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sunset at promised
place
2002/11/01 近況 10月、ボストンから帰国後の生活は、息つく間もなく忙しかった。 秋はプロポーザルシーズン。 いくつかと書いたのは理由があって、何がいつ起こったかをハッキリ対応づけて思い出せない。Outlookのスケジューラを見ながら、ハテと考えれば思い出すかもしれないけれど。「一夏の思い出」みたいに、「いくつかサンたち」が通り過ぎていった。 これから年末までは、プレゼンシーズンだ。一週間毎に何らかのかたちでプレゼンテーションがある。 教育工学会、NIMEの一般公開、京都大学高等教育教授システム開発センターの講演、某シンクタンク、静岡大学、ICCE2002.... こんなにパワーポイントつくれるだろうか。ちなみに、プレゼンの作成は、全部これからだ・・・。 2002/11/01-04 学会 11月1日夜から日本教育工学会に参加のため、長岡にきている。今年から教育工学会は3日間の開催だ。全部で400件近い発表がなされるらしい。数年前に比べて、だんだんと学会が大きくなってきているのかな、と思う。 11月2日、大会初日。主に一般研究の発表だった。ここで詳しく述べることは避けるが、参考になる発表があった。なるほど、ネタ帳に書き込む。僕だったらこうやるかな・・・素直に嬉しい。 夜は、鈴木さん@滋賀大学、永田さん@兵庫教育大学と「打ち合わせ兼お食事」にいく。オーダーストップまで話し込んだ。来年は、どのようなリサーチクエスチョンをもって研究を進めるか。 店の終了後、鈴木さん、永田さんと分かれて、僕は松河くん@阪大に電話をして、今井さん@阪大、加藤さん@金沢大とバーへ。また飲む。 11月3日、この日は学会の懇親会があった。懇親会では、学部時代の指導教官の佐伯先生にお逢いした。懇親会では、「越の寒梅」がサーブされていた。佐伯先生と「越の寒梅」をしこたま飲む。飲み過ぎた・・・。 何も食べることができず、アタマが「越の寒梅」化したまま、中原、飲み続ける。その後は、2日前から30名で予約していた居酒屋へ。同年代の人たちと一緒に、若手の飲み会開催! 若手の飲み会は、11大学の学生さんたちが集まる大宴会になった。おそらく、最大瞬間人数は、35名以上になったものと思われる。お隣で開催されていた水越先生の宴会にご参加いただいた先生方からも、カンパをいただいたり、ご参加いただいた。お騒がせして申し訳ございませんでした。なお、会の運営には、静岡大学情報学部、堀田研究室の皆さんにご協力いただいた。堀田研究室の学生さんたちがいなかったら、この宴会をマネージすることはできませんでした。皆さん、多数のご参加、ご協力、カンパ、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。 なお、いくらかお金が余っています。これに関しては、中原が管理しております。これは一部を除いて、来年分の若手の飲み会にまわすことにいたしました。来年もまた集まりましょう。
若手の飲み会、本当に楽しかった・・・。しかし、僕、異常なほど飲んでしまった。ここ数年間経験していなかった「イッキ」もやってしまった・・・中原2次会にて撃沈。最後は、堀田先生、木原先生につれられて、タクシーでホテルに戻りました、ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。 ホテルの部屋にはいってからは・・・・その夜、その次の日の午後8時まで、27年間経験したことのない過酷な時間が僕を襲いました。まさか・・・この年でネゲロとは・・・まさかこの年で。次の日の発表までには何とか回復しましたが・・・これは気をつけなければなりませぬ。 ともかく、若手の会にご参加いただいた皆様、また来年、日本教育工学会、岩手でお会いしましょう! 普段はあまり逢う機会がないけれど、若手同士がコラボレーションして、新しい学習の変革(Innovations in Learning)をつくっていったり、あるいは、既にあるステキな先行研究を一緒に学んでいく機会をもてたら、とてもオモシロイだろうな、と思います。また、若手同士だけでツルムのではなくて、世代をこえて、いろいろな世代の研究者の方々が対話できたり、知り合えるきっかけになったらユカイだな、と思います・・・・なんつって・・・記憶なくしたけど。 来年の会には、今回いらっしゃらなかった方も、是非、ご参加下さい。 2002/11/11 西さん 先日、NIMEの一般公開のパネルディスカッションで、話をする機会をえた。今回のプレゼンでは、iii onlineの立ち上げを行ったProject eX、そのサブプロジェクトのProject inHand、Project e-elearn、Project ECS、そしてこれらのプロジェクトの成果物の多くをオープンソース化するプロジェクトであるProject xGateついて、ごく簡単に話をした。 会場には今年からNIMEの客員教授でいらっしゃる西和彦さんがきていた。西さんといえば、潟Aスキーの創始者として有名な方だ。西さんは、パネルディスカッションが終わったあとで、「これらのプロジェクトはオモシロイ! 是非、どんどんと突き進んで欲しい。プロジェクトの成果を外にだすというオープンソースプロジェクトにも期待している。」というコメントをくれた。なぜかはわからないけれど、とっても嬉しかった。 西さんがパネルディスカッションの総括で述べたように、教育現場や他人のやっている教育や学習のあり方を<批評>することなら誰にでもできる。批評をこえて何らかのカタチを現場でつくりあげること、モノをつくりだすことは、非常に難しい。西さんは、自分自身が「モノヅクリ」に従事してきた者として、そのような総括を行っていた。 しかし、モノヅクリは多くの場合、個人で行われるものではない。今回僕が代表して話した各種のプロジェクトには、既に数十人の人がかかわっている。それらの人々が、プロジェクトに対して自らの専門性を持ち寄り、貢献し、同時に自らの問題関心を追求している。 コンピュータから離れられない日もあった。徹夜だって一度や二度じゃない。だけど、動きが止まることはなかった。その意味で、プロジェクトはCommunity of practiceそのものであった。
そんな言葉も何度か聞いた。でも、プロジェクトメンバーは実践と研究を何とかかんとか両立する方向で物事を進めてきた。それが成功しているのか、失敗したのかはわからないけれど、メンバーに分かちもたれていたスピリットは、どちらか片方だけを優先し何事もなく行うことではなかったように思う。 自分たちにコントローラブルな範囲で、たとえ規模は小さくともサクセスストーリーをひとつひとつ紡ぎ、カタチを与えたい。たとえ小さなカタチであろうとも、それが集まれば、大きなオブジェとなるかもしれない。 ともに描いたコンセプトにカタチを与え、新たなイノベーションをつくりだしたい。否、イノベーションという言葉が不適当ならば、「こんなのアリ?!」をつくりだしていきたい。「こんなのアリ?!」が重なれば、いつの日か、それは現実になる。
プロジェクトは今日も動き続ける。 2002/11/13 近況 ケータイで動くe-Learning促進ソフトウェアiTreeの評価実験が続いている。一時はどうなることか、と思ったが、最近は順調にアクセス数がのびている。木も、おそらく授業取得をやめた一人をのぞいては、スクスクスクとのびてきた。嬉しい。 10月から取り組み始めているオープンソース化プロジェクト「Project xGate」。仕様がだんだんときまり着々と進んでいる。事務処理や調整もガシガシと行う。メンバーの皆さんは非常に頑張ってくれているのに、サイトのアイデンティティを決めるところで僕がつまってしまった・・・。18日に全体会議。 社会人大学院本、脱稿間近。リクルートの渡辺さんに原稿のチェックをしてもらっている。来春の出版予定。20日に最終会議。そういえば、さっき渡辺さんに聞いたんだけど、社会人本の編集者の中嶋さんが編集にたずさわった「吉本ばなな」の新書が非常にオモシロイとか。みんな頑張っているんだな、僕も見習わなくては。 と思って、「オンライン大学のツクリカタ」本を企画を本格的にスタート。現在、プロポーザルを書いている。来週には、某出版社と交渉を開始。内容は、iii online立ち上げまでのプロセスと、実際にオンライン大学をつくるノウハウについて。ツールは、Project xGateの成果物から提供する予定。 嬉しい知らせあり。大阪大学大学院時代に皆で取り組んだProject Xeonの論文が資料採録の知らせ。この論文は、西森さんファーストオーサにて執筆。ゲームを活用した共同学習に関する論文。僕の方は、Project Scioの論文がやはり資料として採録。めでたい。 本日、某財団に来年の研究費申請。通るといいんだけど。もう少し、学習環境としてのケイタイにこだわってみたい。 そして人生は続く。 2002/11/15 電車とタクシー 先日、都内でタクシーにのった際、20分くらい時間があったので、ノートパソコン開いて仕事をしていたら、車酔いしてしまった・・・。ゲロはさすがにこなかったが、死にかけた。タクシーの運転手さんには迷惑をかけた、ごめん。 それにしても、不思議なのは電車でノートパソコンを開いて仕事をしていても、一度もそうなったことはない、ってことだ。僕はNIMEと自宅の通勤時間、ほぼ約1時間にわたってノートパソコンを開いている。でも、一度も酔ったことはない。電車もタクシーと同じくらい揺れるのに。 タクシーとノートパソコンは相性が悪いらしい。気をつけろ。 2002/11/19 さらば我が愛 覇王別姫 先日、カミサンが番組提案の参考にするとかで、「さらば我が愛 覇王別姫」のビデオを借りてきた。「覇王別姫」とは、京劇の中で最も有名な作品であるらしい。 この映画は、チャイニーズ・オペラと言われる京劇の役者たちが主人公。非常に辛く厳しい、ほとんどゴーモン状態の修業時代をへて、一人前の京劇俳優となった蝶衣と小樓。蝶衣は実は小樓に恋心をもっていて、かなわぬ恋に苦しむ。 政治とパトロンに左右されていた当時の京劇。 第二次世界大戦、文化大革命と時代が激しく変わりゆく中で、蝶衣と小樓も、生きていくために、政治的にも、人格的にも変容することを強制される。昨日までの善は、明日の悪になる。明日の悪は、数日後の善になる。 そんな彼らが舞う京劇は、美しくも儚く、どことなく悲しい。 2002/11/20 どういうコンセプトか? 先日、iii onlineのソースコードとノウハウをすべて公開することをめざす、Project xGateの全体会議があった。 プロジェクト全体のスケジュールは、非常に順調。ぞくぞくとコンテンツもできあがってきている。メンバー全員の協力のタマモノである。 しかし、開発するソフトの名前を、何にするかで意見がまとまらなかった。デザイナーの吉田さんをはじめとして、メンバーから、「大学がどのようにIT化を進め、どんな未来を学習者に保証するか」という根本的なコンセプトが不足しているからだ、という鋭い意見、指摘がよせられる。 確かにそうである。プロジェクトを統括している立場の人間として、非常に反省させられる。その後の飲み会では、メンバーでかなり飲み、議論した。
この問題は非常に大きい。僕らのようなペーペーでは、この問題を解決することはおろか、その糸口さえもつかめないほどの大問題である。 でも、そうもいっていられない。 なぜなら、僕らは批評家じゃない、モノやカタチをつくらなければならない。モノ、カタチをつくる人間は、たとえそれが浅はかな思考であるとわかっていても、こうしたアポリアに自分たちなりの答え=コンセプトをださなければならない。そして、それは決してブレてはならない。これがブレると、「あれもこれもデキマッセ症候群」に取り憑かれる。 先日、西森さん、望月さん、中原で久しぶりに議論をした。大学は今後どうなっていくのだろう。このトテツモナイ問題に、みんなでアタマをキューキュー言わせて考えた。 exCampusコンセプト、それが僕らの答えである。 もうブレちゃいけない。 2002/11/21 バリウム 先日、バリウム飲んだ。保健のおばちゃんには、「あなた、若いのにエライわねー、きょうびの若者は、バリウム検査やらないわよー」と言われた。 不摂生しているから不安になって検査を受けることにしたんだけど、そのことは言わなかった。「アナタ不健康だから、バリウム2倍飲んでね」とか言われたら、ナカハラ困惑。 でも、結局、バリウムを人の2倍飲んだ。あまりにマズくて、飲むのが遅いので、バリウムが流れてしまうらしく、バリウムバリバリ飲まされた。 例のごとく、下剤を飲んで「白ウンコ」になるわけだけど、その後も、なんだか腹がゴロゴロして、2日間にわたって具合が悪かった。 なんだか余計不健康になった気がした。 2002/11/24 そうだ、京都へ行こう 先日、京都大学で「バーチャル・ユニバーシティの実際 - iii onlineの事例」という講演を、山内さんと一緒に行った。 今回の講演では、バーチャル・ユニバーシティを立ち上げるまでのプロセスとシステム、今後の展開について僕が説明し、山内さんは、e-Learningコーディネータとしてどのような組織をつくり、運用体制を整えたかについて説明をした。 今回のお話を聞いてくれた人々からは、著作権の処理に関する問題、授業の公開ポリシーに関する問題などに、質問が集まった。 会の終了後は、京都大学 高等教育教授システム開発センターの田中先生、松下先生、溝上先生、神藤先生、京都外国語大学の村上先生とビア・ホールで飲んだ。 溝上さんとは、いろいろな場でお逢いすることも多くなっているのだけれども、、久しぶりにゆっくりお話しできて嬉しかった。 高等教育教授システム開発センターの諸先生方には大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。 2002/11/25 コンセプト 11月20日にミンナで話し合った結果を、exCampus、というコンセプトにまとめ、今日、プロジェクトの全員に説明した。 そのコンセプトがどういうコンセプトかこの場で説明するのは、ちょっと時間がかかるので、また今度。 ほんでもって、今日をもって、我々のプロジェクト名は、Project xGateからProject exCampusに変更された。開発するソフトウェアの名前、サイト名、exCampusと決定した。ついでに作業メーリングリストの名前もexCampusに変えた。CI(Corporate Identity)ではないが、こういうのがブレてはいけないのだ。 プロジェクトのコンセプトワークを進める一方で、来年度に自分がどのように研究を進めるべきか、を考える季節になってきた。 来年度からは、少し自分の研究スタイルを変えようと思っている。教育工学の研究は、五年一区切りともいう。これまでやってきたことをまとめる作業と、ボンヤリとは見えている新しいフィールドを開拓し、そこでの研究のフィージビリティをあげる作業に、来年は費やしたい。 とはいえ、具体的な方針、コンセプトはまだ決まっていない。 2002/11/28 論文賞と胃炎 嬉しいことと、悲しいことが1つずつあった。 まずは嬉しいこと。 本日、日本教育工学会から論文賞の賞状が贈られてきた。論文賞は、筆頭研究者だけでなく、共同研究者全員にも贈呈されるらしい。前からそのことは知っていたけど、実際、手にすると嬉しかった。 今回論文賞を受賞した研究・・・それは今から3年前、1999年10月25日、一通のメールからはじまった。
-----------------Project Proposal----------------- 「BASQUIAT(バスキア)」という研究プロジェクトを立ち上げますが、 興味のある方は、以下の文章をお読みになって、是非、ご参加ください。 ■研究概要 今、決まっているのは、以上のことだけです。と
□文献購読(文献未定:4冊ほど)
□デザイン・開発・評価をそれぞれきっちり 1. 合宿にでれる □このメーリングリスト上で、表明していただければ結構です。 1999年11月17日、初日の会議。メンバーが開発したいソフトウェアの仕様を持ち寄った。 これでどんな活動を支援するのか? しょっぱなから会議は紛糾した。 その研究はBASQUIATと呼ばれるようになった。当時僕らは絵描きの名前から、プロジェクト名、開発するソフトウェアのコードネームを決めていた。ストリートに生きたアーティスト、バスキア。プロジェクトの名前には、彼の名前が、いつものように理由なく選ばれた。 大変だったけれど、楽しかった。楽しかったけれど、苦労もした。苦労もしたけれど、やってよかった。 次に悲しいこと。 先日のバリバリバリウム検査の結果がでた。だいたいAだったけれど(肝臓はA!、デカシタ肝臓!)、胃が弱っているらしい。慢性胃炎だった。ちなみに西森さんは、2項目。ワタクシの勝ち! とはいえ、我が胃にヘリコバクターピロリ菌が住んでいると思うと、何だか悲しかった。大家としては、できれば出ていって欲しい。 ピロリ菌とは今晩腹をわって話し合おうと思う。わかってくれるはずだ。 |
NAKAHARA,Jun
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