The Long & Winding Road - 2003/12

     


    
Blue sky at hawaii photo by Miwa

  


2003/12/30 今年も終わる

 年末は非常に予定が立て込んでいた。なかなか日記がかけなかったのは残念だった。何とかかんとか、僕の年内の予定はすべて終了し、今は妻の実家でゆっくりとした時間を過ごさせてもらっている。

 昨日は、妻の実家の近くに住んでいらっしゃる甲南女子大学の上田先生のお宅にお邪魔した。年末忙しい時期のご訪問、大変恐縮だったが、とても楽しい時間を過ごすことができた。信樹くんの最新楽曲も聴かせてもらったし、奥さま手作りのお料理も大変美味しかった。「企業と教育学のかかわり」についてのお話も大変おもしろかった。ありがとうございました。

 今年の日記はこれで最後になると思う。例年のごとく忙しい年だったが、とてもマンゾクできるステキな一年だった。来年はどんなことをしようか。楽しみだ、楽しみだ。人に後ろ指さされるくらい、動き回る覚悟である。


2003/12/19 秋田へ

 秋田大学でインタビュー調査。姫野くんに、いろいろな質問に答えてもらった。印象的だったのは、辞令交付の1時間30分後には、160名の学生を前に教壇に立っていた、という話。マイクをもつ手がふるえ、その震えた手を見て、さらに緊張したとのこと。

 インタビュー終了後は、秋田市内の焼鳥屋で一杯。焼酎お湯割りで酔っぱらったあと、近くのバーヘ。ホウジンカのこと、研究のこと、教員養成系大学のこと、いろいろと話した、楽しかった。

 姫野くんといえば、阪大時代、いつもパーカー&ジーンズを着ていたイメージがあるのだけれども、今回あったら、カジュアルなスーツにワイシャツだった。大学の先生であった。

 忙しい中、時間をつくってくれた姫野くんに、この場を借りて再び感謝。


2003/12/18 カーネギー財団 飯吉透先生 特別レクチャー

 先日、カーネギー財団の飯吉先生の特別レクチャーが行われた。下記がそのレクチャーメモ。あくまで自分のためにとったものなので、わかりにくいかもしれないですが、お許しを。当日の講演は、「教師が教育実践を改善していく際のプロセスを、どのように人に伝えるのか」という話でした。分野としては、教師教育系でしょうか。

 レクチャー終了後は、山内さん、堀田先生、飯吉先生、森下君、宇治橋さん、僕、不思議ネットワークスの五藤さんとで、近くのイタリアンレストランでお食事。

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■カーネギー財団
 □1905年設立
 □http://www.carnegiefoundation.org/
 □ETSなど、スピンオフした企業も多い


■Knowledge Media Lab
 □http://www.carnegiefoundation.org/KML/
 □テクノロジーを利用して、教授実践の改善に関する研究を支援すること
  →必ずしもツールそのものをつくるわけではない


■Knowledge Media Labの仕事の概要
 □教授と学習に関する経験や知識を伝達可能にするためのコンセプトモデルをつくる
 ・上記の目的を達成するための実践コミュニティ(Community of Practice)
 ・教育の経験を「伝えること」「普及する」テクノロジーの模索


■Scholarship of Teaching and Learningとは何か?
 1. 教授実践を公開する
 2. Peer Reveiwを通して建設的な意見交換を行う
 3. 互いの実践を学びあう
 4. 個人・コミュニティとして教育実践改善に関する知識構築を行う

 →教授実践を改善していくコミュニティをどう支援するか、が問題
 →小学校、中学校、高校、大学の先生が常に教育実践を改善して欲しい
 
cf. 実践の種類と、そこで作られるコミュニティの特性
 ・Goodな実践 - Communal (共有的)
 ・Betterな実践 - Collaborative (協働的)
 ・Bestな実践 - Competitive (競争的的)

ex. ジョージルーカス教育財団
 ・教師(STAR Teacher)のベストプラクティスをカメラクルーが撮影する
 ・ドキュメンタリードラムとしてまとめる
  →Carnegieのスタイルとは違う


■CASTL(Carnegie Academy for the scholarship of Teaching and learning)
 □大学での授業改善プログラム
 □3方向から授業の改善をめざすフェローシッププログラム
  1. ボトムアップ - Prof.に予算と時間を与える
  2. トップダウン - 学長や副学長に働きかける
  3. ディシプリン - 各学問領域ごとにコミュニティをつくる


■教授者がつくるWebポートフォリオ、その見せ方のお話
 □教授者にWebサイトをつくってもらう、カーネギーの人たちはそれを手伝う
 □教授活動の改善の様子をどのように見せればよいのか?
  1. 教授活動のすべてを見せる
  2. 教授活動の一部を時系列に従って、その代表的シーンだけを見せる
  3. 教授者自身がつくったポートフォリオにBBSを実装し、小さなコミュニティとする
  4. CASTL Workshop
    CASTLフェローシップをもらった先生たちのコミュニティサイト

→しかし、このサポートの仕事はシンドイ
  →ツールで支援する
 →KEEP Tool Kitを開発した


■KEEP Toolkit
 □教師用のWeb版ナレッジマネジメント支援ツール
  ・電子ポートフォリオを教師がつくることができる
  ・実践の種類ごとにテンプレートがいくつか用意されている
   →教師は自分の実践にあったテンプレートを選んで、自分の電子ポートフォリオをつくる
   →レイアウトも編成することができる


■知識コミュニティの構築のための戦略
  □はやい!(簡単にパブリッシングできる)
  □やすい!(効率的にサポートを継続できるか)
  □うまい!(自分にとってのメリット)


■拡がるKMLパートナーネットワーク
  □American Association for Higher Education
  □Visible Knowledge Project
  □Faculty Innovations Profile Project
  □Open Source Portfolio Initiatives
  □Open Knowledge Initiative(OKI) & Open Course Ware(OCW)
   →現在は授業素材を公開しているだけ、コミュニティ機能はない
  □Hewlett Foundation
  □Global Information Communication Technology Education Program
  □MERLOT(California State Univ.)


■「教えを公開していく」ときの主な障壁
  □文化・制度的抵抗
  □時間的・経済的・知的・技術的制約
  □プライバシー・知的所有権
  □Give & Takeに立脚したコラボレーションとパートナーシップ
  □個人や組織のゴール・価値観・行動変容


■「Innovative Practice」と「優れた実践」は違う
  □「Innovative Practice」は先駆的で斬新であるが故に、誰にも歓迎されるわけではない。
  □Innovativeなものを誰にでも有効な「優れた実践」に高めることはできる。


■テクノロジーと教育の変革:3種の力
  1. Technology Push
  2. Demand Pull
  3. Vision drive


2003/12/17 近況

15日

 午前中病院。幕張にあるIBMを訪問。奥部長、倉知さん、竹村さんと様々な雑談。今後、よいカタチで互恵的な協力関係が築ければと思った。夕方、都内で「企業内教育本」執筆者会議。その後、浦嶋君、青山学院大学の松田さんと夕食。ディープな話題が楽しかった。

16日

 西森さん、山口管理部長とともに山梨へ。山梨大学にて1時間の講演。御題は、「変貌する大学とeラーニング」。講演には、山梨大学の先生方30名の他に、吉田学長、田丸事務局長などもご参加いただけた。講演終了後、山梨大学の今後の構想をお聞きした。午後5時、新宿到着。その後、北青山のTEPIAへ。飯吉先生の特別レクチャー。このことについては後日詳しくレポートする。カミサン発熱。

17日

 午前中、だめ押しの確認のため病院へ。異常なしとのこと。ホッとする一方で、自分もカラダのことを考えながら仕事をするべきだと痛感する。ともかく経過観察。午後、会議。夕方、NHK。解説委員の早川信夫さんの主催する勉強会でレクチャー。何名かのディレクターの方、報道局の記者の方などがいらっしゃった。勉強会修了後、東急デパート上のレストランでワインなど、帰宅12時。カミサン、はやくよくなれ。

 P-cube projectのインタビューのため、週末は秋田大学へ。久しぶりに同期の姫野くんに逢える、楽しみだ。


2003/12/16 メガスタディ

 教育研究者の中で、「今一番話題にのぼることが多い大学は?」と聞かれると、たぶん、ベスト3にはいるのは、金沢工業大学であろう。

 金沢工業大学
 http://www.kanazawa-it.ac.jp/

 徹底した自学自習スタイルへの転換、企業と連携したものづくり教育の「夢考房」の実践などで、非常に注目されることが多くなった。

 夢考房
 http://www.kanazawa-it.ac.jp/yumekobo/

 ところで、「ネットを利用した教育で、今、一番話題にのぼることが多いのは?」ときかれるとどうだろうか。

 おそらく、そのひとつに入るのは、韓国のオンライン予備校の話題だろう。韓国では、入学試験合格をめざす大手の塾が、オンライン教育市場に、ドドーンと進出し、非常に利益をあげている。

 その中でも一番有名なのは、「メガスタディ社」である。

 メガスタディ
 http://www.megastudy.net

 このサイト、韓国語で記載してあるので、かくいう僕も紹介すること心許ないのだが、要するに、日本でいえば代ゼミとか河合とかの塾が、開講されている講座をブロードバンド回線をつかって配信しているということになるだろうか。学習者は、ネットワークに接続されたコンピュータを使って、学習することになる。

 受験戦争が現在の日本の比ではないくらい厳しい韓国、それに加えて一般家庭にいきわたったブロードバンド回線・・・こうした事業が市場に受け入れられる素地が既にあったと言えるだろう。

 日本でもインターネットテレビ会議システムを使った家庭教師サービスなどが、最近、出現してきている。日本の教育産業がねらう次のサービスは何か?、目が離せない。

※来週はきっとこのページの更新ができないだろう。そういう理由から、来週公開する分の話題を、先に公開しちゃったが、これじゃ、もう日記とは言えないですね。でも、それでいいのです。


2004/12/15 八丈島料理「はっとり」

 今年の流行語は「毒まんじゅう」「マニフェスト」「なんでだろう」
 今年を一文字で表すと「虎」

 こんな具合に、このところ、「今年」を総括するようなニュースをよく聞く。

 そのような世の中の流れに便乗するわけではないが、僕も今年一年間でもっとも満足度の高かったお店を発表しようと思った。

 おいしさ、値段、料理の豊富さ、めずらしさ・・・などなどを鑑みて、今年、僕がもっともマンゾクしたお店は・・・八丈島料理「はっとり」、ここである。もちろん、人によって味の趣向は違うし、大枚はたけばいくらでもオイシイお店はあると思うけどね。手の届く値段で、おいしかったのは、やっぱりここかなぁ。

 八丈島料理 はっとり
 
 東京都渋谷区神宮前6-4-1 原宿八角館ビル4F
 TEL 03-5469-2211

 地図は下記をご覧下さい。
 http://www.sawasawa.co.jp/sanpo-j/000220/

 特に「あら大根煮」と「焼酎のあしたば茶割」は、感動しました、僕は。ボリュームも味もいうことなし。つきだしは毎日変わるんだろうけど、先日僕がいったときは、「いくら」が中くらいのお鉢にテンコモリになってきた。刺身盛り合わせは、とても新鮮。この値段で、東京でこの新鮮さはなかなかないと思います。

 小さなお店なので、予約はしていった方がいいと思います。場所は、原宿ラフォーレの斜め前、地下鉄千代田線「明治神宮前駅」の真ん前だから、すぐにわかると思うよ。


2004/12/14 ももひき

 2004年1月15日から9ヶ月間、僕は、米国ボストン、マサチューセッツ工科大学に客員研究員として滞在する予定である。先日、ボストンに住んでいる方から、今年のボストンの冬がめちゃくちゃ厳しいことを教えられた。

 「これはまずい、ただでさえ、自分は末端冷え性なのに」と思い、さっそく、「ももひき」を近くのユニクロに買いにいった。電車でユニクロに向かう道中、何度かアタマの中で「ももひき、ももひき」とつぶやいた。

 僕が10代のワカモノであったとき、いくら寒くても、そんなものを自分で買いに行こうとは思わなっただろうし、親がたとえ買ってきたとしても、決してはいていかなかっただろうな、と考えた。ももひき、ももひき、ももひき・・・語の響きがどこか恥ずかしかったけれど、背に腹はかえられん。

 ユニクロに「ももひき」はなかった。でも、「ももひき」ライクな「インナーパンツ」という肌着があったので、3枚購入した。

 あくまで「インナーパンツ」である。


2004/12/13 「社会人大学院の未来」セミナー

 来年、僕が企画責任者となって、「社会人大学院の未来」というセミナーをやることになりました。このセミナーは、NIMEの事業のひとつである「研修事業」のひとつに位置づきます。NIME側の責任者は、僕と田口さんと吉田先生です。

 ただ、今までの研修とは違って、このセミナーは、「主催:メディア教育開発センター、協力:リクルート」という体制で運営されることになりました。会場もNIMEではなく、東京や大阪の駅前で開催することになりました。

 日時は、2004年11月11日が東京新橋、2004年11月25日が大阪梅田です。いずれもリクルートさんの協力で、本社、支社ビルのホールを貸して頂ける予定です。

 セミナーでは、1)社会人大学院の現状と市場動向、2)社会人大学院の設置基準、3)各大学院の設置目的と設立プロセス、4)社会人大学院の運営ノウハウ等を扱います。講師には、大学院設置の実務担当者、大学教員の方々、高等教育の研究者、など多彩な方々をお招きする予定です。

 募集は各会場150名を予定しています。申し込みは、5月よりメディア教育開発センターのホームページからおこなえる予定です。

 ご興味のおありの方は、カレンダーやスケジュール帳に、このセミナーの予定を書き込んでいただければ幸いです。


2003/12/12 Educe Technologies Forum

 2003年12月10日、東京駅前の丸の内ビルディングで、教育工学会の若手研究者たちが中心になって立ち上げたNPO法人 Educe Technologies(エデュース・テクノロジーズ)のキックオフフォーラムが行われました。

 NPO法人 Educe Technologies
 http://www.educetech.org/

 この日は、予定人数をこえる方々がフォーラムに参加してくれました。師走のお忙しい中、お集まりいただいた方々には、この場を借りて感謝致します。ありがとうございました。

 以下、その様子です。

Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

これが丸ビルです。今回は、智材創造ラボの協力のもと、丸ビルの7Fにある「東京21cクラブ」という会員制クラブで、フォーラムを開催致しました。久松君、酒井君などは、早くから駆けつけ準備を手伝ってくれました。本当にありがとう。

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

山内さん(代表理事・東京大学)からEduce technologiesの説明

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

堀田先生も理事のお一人です。当日は浜松から駆けつけてくださいました。学校 - 研究者 - 企業をむすぶ、共同研究のあり方についてです。右は望月君。データマイニングについての発表。

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

第一のレクチャーが終わり、全員で自己紹介タイム。「わたしと教育のつながり」について1分間でスピーチ。その後、サンドイッチなどの軽食タイム!

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

会場の至る所では名刺交換がはじまりました。右は朝川さん。MITのパンゲアプロジェクトについて講演です。

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

この日、僕は「モバイルデバイスと学習」「企業の中の学びのデザイン」という、2つのショートプレゼンテーションをさせていただきました。後者ははじめて人に語った内容だったので、ドキドキでしたが、楽しかった。

  
Educe Technologies Forum @ 丸ビル
   
  

   

最後に参加者から感想やコメントが述べられます。NHKエデュケーショナルの宇治橋さんは、今日の会についてまとめてくれました。

  

2003/12/10 リッツカールトン大阪

 先日といっても、ちょっと前の話になるが、大阪に出張に行った際、前迫先生、松河君、重田くん、久保川くんと、飲みにいきました。1次会は焼酎、2次会はバーだね、ということになり、向かったのがリッツカールトン大阪5Fの「ザ・バー」。

 リッツカールトン大阪
 http://www.ritz-carlton.co.jp/

 いやー、このホテルはすごいねー。

 外は近代的な建物なんだけど、中はホンモノの洋館みたいで、なんだかタイムスリップしたような感覚になるのさ。暖炉はあるわ、シャンデリアはあるわ、絵はそこらじゅうに飾ってあるわで、一瞬、ここが大阪のど真ん中だとは思えなくなってしまうほど。

 バーではさんざん飲んで、いつものごとく酔っぱらったが、とっても印象的だったのは、スナックなんだよね。オリーブをつけて食べるブレッド、これよ。お酒もおいしかったけど、今回はこれが一番記憶に残っています。

 小さくこんがりと焼いたフランスパンに、ブルーチーズとか3種類くらいある「つけあわせ」を自分でのっけるわけさ。それで、そのあとで、その「つけあわせ」にあったエキストラ・バージン・オリーブオイルをかけて食べるんだね。これがアホほどうまかった。たぶん高カロリーだけど、全く気にせずアホほど食べてしまいました。残念ながら、なんていう名前かは忘れてしまったけれど。また行きたいものですね。

 ところで、今週の日経ビジネスでは、リッツ大阪がベストホテルに選ばれていましたね。その秘密は、「設備の魅力を維持する仕組み」にあるとのことでした。僕らのコトバで言うならば、「カイゼン」と「ヒョウカ」ということになるのかね。

 たとえば、リッツでは3ヶ月かけて、エンジニア、ペインター、ハウスキーパーが3人1組で全客室を回って、部屋をベストコンディションに整え、これを1年に4回行うんだそうです。

 顧客の満足度調査に関しては、外部の調査会社に委託して、毎月行っているんだって。従業員の満足度にも配慮していて、年に1度調査しているとのことでした。言うのは簡単だけど、調査は手間がかかるから、なかなかできないよねー。

 あと、ホテル内で何か繰り返し問題が発生したときは、QIT(Quality Improvement Team)というグループがつくられて、5名程度でノウハウをつくるんだって。これはまさにCommunity of Practiceだよねぇ。

 いやー、スゴイ。徹底した評価とカイゼン、そうやって質を維持(sustain)しているのですね。


2003/12/09 密かに

 12月7日午後5時 NHK教育「ハッチポッチステーション」に密かに出没。時間はわずか数秒くらい。アイルトン=セナのF1マシンが目の前を通り過ぎるよりもすばやいカメラワークだった。

 収録はかなり前だったけど、今日が放映日だった。この番組は前からかなり好きで、ずっと見てました。


2003/12/08 小心者

 僕は「病気」に弱い。

 否、正確に言うならば、「病気という予感に弱い」ということになるだろうか。その「弱さ」といったら、思わず、自分で自分の病気を創作してしまうくらいの勢いだ。いつもは気づかれることのない、元来の「小心さ」が、そういう瞬間に露呈する。

 今日、朝、病院へ行った。明日も、仕事を早引けして検査に行くことになった。たいしたことはないのかもしれないが、「小心者くらいが丁度よい」と自分に言い聞かせている。何事もなければよいのだが。


2003/12/07 一瞬

 プロジェクトマネジメントを行うとき、大切だなと思うこと、それは「細かい一瞬一瞬を逃さない」ということである。

 「今、ここ!」という瞬間に全員に情報を公開しなければ、メンバーの士気が落ちてしまうときがある。「そこだ!」と思う瞬間に指示をしたり、ディスカッションを促さなければ、バラバラになってしまう一瞬がある。どんな理由があろうとも、絶対にその一瞬だけは見逃してはならないと思う。これまで、何度も何度も失敗を積み重ねてきたが、少しだけそれに心がけることができるようになってきた。

  「共同すること」は生半可なことじゃない。 「何とかなるでしょ」で「何とかなる」わけなんてない。たとえ一度は「何とかなって」も、それは偶然であるか、あるいは誰かが骨をおっていたからだ。

 うまく言語化できないのだが、僕には「共同すること」と、その効果に対する畏れみたいなものがある。それには、自分の研究がそういう分野だから、というのもあるのだろう。

  なめちゃいけない。成否は、ディテールにこそ宿っている。


2003/12/06 The Last Samurai

 封切りされたばかりの映画「The Last Samurai」を見に行った。ネタバレになるから、あんまり言わないけれど、この映画、ハリウッドが日本を題材にしてつくった映画の中ではピカイチだと思う。ひとつひとつのカットにとてもこだわっている様子がよくわかった。

 ひとつだけ残念だったのは、最後のシーンである。できれば、合戦シーンが終わり、明治政府側の兵が黙祷をささげるところで終わって欲しかった。

 畢竟、明治維新の時代、侍側につくことも、新政府側につくことも、どちらも矛盾をかかえることであった。廃藩置県、地租改正、廃刀令、特権を奪われる侍たちが、最期を予感しつつ戦うことも矛盾。そうした侍たちの気持ちを心のどこかではわかっていつつも、迫り来る外敵に対抗するためには、近代化を進めざるをえなかったことも事実。

 合戦シーンの終わりは、双方の矛盾をよく描き出していたように思う。もちろん、これは日本人だけかもしれないが、あそこで終われば、余韻が最高に残っただろうに。


2003/12/05 飯吉先生の特別レクチャー

 12月16日 青山のTEPIAという会場で、Educe Technologiesが主催となって、イベントを開催することになりました。カーネギー財団知識メディア研究所所長の飯吉透先生が、「教授と学習のテクノロジー支援」に関する特別レクチャーを行って頂けます。

 下記が募集要項です。ふるってご参加頂ければ幸いです。

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Educe Technologies Special Forum

カーネギー財団 知識メディア研究所所長 飯吉透先生
特別レクチャー

 「教授と学習のテクノロジー支援:戦略、成功、そして挑戦」

2003年12月16日 TEPIA@港区北青山

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 このたび、Educe Technologiesではカーネギー財団 知識メディア
研究所所長 飯吉透先生をお迎えし、研究会を開催することになりま
した。

 飯吉先生は、アメリカで開発されたハイパーメディア教材、マルチ
メディア教材に造形が深く、NHKスペシャル「マルチメディア人体」
のCD-ROM教材の開発等にも従事なさいました。

 飯吉透先生 プロフィール
 http://www.carnegiefoundation.org/aboutus/staff/iiyoshi.htm

 知識メディア研究所は、メディアを活用して「教育」や「学習」に
変革をもたらすことをミッションとした「教育シンクタンク」です。

 カーネギー財団 知識メディア研究所
 http://www.carnegiefoundation.org/kml/

 本レクチャーでは、知識メディア研究所が行っているテクノロジー
支援に関する様々な研究・開発・実践を紹介します。

 すぐれた教授活動、イノベィティブな学習をどのように普及させるか、
教師をどのように支援したらよいのか、など様々な話題が提供されること
と思います。

 さらに、現在アメリカで進められている他の主要プロジェクトを紹介
した上で、それらがどのようなインパクトを与えるかを考察します。

 最後に、「開かれた実践コミュニティを構築する」という観点から、
その可能性や課題について言及します。

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※NPO法人 Educe Technologies(エデュース・テクノロジーズ)は、
情報技術を用いた学習環境デザインについて研究開発・普及啓発を
行うために設立された非営利団体です。

 NPO法人 Educe Technologies(エデュース・テクノロジーズ)
 http://www.educetech.org/

 

【開催日時】==================================================

 2003年12月16日(火曜日)
 18:30 - 20:30


【場所】======================================================

 TEPIA(財団法人 機械産業記念事業財団)
 〒107-0061東京都港区北青山2丁目8番44号
 [TEL]03−5474−6111(代表)
 [FAX]03−5474−6112

 地図
 http://www.tepia.or.jp/flash/intro/map.html


【参加費】===================================================

 一般:1000円

 ※参加費は当日会場にてお納めください。


【参加申し込みフォーム】======================================

 2003年12月14日までに下記の参加フォームを
 executive@educetech.orgまでお送りください。

 なお、会場の収容人数を超えた場合、お申し込みをお断り
 せざるを得ない場合があります。ご了承ください。


 〆ここから-----------------------------------------------

 カーネギー財団 飯吉透先生 特別レクチャー
 参加申し込みフォーム

 メールご送付先:executive@educetech.org

 氏名:(                 )
 氏名(カタカナ):(                )
 貴社名:(                )
 所属部署:(                )
 メールアドレス:(               )

 今後、上記メールアドレスにEduce Technologiesからの
 お知らせをお送りしてもよろしいでしょうか

                   はい / いいえ

 -------------------------------------------------ここまで〆


【お問い合わせ】==============================================

 当日のお問い合わせ先は下記までお願い致します。

 NPO法人 Educe Technologies 副代表理事
 中原 淳
 E-mail : nakahara@educetech.org

===========================================================


2003/12/04 SFC open research forum

 先日、六本木ヒルズで行われた慶応大学SFCのOpen research forumに行ってみた。目的は、村井先生と国領先生の「Auto ID」に関するセミナーに参加するためだ。

 感想としては、「RFIDを用いた個体識別」に技術的な可能性を感じる反面、いくつかの疑問を感じた。その最たるものは、この技術を用いた際の<成功の光景>がなかなか見えてこないことだった。確かに食品のトレーサビリティなどの試行実験はなされているものの、それが成功したときにもたらされるメリットは、従来の技術から多大なるコストをかけてスイッチングするに値するか、どうかは「うーむ・・・」と思った。

 とはいえ、既述したとおり可能性はとっても感じた。分散学習環境にこれを応用した場合、開発コンセプトとなるいくつかのメタファも思いついた。

 Open research forumでは、学生さんの研究のデモも見ることができる。来年も楽しみにしている。


2003/12/02 DEE研究会「大学教育を再デザインする」

 日本認知科学会の研究会「−社会的ネットワーク構築としてのデザイン実践−」が、武蔵工業大学で開催され、僕は指定討論者として、参加させていただいた。

 今回の研究会でなされた発表は、そのほとんどが「大学教育を大学外に拡張し、他のコミュニティとリンクをつけることで、大学内部の教育を変革しよう」というものであった。武蔵工業大学と金沢工業大学の事例が扱われた。

 指定討論者として、僕が述べたかったことは「実践の持続性」についてである。社会的ネットワークの中に、大学教育を位置づけ、教育の質を変革をねらう局所的な出来事を組織することは可能である。しかし、それを持続していくためには、その関係が相互に貢献可能であるように、各種の利害を調整し、交渉をする必要がある。アタリマエのことだが、強く思う。

 僕のプレゼンテーションについて、何人かの方々から質問があったのは、ツールとコミュニティ・オブ・プラクティスの関係であった。

 僕のコトバが足りなかったのか、プレゼンテーションの中で、exCampusというツールを中心に紹介したことで、「ツールがあればプラクティスが生まれるのか?」という誤解を与えてしまったのかもしれない。

 が、僕の考えは「ツール最初にありき」でも、「プラクティス最初にありき」でもない。それらは不可分に結びついている。理念として、或いは、心情として、「プラクティスがツールに先行しなければならない」というのはよくわかるが、現実はそうではにように思う。プラクティスの中でツールが修正されたり、逆にツールがある故に新しいプラクティスが生まれたりするものだ。

 よい勉強の機会を頂いた。


2003/12/01 東京あるき

 ザ・東京あるき。今回は「霞ヶ関 - 国会議事堂前 - 赤坂 - 乃木坂 - 広尾」のあるきツアー。

 まず、地下鉄霞ヶ関駅をでると、経済産業研究所のあるビルを右手に見る。ここは、去年、三宅先生が「学習科学」に関して連続でレクチャーをしてくれたときに使わせてもらった場所だ。こちらで研究員をなさっている菅谷さんのご厚意で、このレクチャーが実現した。大変お世話になった。

東京あるき
   
  

   

左の写真は、経済産業研究所。右は警視庁だよな・・・。踊る大捜査線でみたような。

  

 経済産業研究所をこえ、国会議事堂に至る坂道をテクテクとあるくと、右の方には警視庁を発見。「踊る大捜査線」とかの刑事物で空撮カットがよく使われるビルだ。

 経済産業研究所
 http://www.rieti.go.jp/jp/

 警視庁
 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/

 踊る大捜査線
 http://www.odoru.com/main.html

 ここらあたりから、だんだんと警察官の数が増えてくる。国会議事堂を斜めに見ながら、そこを抜けると、首相官邸に突き当たる。ここらあたりにくると、ここあそこに警察官がたっている。50メートルおきに警察官を見る。警察車両もとても多い。なんだか悪いことをしていないのに、悪いことをしてしまったような気になってしまう。ここで変な挙動をすると、すぐにお縄だろう。

東京あるき
   
  

   

左は首相官邸。右はラーメン屋です。このあたりは本当に警察官が多い。

  

 国会議事堂案内
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/guide/annai/10.htm
 
 首相官邸
 http://www.kantei.go.jp/

 首相官邸をつっきることはできないので、いったん六本木通りへ。くるっと首相官邸をまわりこむ。近くには、山王日枝神社がある。その通りの反対側にあるのは、赤坂ラーメン。ここは、芸能人が頻繁に訪れるラーメン屋らしい。こないだテレビでやっていた。

東京あるき
   
  

   

三王日枝神社です。右の写真はTBS。

  

 左にまがる、少し坂道。右手にも左手にも、だんだんと、飲み屋が増えていく。ここで飲んで、さっきのラーメン屋でシメルのだろう。

 坂を登り切ると、赤坂ACTシアター。先日までビーシャ・ビーシャという催し物をやっていた。実は、僕はこれに行ったんだけどね。前衛的なクラブみたいでおもしろかったけど、もうちょっと工夫した演出があってもよいかな、と思った。ビーシャ・ビーシャは9月で終焉。で、今はシアターは改装中。

 ビーシャ・ビーシャ
 http://www.ints.co.jp/villavilla.htm

 赤坂ACTシアターの横は、TBS。TBSをこえて乃木神社を超えると、そこは高級住宅街。帰ってきてこのへんの家賃とか調べたらさ、40万以上とか平気で書いてあってびっくり。

東京あるき
   
  

   

高そうなマンションたち。僕の半年分の家賃で、一ヶ月すめるだろう。

  

 で、米軍基地を抜け、六本木通りへ。六本木通りの交差点には、ブッシュ大統領と小泉首相がおしのびで食事にきたという「権八」が。その近くには、お初天神の通りにも支店がある「六根」を見つける。ここは、カミサンと昔おでんをたべにいったことがある。

東京あるき
   
  

   

権ハチです。右はナショナルマーケット、ようやくゴールだ。

  

 まっすぐ歩いて広尾へ。ここらあたりから、急激に高級レストランが増えていく。ある店の店先にあったメニューリストでは、ではチャーハンが5000円、かに玉が2500円とのこと。ふざけんな。

 なんだか素敵なバーを見つける。「其の弐」は打ちっ放しの壁の間から、中に滝が流れているのが見えた。

 其の弐
 http://homepage2.nifty.com/natural2/sononi.htm

 こんどいってみたい。

 そんなこんなで、ようやく広尾のナショナルマーケットについた。近くのエノテカでワインをかって、おうちへ。今日は牡蠣鍋にしよう。ワインはカリフォルニアの白ワインMontes Chardonnayを買った。

 3時間のウォーキング、帰宅時にはいい感じの疲労感。それ以上に、いろいろな発見がある。


 NAKAHARA,Jun
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