The Long & Winding Road - 2002/01


Sunset@Biwa Lake


2002/01/01 あけおめ

 もう日記書くのやめちゃったの?

 ここ数日間、いろいろな場所に行って、そういうオコトバをいただくことが多々ありました。12月の後半は、非常にいろんなことが立て込んでいて、とても日記を書くヒマがなかっただけなんですが、こういうオコトバは非常に嬉しいモノです。苦節4年、全然苦しんでないけど、この日記、結構続いているね。

 ハッキリ断言しますが、日記は続けます、僕の人生にネタある限り。

 日々の生活があまりにもとるにたらない、人をムカムカさせるほど、凡庸なものになってしまったら、それはそれで書くことがないんだから、仕方ないけど。(こんなことを言って大丈夫か?やめるときがきたら、どうやって弁解するのだ?)

 と、とりあえずは、明けましておめでとうございます。あけおめ、あけおめ。ということで、次の日に続く。

 これが人生に偏在するネタなのか?


2002/01/02 ワイン三昧

 今年の正月はワインをしこたま飲んだ正月でした。1月1日には母方のおばあちゃんちにいって、イトコ・僕・カミサンの3人でほとんど6本分くらいのワインをあけました。飲み過ぎだ、いや、しかし。

あっさり飲まれたワイン達1
 

  

   
 何というワインかは、僕もかなり酔っぱらっていたので忘れちゃいましたが、「おまえ、これはおいしいんだぞ」とターチャンが何度も何度も言っていたことから類推するに、きっと高いんだろう。
  

あっさり飲まれたワイン達2
 

  

   
 実は、先ほどからワインの後ろに中原一家が勢揃いしている。右の写真、なぜかワインのかげで、鼻の下を延ばしているのは、母、優子。なんか飲んでいるのは妹ひとみ。左の写真の遠くで、心霊写真みたいになっているのは、父、敏。
  

 上の写真は、空瓶が片づけられる前になんとかデジカメにおさめたワイン達ですね。これらのワインは、イトコのターチャンのコレクションで、かなりの大盤振る舞いだったと思います。ごめん、ターチャン、でも、ありがとう。

 ターチャンは僕と9つ年が違っていて、北海道のある高校で先生をやっているのですが、幼い頃から僕を育ててくれた人で、実は密かに僕は彼の影響を多分にうけているところがあります、これはヒミツ。

 1月2日には、カミサンの実家にいって、これまた自ら3本のワインを持参し、速攻でみんなであけました。これまであまり好んでいなかった赤ワインなのですが、飲んでみると結構おいしかったし、かなり好評だったと思います。

 帰京の折りには、ヒマが少しあったので、心斎橋の高島屋にいって、ワインラベルを記録する専用紙を買ってきました。これでまた僕のコレクション対象が増えるでしょう。

あっさり食われたチーズ
 

  

   
 このようにシロカビが生えているが、気にせず、スプーンをさすと、なんと中はクリーミーなトロトロチーズがやってくる。右のようにじゃがいもなんかにつけて食べると、涙がでる。
  

 あっ、そうそうワインといえば、先日、楽天市場のワイン&チーズショップ「モアチエ」で注文した「モンドール」というチーズだけど、泣くほどうまかったので、ここで紹介。実は、このチーズ。ANAの機内誌「翼の王国」で見つけて、「おー、これ食ってみてーなー」と思って、結局注文してしまいました。是非、お試しあれ。


2002/01/03 ユキサオリ

 今年のお正月はカミサンと北海道の実家に帰りました。中原家の大晦日の過ごし方っていうのは、毎年同じで、午後5時頃に家族全員で神棚にお参りし、いつもより豪華な食事をしたあと、いつもより少しだけ豪華なオチャケを飲みつつ、紅白を見るといった感じです。

 紅白は2種類のゾーンにわけられています。ワカモノゾーンと演歌ゾーンです。ワカモノゾーンは、文字どおり、最近の若い人たちのポップな歌が聴けるところ。演歌ゾーンは、鳥羽一郎さんたちが活躍するところです。大変申し訳ないのですが、僕は前者に関しては、結構真剣に見ているけれど、後者に関しては、夢うつつなことがあります。

 ただ、この2つのゾーンにわけられないヒトタチもいるんです。それがユキサオリです。

 ユキサオリ、あなたは素晴らしい。僕はユキサオリさんが活躍した時代を知らないですが、それにしても、毎年彼女の童謡を聴くのを楽しみにしています。今年は、「花」でしたね。昨年は、確か「赤とんぼ」でした。心を打ちます。彼女の歌を聴くと、自分が日本人であることが、ハイライトされる。

 アタマに冠のせて、衣装を着ているんだか、背景に顔が埋もれているんだかわかんない歌手をだすくらいなら、ユキサオリを2度歌わせて欲しいと切に思います。きっと、そういう風に思っている人、多いと思うよ。


2002/01/07 七草粥

 今日の朝は、カミサンが七草粥を作ってくれた。七草っていうのは、セリとか、何とかかんとか、とにかく緑のクサなんだ。クサだべ、クサだべ。

 薬草っぽいお粥だったけど、そのお味はいかにも「カラダにいいんだぞー」と主張しているようで、なかなか好感が持てた。

 作り方は、以下にある。

 http://www.netlaputa.ne.jp/~miquette/cook/kayu.htm

 七草粥は1月7日に食べるものらしいが、きっと、ここだけのヒミツだけど、たぶん1月8日に食べても効果はかわらないんだろうから、正月飲み過ぎ食い過ぎで、ハラもたれ気味の人には、是非、オススメする。

 きっと、あなたもこの「クサたち」に魅了される。


2001/01/08 6月8日・9日はNIMEにGO!

 宣伝します。僕、同僚の田口さんと一緒に来年度、研修を1つオーガナイズすることになりました。知らない人もいるかもしれませんが、それもNIMEの仕事です。大学の先生向けに研修事業をやっています。

 で、まだ確実に詳細が決まっているわけではないのですが、6月8日・9日、NIMEで以下のような研修事業をやらせていただいたりしちゃおーかな、と思っています。

【1日目:6月8日】
 1.研修趣旨の説明
 2.変貌する授業:実践例
  ・学びの科学、認知科学を協調的に学ぶ:中京大学の事例(三宅なほみ先生)
  ・家庭科実習で使用する電子掲示板:兵庫教育大学の事例(永田智子先生)

【2日目:6月9日】
 1.一日目のまとめ
 2.変貌する授業:実践例
  ・WebKFを組み込んだ授業のデザイン:静岡大学の事例(大島純先生)
  ・対話を中核にした授業のデザイン:滋賀大学の事例(鈴木真理子先生)
  ・自己成長を目的とした場のデザイン:京都大学の事例(溝上慎一先生)
 3.変貌する大学:実践例
  ・東京大学 ? NIMEプロジェクト:東京大学の事例(山内祐平先生)
 4.まとめ

 この研修、我ながらオモシロなことになりそうだな、と思っています。せっかくやるんだからさ、自分が「聞いてみたいナー、受講してみたいなー」と思えるようなもの以外は、やりたくない。

 研修の目的は、「高等教育機関の大学教員を対象とし、Web等を用いてどのように学習環境をつくりだせばよいのかを講師とともに考察することを目的とする」ですので、上記の各先生方に講師をお願いさせていただきました。

 是非、お茶の間のお父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、お誘いあわせて、皆、来てねー。


2002/01/09 e大學

 この頃というか、数ヶ月前から、東京大学とNIMEジョイントプロジェクトっていうのを推進しています。

 「東京大学情報学環の一部の授業をネットで見られるようにする」「各大学の授業を見ることのできるポータルをつくる」ことを目的にシステムを設計・開発しているのですが、こうしたシステムを設計・開発して、本当に骨身にしみてわかったのは、逆説的ではありますが、そういうシステムだけで、大学はそうそうに変わらないんだろうなーってことです。

 単にストリーミングビデオを流すためのポータルをつくるだけじゃ、本当はダメなんです。

 カネのウゴキ、ヒトのウゴキ、コンテンツのウゴキ、すべてのウゴキをマネジメントできるシステムがなければダメだと思います。この場合のシステムとは、コンピュータ上のシステムのことだけじゃありません。それを支える組織や人間のスキームも含みます。もし、これができないと、せっかくの情報の連鎖が切れちゃうのですね。

 カネとかヒトのウゴキのマネジメントみたいのは、ロジスティクスの部分ですので、通常、eLearningですよーって、言われるときには、あまり人口に膾炙しません。でも、それ故に重要なのです。そしてでも、その連鎖を確保するのは、非常に難しいことでもあります。

 大学の事務系の情報インフラがアナログとデジタルがまざりあっているっていうのも理由のひとつでしょう。たとえデジタル化されていても、大学の会計システムや教務システムっていうのは、全然汎用性がないシステムが構築されていること、多いですね。制度的な問題もかなりあります。きっと、人事的な問題もあると思います。

 今はまだ研究開発レベルだから、そこまで射程にいれて設計・開発を行う必要もないし、余裕もないし、僕にはその能力もない、と割り切っています。ですが、きっとそういうことなのです。少しだけわかってきた気がしました、このプロジェクトをはじめて。


2002/01/10 あっちゃん

 今から1年か2年前だったと思うんだけど、あっちゃんと、ヒョンなきっかけで知り合いになってしまった。それからというもの、主にメール等でおつきあいが続いている。

 あっちゃんは今、2度目の関西学院大学4年生をやっていて、卒論執筆中。合間に、日記なんぞ書いていて、この日記というのが、結構オモシロかったりする。最近の日記に、ダカーポの編集者さんのネタがあるんだけど、これは涙といささかの笑いなしには読めない。

 http://axis.milkcafe.to/

 あっちゃんは、将来、Webのプロデュースなんかをしたいと思っているらしい。現在活躍しているWebのプロデューサ、企画屋っていうのは、そのほとんどが前に違う商売をやっている。僕の知る限りにおいて、元雑誌の編集者だったり、イベント屋さんだったり、広告の制作者だったりする。

 経験がモノをいう世界だ。マワリ道に見えるかもしれないが、自分が将来のキャリアパスをキチンと描いている限りにおいて、そいつはマワリ道なんかじゃない。

 これからだ、これからはじまるんだ、今はじまったばかりなんだ。


2002/01/11 バレエ「くるみ割り人形」

 何を隠そう、いやいや、隠す必要はゼンゼンないんだけど、先日、カミサンとレニングラード国立バレエの「くるみ割り人形」を見に有楽町の「東京国際フォーラム」に行った。

 バレエを見るのは、僕、はじめてだったんだけど、「くるみ割り人形」のあらすじを前もってWebで調べて読んでおいたのはよかった。これ、バレエだけ見てても絶対にわかりません。舞台では、踊りに注目せなアカンのだね。

 はじめてのバレエはどうだったと聞かれたら、「こむら返りにならずにつま先で立つのはスゴイ」とか「男の白タイツはモッコリするのでやめた方がいい」とか、そういうしょーもないことしか言えないんだけど、音楽もよかったし、愉しめました。

 次は是非「白鳥の湖」に行きたいね。


2002/01/12 いつの間にか

 いつの間にか大学って、一般家庭よりも遅い場所になっちゃったんだよなー

 最近、いろいろな大学の先生から上記のようなコトバを聞いた。何が「遅い」かっていうと、ネットワークの回線スピードのこと。

 かつて大学は、社会で一番ネットワークが速い場所だった。専用線が引いてあって、300Kとか400Kとかのスピードがでる場所なんか、大学くらいしかなかった。それに対して、一般の家庭は56Kのモデムか、よくて64KのISDN。企業なんかも、大企業は別だろうけど、普通の企業なんかはISDN2本を従業員100名が使用するなんてのもザラだった。

 ネットワーク?、僕は大学に行けばいいからねー

 と多くの大学人たちが優越感に浸っていたのもつかの間、状況はイッペンする。

 一般家庭には、8MBのADSLとかCATVとかがスゴイ勢いで普及している。100MBの早さを誇るFTTHもサーヴィスがとっくのまにはじまっている。企業だって、負けちゃいない。今じゃ、多くの企業が10MBクラスの専用線をひいている。

 それじゃあ、大学は?っていうと、恐ろしい状態になっている。確かに構内は100MBのイーサネットだったり、ギガビットとかATMだったりするが、外のネットワークとの接続が極端に遅い。ある国立大学では全学で20000人の学生がいるのに、外との接続は8MB。お昼には、メールのPOPがタイムアウトしてしまうくらいだという。ちなみに、もっとヒドイところもあって、上流の大学との接続が1.5MBっていうのもある。

 さらに輪をかけて最悪なのは、大学のネットワークっていうのは、本当によくとまる。週末金曜日から翌週月曜日までとめるなんてのは、結構ザラだったりする。ネットワークをとめるっていうのは、僕には信じられないんだけど、要するにお粗末な管理・運用体制なのだ。回線スピードが遅いだけじゃない。

 確かに回線スピードだけが重要なわけじゃない。月並みで凡庸すぎる物言いだから言いたくないけど、「何をやるか」ってことも重要だ。しかし、20000人を支えるインフラとして、僕のイエよりも遅い回線帯域しかもっていないっていうのは、いかがなものだろうか(我が家も去年の夏からは、8MBのADSLだ。そろそろ光ファイバーを引く予定!)。

 いつの間にか、の笑い話で済んでいるうちはいいけど。


2002/01/13 あの日の記憶

 先日帰省した折りに、戸棚にはいっていた数本のβテープを拝借してきた。NIMEにはダビングの施設がある。βテープを機械にかけてVHSにダビング・・・。

 脇のテレビモニタには、子どもだった僕や妹、まだ40になるかならないかの未だ若い父や母、そしていつも一緒に遊んでくれた祖母が、そのままの姿で生きている、今から15年以上の「今」が、映し出された。

 解像度は悪く、所々画像が乱れ、音もかすかに飛んでいる。色あせた映像だけど、それが刺激となり、呼び水となって、あの日の家族の記憶は、今も彩り豊かに心によみがえる。

 クルマがくるよ、飛び出しちゃイケないったら。


2002/01/14 踊るテキスト

 おめー、ネタにするのが古いんだってーの、とどつかれそうだが、NIMEのネットランナーN氏によると、テキストサイトってのが、どうも流行っているらしい。

 http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/

 要するに、テキストが主要なコンテンツになっているサイトっていうのかな。コンテンツというのは、どこかコマーシャリズムな香りがするので、やめようか。

 要するに、テキストで自己主張!、テキストで日記!、テキストで作品とか、そういうサイトのことなんだろう。原点に返れ!って感じなんだろうか。踊るテキスト、アスキーアート。

 それにしても、ネットランナー某氏は、ネットのマニア情報なら何でも知っている。ジンジャーだろうが、2chの吉野屋ネタだろうが、何でもだ。いつ、そんな時間があるんだろう。僕の尊敬するスゴイ人だ。


2002/01/15 ワークショップ

 ちょっと前の本になりますが、といっても、丁度一年前かな、岩波新書で「ワークショップ」という本がでて、僕の研究領域の人には、ちょっとした話題になっちゃいました。

 中野民夫(2001) ワークショップ. 岩波新書, 東京
 http://www.kyobun.co.jp/kankyou/workshop/tatuzin/01.html

 ワークショップっていうのは「参加者自らが主体的に参加し、頭だけでなく全身で体験し、そして参加者同士が相互作用の中で学びを深めあう場」みたいなもので、「参加体験型のグループ学習」って訳されることが多いようですね。

 今まではキチンとした定義がなくって曖昧だったものだから、ワークショップって聞くと、顔をしかめるオジサンたちもおおくって、なんか宗教とかと勘違いしちゃう人も中にはいました。でも、この本のおかげで、ようやく市民権を得ましたよね、論文とかにもガシガシと引用されるようになるのではないでしょうか、ワークショップ。

 そういえば、先日、CAMPの森さんから、CAMPの施設紹介&ワークショップ紹介のビデオ届きました。わざわざご送付いただきありがとうございました。是非、一度訪問させていただければ、と思ってます、近いウチに、ていうか、今年度中に是非行きたいなぁ。


2002/01/18 社会人を対象にした大学のココロミ

※これはUniversity for Allに本日エッセイとして書き下ろしたものです。とりあえず、かなり疲れたので日記をあらたにかく元気がありません。よって、ここに転載させてください。

 ここ数日間、僕の右目はケイレンしています。ピクピクとさ、アンタ。ピクピクって、生き物飼ってるのかと思った。エサあげな。

 ケイレンはこのところ締め切り間近の論文を書いていたせいですね。昔は少しくらい無理をしても、こんなことはなかったのに。やはりお年を召してしまったのでしょうか、僕は。

 ところで、いきなり話が飛びますが、今日の話題は、「大学における社会人の学習」です。その一端をご紹介することが今日の目的です。

 「大学における社会人の学習」って何だかキャッチーじゃないですね。

 キャッチーに言うのだったら、生涯学習(Life long education)といってもよいし、成人教育(Adult Education)って言ってもよいです。リカレント教育(Recurrent education)でもいいです、あるいは、継続教育(Continuing Education)ってのもアリだと思います。

 要するに名前なんかどうでもいいんです。僕が言いたいことは、一度、社会にでて社会人になった人が学ぶ、そのことと大学が、ステキな関係を取り結べればよいなと思うわけです。で、そのことは、最近、いろいろと取り組まれているのですね。それを紹介しようという話です。

 社会人の学習について、大学が行っている、あるいは行おうとしているココロミには、大きく分けて4つくらいあります。

 まず第一のココロミが、社会人入試ってヤツですよね。これは社会人を対象とした入試をキチンと枠を設けた上でやろう、という話です。

 社会人入試っていうのは、学部も大学院もあるわけですが、特に最近ウゴキが激しいのは大学院です。それもITとかマネジメントとか、そういう「すぐにお役立ちですよー、実学バリバリですよー」みたいな研究科がボコボコとできているんですね。

 社会人は、忙しいんです、かつ、18歳のワカモノみたいに合コン豪遊ツアーをやったりとかできないわけです。夢見る少女じゃいられない。

 社会人は、自分の今までの経験を整理したり、拡張するような教育サーヴィスを求めています。抽象的なことよりは、すぐに役立つ(と思われる)技量や知識を求めます。そして、そのためにだったら、お金をかけることをいといません。

 そういうヒトタチをターゲットにして、社会人大学院生の獲得競争が激化しているわけですね。

早稲田大学 アジア太平洋研究科・国際情報通信研究科
http://www.wiaps.waseda.ac.jp/gsaps/jp/
http://www.giti.waseda.ac.jp/GITS/index.html.ja

法政大学大学院 ITプロフェッショナルコース
http://www.itpc2000.org/

青山学院大学 専門大学院「GSIM」
http://www.gsim.aoyama.ac.jp/jp/default.asp

日本大学大学院 グローバルビジネス研究科
http://www.gsb.nihon-u.ac.jp/jp/index.htm

産能大学大学院
http://www.mi.sanno.ac.jp/in/

 上記はすべて私立ですよね。やはり一番最初に動き出したのは、経営がかかっている私立大学なのです。

 もちろん、国立大学だって負けてはいません。

 経営学の重鎮たちがいる一橋大学は、こんな研究科を立ち上げています。キャンパスは大手町です。

 入学資格は、大学卒で実務経験があることですね。一流企業のサラリーマンさんをターゲットにした研究科で、2年間でMBAがとれちゃいます。

一橋大学 国際企業戦略研究科
http://www.ics.hit-u.ac.jp/jp/

 海外からだって、いろいろな大学院教育プログラムがはいってきていますよ。

マギル大学大学院 MBA ジャパンプログラム
http://www.mcgillmbajapan.com/

 グローバル化というのでしょうか。かつて「日本には言語のカベがあるので海外の大学が攻めてくることはない」なんていうことがまことしやかに言われていたわけですが、最近はそうでもないです。金融の世界みたいに、ビックバンとは行かないけれど、確実に海外の大学の教育サービスが増えているのは事実です。

 以上、社会人を対象にした大学院でした。まぁ、そうは言っても、大学院入学っていうのは、大変ですね。

 お金もかかるし、時間はない。勉強は夜にやらなければならない。それも通常2年間で30単位ですから、その労力たるやスゴイものがあります。で、そういう人にうってつけなのが、次のココロミです。

 これが第二のココロミになるわけですが、エクステンションというヤツです。要するに、短期間講座という感じでしょうか。

 海外のデカイ大学になると、この手のエクステンションは必ず持っていますね。有名なのは、カリフォルニア大学のUCLAエクステンションとかUCBエクステンションです。これはネットを用いた授業も行っています。

早稲田大学エクステンションセンター
http://www.waseda.ac.jp/extension/index-j.html

慶應大学丸の内シティキャンパス
http://www.keiomcc.com/

 往年のライバル、早稲田と慶應ですね。

 この二つの大学の提供しているエクステンションは、ゼンゼン性格が違いますが、とりあえず、大学内あるいはその付近で生まれたコンテンツ、あるいは外部の人と大学がコーディネーションして生み出したコンテンツを短期間のうちに社会人に対して提供していますね。

 今後はこうしたエクステンションも、ネットワークにのせられていくのでしょうね。

早稲田ラーニングスクエア株式会社
http://www.wls.co.jp/

 早稲田ラーニングスクエアでは、そうした事業も行っているようです。

 話は変わりますが、最近盛んになっていますね、都市の再開発。この再開発のウゴキに呼応して、都市のターミナル駅の高層ビルの中、比較的交通の便のよいところにエクステンションセンターをもったりするウゴキが流行しています。東京都立大学の事例なんかがこれにあたります。

 次に第三のココロミとして、複数の大学がアライアンスをくんでエクステンション的なコンテンツをだしていくっていうのもあり得る話です。コンテンツ・アグリゲーション・アライアンスというやつです。

 例えば、このキャンパスプラザ京都というのは、オモシロクって、大学都市京都の大学がアライアンスを結んで、授業をだしましょーというプロジェクトですね。京都駅前にビルがあるらしいですね、そこで授業を見ることができるそうです。

キャンパスプラザ京都
http://www.consortium.or.jp/

 この一年間にこれに類するようなプロジェクト、僕はいくつか聞きました。やはり大学間のアライアンスっていうのはスゴクムズカシイみたいですが、東京都の西の方とかね、大学が密集している地域というのは、こうしたことができる素地があります。

 次に第四のココロミになりますが、それがバーチャルユニバーシティです。もうなんかテアカにまみれてるコトバですね。僕は、自分のeXtended Universityっていうコトバを自分で勝手につくって、好んでいたりするのですが、要するにコンピュータネットワークを使って大学の教育サービスを提供しましょーっていう話ですね。

 バーチャルっていうけど、ネットワークの世界っていうのは、もはや僕らにとってはリアルなんです。だから、なんか違和感があるので、eXtended Universityです。

 まぁ、コトバはどうでもいいです。バーチャルユニバーシティは、前に

変貌:高等教育の未来
http://www.nakahara-lab.net/doctoressay11.html

 というコンテンツで述べましたので、そちらも、もしお暇で興味がありましたら、ご覧になってください。

 日本では、こんな事例が有名です。

青山学院大学 AMLプロジェクト
http://www.agub.aoyama.ac.jp/aml2/top.shtml

慶應大学 インターネット学科
http://www.soi.wide.ad.jp/contents.html

 これはいずれも私立大学が主導しているプロジェクトですね。単位認定も行われているようです。国立大学も負けてはいませんね。

信州大学IT大学院
http://cai.cs.shinshu-u.ac.jp/sugsi/

信州大学IT大学
http://www.int-univ.com/SUSI/

 信州大学大学院が今度インターネット大学院をはじめることになりました。平成14年度からの学生募集になります。あと、僕がかかわっているプロジェクトもあります。その他にもいくつか話は聞いていますので、この数年で動き始めるのではないでしょうか。

 以上、駆け足になりましたが、社会人の学習について、大学が行っている、あるいは行おうとしている4つのココロミについて説明してきました。

 ここで紹介した以外にも、ものすごく多くの大学や大学院が社会人を対象にした教育サービスの提供をはじめようとしています。詳細は以下のようなサイトをまわってみてください。

ミガク・ドット・トゥ
http://www.mi-gaku.to

日経資格・スキルアップガイド
http://shikaku.nikkei.co.jp/

日経キャリアマガジン
http://www.nikkei.co.jp/pub/careerm/

社会人の学校
http://www8.engokai.co.jp/shagaku/

社会人のための大学案内
http://www.edunavi.net/d_shakai/

まなびねっと
http://www.manabinet.jp

ALL About JAPAN
http://allabout.co.jp/education/adultedu/

 それでは皆さんごきげんよう。


2002/01/19 テンコモリ

 ただいま論文を執筆中なのである。締め切りはもう数日後。一刻もはやく脱稿したいんだけど、論文は吉野屋の牛丼じゃないんだから、そんなにはやくはできない。

 牛丼ならばテンコモリもいいだろう。論文はテンコモリするとアウトである。言いたいことはひとつ、結論もひとつなのだ。

 でも、これが言うのは簡単なのだけれども、難しい。よほど気をつけていても、つい「大盛りねぎだくギョク」になってしまう。牛丼としては、通ごのみな味なのかもしれないが、論文としてはアウトである。

 あー、また大盛りねぎだくギョクになってしまった・・・。


2002/01/20 ピクミン

 最近いろいろな場所で耳にしていたんだけど、曲名わかんなかった曲がようやくわかった。

 僕たちピクミン あなただけについていく
 今日も運ぶ 戦う 増える そして食べられる
 いろんな命が生きている この星で
 今日も運ぶ 戦う 増える そして食べられる
 
 ひっこぬかれて たたかって 食べられて
 今日もわたしたち 愛してくれとは言わないよ

「愛のうた ピクミンCMソング」ストロベリーフラワー
 http://www.nintendo.co.jp/ngc/gpij/lovesong/

 これは泣けるね。なんだかさ、けなげでけなげで。どうにも泣ける。ピクミンって何かは知らないけれど、このテキスト表現は可愛すぎる。どこか無意識に惹かれてしまいます。


ピクミン Miwa, N.

 無意識で惹かれる、といえば、先日、Love psychedelicoのCDを2枚ほど買いました。僕、前から好きだったんだけどね。なんでかなー、なんでかなーと思ったら、彼らの曲はビートルズにどこか似ているんですね。

 「Laddy Madonnna」なんか、ビートルズの「Money」のコード進行にかなり似ている。「Twist and shout」のコード進行を引用している曲もあります。僕は、ビートルズがかなり好きで、すべてCDもっていますので、たぶん、そんなところから惹かれたのかもしれない、と納得しています。


2002/01/23 ハリポタ

 先日、話題のハリポタ(ハリーポッター)見に行きました。ファンタジーの世界にピタピタと浸ることできました。

 こういうと、罵倒が聞こえてきそうですが、なんだかね、「セントチヒロ」も確かによかったんだけど、それよりは巧妙にファンタジーがつくられていて、よいとおもいました。

 話にそれほど論理の飛躍がないです、セントチヒロよりは。確かに、最終場面で賢者の石が「なぜか」ポケットに入っていたりするのは、何だかナーと思いますが、それくらいです、気になったところは。

 どうも、それは批判されているところでもあるらしいですね。ファンタジーのくせにあまりにも論理的すぎる、と。でもさ、僕としてはそういうファンタジーの方が好きです。大人も愉しめると思います。

 昔、僕がまだ小学生と言われていた頃、ファンタジーとか見ても、そういう論理性のなさには気づきませんでした。でも、昔見たピーターパンを今見ると、少なくとも、僕は平静を装って、それを見ることができない。「なんでやねん」とその話の展開の必然性をつっこみたくなります。

 これが大人になった、ということなのかもしれません。
 子どもゴコロを失ってしまった、ということなのかもしれません。


2002/01/24 Pastviewer

 先日、山内さんの研究室におじゃました際、中杉さんのつくったPastViewerを見ました。中杉君、忙しいのにありがとう。

 これは「歴史を実感するウェアラブルコンピュータ」っていうのかな。ウェアラブルなディスプレイをかけて、歴史的建造物の前にたつと、その歴史的建造物の昔が見えてくるっていうシロモノです。

PastViewer
 

  

   
 Pastviewはウェアラブルディスプレイ+ノートPCと携帯用マウスで構成されたシステムです。背景に実際の安田講堂を見ながら、目のところにあるシースルのディスプレイには、1960年の頃の安保闘争のVが流れています。
  

 中杉さんは、歴史に対する子どもの動機付けのきっかけになるといいと思って、PastViewerをつくったみたいです。なるほど、東大安田講堂の前にたち、ウェアラブルディスプレイの前にうつる安保闘争のときの学生さんたちを見ていると、ふうっと、亡霊を見ているような気分になり、安田講堂への興味がわいてきました。

 歴史的建造物って聞くと、一般には「遠い世界のヨソゴト」なのかもしれませんが、このディスプレイを通した建造物は、どこか自分の世界に連続しているもののように感じるから不思議です。

 あなたも、あの時代をのぞいてみませんか、Pastviewer。


2002/01/26 ピエール=ブルデュー

 フランスの偉大な社会学者、ピエール=ブルデューが亡くなったそうです。ブルデューと言えば、「再生産」「ディスクタンオン」とか有名ですね。その学説は、異常なほど難解でいて、含蓄にとむ、そして確実に後世に影響を与えました。

Bourdieu, P.(著) 宮島 喬(訳)(1991) 再生産―教育・社会・文化. 藤原書店

Bourdieu, P.(著) 石井 洋二郎(訳)(1990) ディスタンクシオン―社会的判断力批判(1) 藤原書店

 およそ象徴的暴力を行使する力、すなわちさまざまな意味を押し付け、しかも自らの力の根底にある力関係を覆い隠すことで、それらの意味を正統であるとして押しつけるにいたる力は、そうした力関係の上に、それ固有の力、すなわち固有に象徴的な力を付け加える。

 という命題、これは教育の象徴的暴力性を暴露した命題なのですが、これははあまりにも有名すぎます。

 「あんたのためになるんだから、これやんなさい」
 「僕はあんたのためにならないことはやれって言わないから」

 という教育的な物言いの裏に潜む暴力の問題ですね。こういう教育の暴力性を暴き出し、階層やジェンダーの再生産のメカニズムを「ハビトゥス」「プラクシス」等の概念で説明したところに彼の偉大さがあります。最近では、市場主義批判&グローバリズム批判の急先鋒でした。

Bourdieu, P.(著)(2001) ピエール・ブルデュー来日記念講演2000―新しい社会運動--ネオ・リベラリズムと新しい支配形態. 恵泉女学園大学

 ところで、階級といえば、以下の本、とってもオモシロク読むことができました。苅谷先生の本です。

苅谷剛彦(2001) 階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ. 有信堂高文社

 「ゆとり教育」「総合的な学習の時間」等の政策が、「階層の再生産」「インセンティヴ・デバイド(学習意欲の格差)」等、意図せざる結果を生みだしていく。実証的にこのことを明らかにしています。是非、ご一読ください。オススメです。


2002/01/27 secret base

 わざわざ隠す必要のないトルに足らないモノタチを、人に隠す必要のない場所に隠す。

 僕らがつくり、そしていつの間にか場所さえ忘れてしまい、足を踏み入れることさえなくなった、あのヒミツの基地には、今も、コーラの瓶とか、牛瓶のフタとか、メンコとか、眠って居るんだろうか。

嬉しくって 楽しくって 冒険も いろいろしたね
二人の 秘密の 基地の中

secret base 君がくれたもの 作詞 町田 紀彦

 そうだ、ここだ、ここにあるんだ。

 僕らがそこに持ってきたものを取りに変えるその日まで、トルに足らないモノタチは、僕らを待つことだろう。

 土に汚れくすみ、色あせて、僕らがそれを忘れてしまったとしても、きっと僕らを待つことだろう。

 secret base、あの場所で。


2002/01/29 ストリーミングをなぜ用いるかについて

 先日、関西学院大学のある先生から、Project eXについて質問をメールでいただきました。答えは日記でふれていただきたい、とのことなので、この場で紹介します。

 質問をお送りいただいた先生の質問・疑問は簡単に要約すると、以下のようになります。

 アメリカの遠隔教育ではWebCTやBlackboardをはじめとしたソフトウェアが多く使われていて、それはテキストベース、せいぜい、ナレーションをつけたPowerPointが使われている。一方日本では動画を使うところが非常に多い。学習にフォーカスしたときに本当に動画が必要なのかどうか疑問に思っている。なぜ、Project eXはストリーミングビデオを積極的に看板にするのか。

 なるほど。確かにアメリカの遠隔教育はWebCTとかのいわゆるWBTが多いですね。それに対して、Project eXは講義の配信手段としてそれを用いています。

 でも、別にProject eXはストリーミングビデオを看板にはしているわけではないです。単に純粋に教育の提供手段としてストリーミングという技術を使うというだけです。技術に思い入れはありません。

 まぁ、そうはいっても、ストリーミングビデオを用いる理由は、他にもあります。

 学習にフォーカスした答えではないですが、まず第一にコストの問題があります。WebCTやBlackboard等のWBTの設計・開発にはものすごくお金がかかります。それに対してストリーミングが開発効率がいいんです。比較的少ないお金で、わりかし簡単に授業を提供できる。

 第二に、みんながWBTの設計のプロセスに協力してくれればいいですが、そんな時間はほとんどの大学の先生にはありません。また、それならパワーポイントと思うかもしれませんが、パワーポイントを使わない先生っていうのは以外に多いんです。ということで、なるべく既存の大学のリソースを活用して、大学の授業をeLearnig化する、ためにはストリーミングが適しているのではないかと思っています。

 もちろん、学習の観点からみて、ストリーミングが一番のメディアであると思っているわけではありません。大問題メディアです。まず、よほどの動機がない限り、ストリーミング映像を90分みるのはほとんど地獄に近いです。統計的にもそれは明らかです。ほとんどが映像はじまってから数分でウィンドウを閉じて居るんですね。

 あるいは、学習効果もかなり低いです。どうしても、そこの部分は工夫が必要になります。まぁ、そこの部分は、協調学習を組み合わせたり、レスアナを組み合わせたり・・・・いろいろと考えています。

 理由はこんな感じです。


2002/01/30 原稿提出

 またイッペンの論文が僕のもとから旅立っていきました。

 今回の論文、今までで一番苦戦しました。今回の論文のテーマは、はじめて研究の領域を超えたものだったからです。つまり実用化された開発物についての論文だった。。

 実用化された開発物っていうのは、ものすごく複数の機能を実装しているんですね。ということは、機能と効果の因果関係がつきにくい。ということは論文にとってもしにくいんです。

 実用化されるが故に、実際にいろんな人たちに使われる開発物であったわけですから、とってもオモシロイ出来事が起こっています。だけど、それをうまく記述できない、そんなディレンマにずいぶん悩まされました。そのディレンマを解消できたかどうか、オモシロい記述ができたかどうかは、正直いって自信ありませんが、今は原稿をあげられたことだけを喜びたいです。

 論文投稿のついでにグラントにも応募しました。こちらの方もあたりますように。


2002/01/31 動け、動け、動け

 論文を投稿したばっかりですが、このハイな気分のまま、ガシガシと動くことにしました。新しい研究会の企画、新しい本の企画、新しい論文の執筆。今週末から来週にかけてガシガシと動くことにしました。

 第一に新しい研究会。これは前々から思っていたことなのですが、Webを利用した学習コミュニティ、コンピュータを利用した共同学習(CSCL)、eLearning等、ネットワーク上の学習に関する研究会を定期的に開きたいと思っています。

 月に一度程度、集まってあーだこーだ言い合える研究会をつくりたいです。阪大の頃はやっていたのですが、こちらにきて忙しさにかまけてしまいました。これはイケナイですね、堕落していました。

 「ネットワーク上の学習に関する研究会」って言ったって、いろいろ関連する領域はあると思うのですが、そういうことに関心をもっている人たちが緩く連帯し議論する場をつくりたいと思っています。

 場所とか日時とかルールとか、今、水面下でいろいろな人々の意見を調整しながら、細部をつめています。善は急げ、さっさと決めていきます。

 新しい本の企画。これはヒミツですが、敢えて敢えて「研究っぽくない本」を書きたいです。正確にいうと、研究っぽくないんだけど、よく考えてみると、研究的な視点から書かれている本。ずAERAのようなテイストを持ちつつも、学習論をふまえている本です。言い換えれば、人間の声が反映していて、それでいて学習の問題を正面から扱っている本でしょうか。どこまでやれるかどうかは知ったことではないですが、未来はわかんないんだってーの、そんな本を企画しています。

 新しい論文。これは大急ぎで執筆中です。今週末から来週あたまには原稿をあげます。それでできなきゃ、2月はアホほど忙しいので、無理です。

 やるしかない、やるしかない


 NAKAHARA,Jun
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