の中、そんなに甘い話だけじゃない。 最近MITでもっとも景気がよいのは、バイオインフォマティクスの領域。MITをつっきる道路であるマサチューセッツアーベニュー沿いには、どんどんと新しいビルディングがつくられているが、その多くがバイオベンチャーとのこと。 宮川先生の話によると、これらの敷地の所有権はMITにあり、そこで働く人たちの多くがMIT関係者であるという。このアーベニュー沿いには、1000社が明日の成功を夢見て、しのぎを削っている。明日のシリコンバレーを目指し、今日も、それらのビルディングの窓にはあかりがともる。 すべてを手放しで賞賛してよい教育のカタチではないような気もする。しかし、すべてを無視することもできない、教育のカタチでもあるような気もする。 2004/01/15 ボストンについた! 15時間のフライトのすえ、ようやくボストンへ。途中のデトロイトあたりから強烈なジェットラグにやられたが、何とか到着。田口さんが空港で出迎えてくれた。その後、直接自宅へ。前の住人の上野さんにお逢いした。今回の自宅はインターネットで探した。お茶を飲んで一息ついて夕食へ。それにしても、ボストンは寒い。マイナス20度をこえている。風が強いので体感温度はマイナス30度以上だろうな、と思う。そとを歩いていると、顔が痛い。道行く人たちは、皆、銀行強盗のようにマフラーをぐるぐる巻きにしている。 深夜、インターネットに接続成功。MSN Messengerのテレビ電話も開設した。これさえあれば何とかなる。宮川先生、旭川と奈良の両親、カミサンにメールをおくった。 早朝ジェットラグで目が覚める。 上野さんと早速、インターネット、電話、ガス、電気の名義を変更。電話のオペレータの英語、めちゃくちゃ早く泣きそう・・・ネイティブはゆっくり話せないことを痛感した。上野さんに助けてもらって無事成功。今日は、これから大家との契約、銀行口座の開設、ソーシャルセキュリティナンバーの登録にいこうと思う。 とにかく、この2日間、田口さん、上野さんには大変お世話になった。ありがとうございました。 2004/01/09 豊かさ 先日、札幌の実家に帰省したおり、父母、カミサンとで、札幌中心部にできたばかりという天然温泉に行った。いわゆる、スーパー銭湯というヤツで、入浴料はたったの370円。温泉の隣にはホテルがあり、そちらの宿泊料がなんとシングルだったら、\3,800なのだという。
中心部からは確かに少しだけ離れているものの、JR札幌駅から徒歩15分の近さの施設で、この値段である・・・安い。ちなみに、僕が「自分にご褒美」のときにいく後楽園ラクーアは、JR水道橋駅から徒歩10分。入浴料だけで2300円。 うーん、単純に比較はできないのはわかっているけれど、なんだか腑に落ちないよなぁ、この格差って。もちろん、温泉だけで豊かさは決まらないけれどさ、それはわかっているんだけれども、何が豊かな生活なのか、一瞬とまどってしまう。 2004/01/09 大学経営のプロになる 先日、ある会社の人材育成プロジェクトの会議に参加するため、都内を歩いていたら、偶然、一枚のチラシを手にした。桜美林大学が、大学経営のエキスパートを養成する通信制大学院を立ち上げるという話であった。
こうした通信制大学院ができるというのは、以前からNIMEの吉田先生などからお聞きしていたが、それにしても、ようやく日本にもこうした学びの場ができたのか、と思うと、非常に感慨深い。 大学には、教員と事務職員という2つの職種がある。 国立大学の場合、ファカルティデヴェロップメント、競争的資金の導入、学生による評価、任期制などの導入によって、教員側の改革は近年様々な場所で問題にされている。 大学が本来もっているパワーを発揮していくためには、事務職員の方も専門性を高め、「大学事務のプロ」になっていく必要があるんだろう。 先日、ある人材派遣会社の方から聞いた話によると、マスコミや銀行などで広報や財務の知識と専門性をもった人の第二の就職先として、今、最も注目されているのは大学職員なのだという。大競争時代、国公私立をとわず、知識と専門性のある職員を採用したい、という動きが水面下で進んでいるのであろう。 ゆっくりと、だが、確実に、何かが動き出している。 2004/01/07 ブログ 中原さんは、なぜNAKAHARA-LAB.NETのサイトをblogに移行しないのですか? ということをたまに言われる。 しかし、僕は、現段階でblogに、このサイトを移行することは考えていない。いくつかの理由はあるが、最大の理由は、blogは、今の立場にいる僕が採用したいものとは異なったコミュニケーションスタイルを、世の中に提供し、僕に強いてしまうからである。 敢えて詳細に言わぬが、僕自身、いろいろ考えているところがある。もちろん、近い将来、移行することは大いにありえるが、少なくとも今は考えていない。移行しようと思えば、すぐに使えるサーバは用意してあるが、今はそのときではない。 Webサイトの運営とは戦略に他ならない。 2004/01/05 犬 どうにも納得できないことがある。「冬の北海道で戸外で犬を飼う」ということについてである。今回の帰省で、近所を回った際、戸外で飼われている犬を何頭か目にした。 僕は犬の専門家ではないから、上記のような主張は感情論なのかもしれない。まして、僕が代わりに飼い主になることはできないから、無責任極まりない主張であることは承知である。 しかし、想像してみてほしい。冬の北海道の外気は、へーきのへーちゃんでマイナス20度を超える。風が強い日ならば、体感温度はマイナス30度を超える日もザラだろう。吹雪の夜などは、さらに凄惨な寒さに襲われる。 犬小屋があるとはいうものの、戸外で飼われている犬の多くは、白い息をいつもハーハーと言わせている。その様子は、「もう堪忍してください」と言っているように僕には思えてしまう。僕が「末端冷え性」に悩まされているからそう思うのかもしれないが、とにかく、その様子には同情を禁じえない。 そう言っているこの夜にも、犬たちは、凍てつく寒さの中を暮らしている。 2004/01/04 正月だから 正月、ばーちゃんのおうちに寄った際、いとこのターチャンにあった。ターチャンは、ご自慢の高価なワインを、僕らのために何本かあけてくれた。またおみやげには、ステキな白ワインを持たせてくれた。おいしゅうございました、ホントウにありがとう。 下記の写真は、このお正月、実家によった際、ご相伴にあずかり、美味しかったワイン、焼酎、チーズなどである。飲み過ぎかもな・・・いいじゃないか、1年に1度しかない日なのだから、「お正月サマ」なのだから。 もちろん、今日という日、明日という日も、一日しかないのだけれども。
2004/01/03 エビ丼 正月、北海道の実家に帰省し、家族で歓談していた際、「我が家が共働き家庭であったこと」が話題にのぼった。 何を隠そう、ていうか隠す必要もないし、隠していないとも思うが、うちの親は両親そろってデンデンコウシャ、今のNTTに勤務していた。共働きは、僕が大学2年になるまで続いた。 共働き家庭 今でこそ、そうした家庭はアタリマエかもしれないが、当時僕が住んでいた地域ではそれほど多くはなかったように思う。周りからは、結構、珍しい家庭として見られていたような気がする。 オヤジとオフクロの勤務は、「泊まり」を含むこともあり、そういうときは、夕ご飯などが作り置きの弁当になった。泊まり勤務にでかける前、うちのオカンがよくつくり置きしたのは、いわゆる「丼物」。丼物と言えば、すぐに思い浮かぶのは、カツ丼、親子丼であろうが、うちで最も食されたのは、エビ丼と言われるものだった。 エビ丼? エビ天丼ならよく知られているものであるが、エビ丼は、カツ丼の「カツ」が「エビ」になっているものである、きっと彼女のオリジナルメニューであろう。 昔懐かしい食器 実家の引き出しをガサガサ探していたら、当時使っていた食器(お重)を見つけた。四角の小さなお重は妹のもの、丸型の大きなものは僕やオヤジが使っていたものだ。ここにエビが昔はごっそり盛られていた。 今は使われることのない「お重」をしげしげと見ていたら、鍵をぶらさげて家路に急いだあの頃を思い出した。 帰ってきて手を洗った? 玄関の鍵はしめた?
先日、カミサンの友人らと、例のごとく、午前様飲酒会をしたときのこと、「肝臓が既にヒーヒー言っちゃっている方々」から、ウコンなるものを紹介してもらった。
聞くところによると、これを飲むだけで肝臓のガンマGTPの値が下がり、深酒した次の日でも、気分爽快に目覚めることができるとのこと。早速、飲み会の途中でウコンを試したところ、これがびっくりよ、アンタ。 彼らと飲んだ次の日は、いつも「酒カス同然」の僕ら夫婦が、次の日、朝早くから目がさめ、いまにも寒稽古しそうな勢いだった・・・勢いだけは。 これはおすすめです、ナイス、ウコン。 2004/01/01 逢 一年の計は元旦にあり。さて今こそと思い立ち、ムムムと思案したものの、今の僕の気持ちをあらわす言葉がうかんではこない。さもありなん、と、一昨年前の日記でどんなことを書いているか、見てみることとした。
2003年、僕の「一年の計」を漢字一文字であらわすならば、これだろう。
文字通り、この一年は、自分の中に「いしずえ」をつくる期間にしたいと思う。 ファーストステップのための礎が大学院生のある時期ならば、今回築きたいと思うのは、セカンドステップのための礎。数年先の自分のあるべき姿、数年先に社会から求められる自分の姿。その2つの姿を時にオーバーレイしつつ考えることが、今の僕には必要になってきているように思う。仕事のやり方も大幅に見直すことにした。
そうか去年のテーマは「礎」だったのか・・・こんな「計」をしていたとは、すっかり忘れていた。しかし、意識したにせよ、しなかったにせよ、2003年、僕は「礎」となるような仕事をいくつか達成できたようにも思う。 2003年は過ぎた。それでは、2004年の一年の計とは何か?土台ばっかり築いていても仕方がない。土台は何か次のステップに踏み出す際に必要なものであって、「ステップなき土台」ほど悲しいものはない。
というわけで、あーでもない、こーでもないとひとしきり考えて、ようやく一文字を選んだ。2004年の計は、「逢」である。 おそらく、2004年の僕は、今まで見知ったこともない海外の様々な人々に出会い、様々な場に参加するだろう。様々な研究知見に出会い、時にため息混じりになることもあるだろうし、勇気づけられることもあるだろう。そのような一つ一つの「逢」から、2005年からはじまる新たな研究の輪郭を描いていかねばならぬ。 「逢」とは、はじまりのデザイン |
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